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第一章

11 色々理解できない

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「お疲れさまでした。
魔力量の少ない方は不快な症状が出たかもしれませんが、すぐに消えますのでご安心下さい。
きっかり24時間後から接近禁止魔法契約は執行されます。
実際には、互いに1マジ(=360センチ)以上は近付けません」

「「1マジ?」」



魔法関連に疎い父上と私が訊ねる。



「‥‥はい。
接近禁止の魔法契約では、1マジが原則です。
一般的に、相手に魔法を掛けられない距離とされています。
相手に対して、肉体的にも、魔法でも干渉できない距離という事です。
武器‥‥例えば矢を射ても、矢も弾かれ、相手に届きません。
保持魔力が大きければ無意味な数値ではありますが‥‥」

「なら、問題無いな。
ここに保持魔力の高い者はいないからな!」



父上が吐き捨てる様に言えば、誰も否定する事は出来ない。


だが‥‥


実は、私はクレアから告白されている。

最近、保持魔力が急激に増えていると。

そして、実際、魔法を見せてくれた。

妖精の様に空中をヒラヒラと飛んで見せたのだ!

空中を飛べるなんて、相当な魔力保持者でなければ出来ない事だと、魔力に疎い私でも知っている。


クレアは、もしかしたら、国王に次ぐ‥‥

いや、匹敵する魔力を持っているかもしれないのだ‥‥


私はこの事を告げるべきかどうか逡巡し、クレアを見るが‥‥

クレアは涼しい顔をして私と目を合わせようとしない。

‥‥秘密にしておくつもりか‥‥



「では、私は出来る限り早く公爵邸を出て行きます。
それでは、失礼致します」





ステラがそう言うと、彼女の侍女と護衛がサッと彼女の歩行補助に入る。

こ、これで終わりか?



「あ‥‥ステラ、
腕を忘れている‥‥
ウッ!?」



私はソファの上に置かれていた、先程ステラが外した肘から先の部分を手に持とうとして‥‥



「お‥‥重いッ!?」



とんでもない重さに素っ頓狂な声を上げてしまう。

な、何だコレはッ!?



「ソレ、もう着けなくてよろしいでしょう?
今までは、婚約者である公爵令息様にこのドレスを着る様命令されて従っておりましたが、婚約解消は済んだのですから。
この髪も、公爵令息様のご命令で無理矢理結い上げられたものですから、解かせて頂きます。
それが済んだら、速やかに出て行きます」



私は、私は、彼女が何を言っているのか理解が出来ない‥‥!
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