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第3章 沖縄防衛戦
第22話 沖縄強襲揚陸作戦2(アイスバーグ作戦)
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入念とは言え無い準備射撃が終わり、上陸をはたした先発のアメリカ海兵隊約2万は、数十両の戦車とLCVを先頭に進撃を開始した。
砲爆撃による土煙が立ち込める中を進んでいると突如として、ヒューーー、と何かが空気を引き裂く音が響いてきた。
先頭を進んでいたシャーマンやLCV 、兵士の周囲を爆炎が包み上げた。
地表や空中で炸裂した砲弾や破片が車両や兵士、更には物資を上げていた上陸用舟艇にも降り注いだ。
「弾着~今!初弾命中!効力射!!」
各所に隠蔽された観測場から砲撃の修正や成果が報告され、それを元に修正し、砲撃が正確になって行く。
「クソっ!!航空部隊は何をやっている!?」
「全員伏せろ!!無闇矢鱈に動き回るな!」
「あ、足が!俺の足が!!」
「すぐに移動しろでないと・・・っ!」
「クソ!衛生兵!!」
「艦砲射撃は何処をねらっていやがた!!」
完全な奇襲上陸であったにも関わらず、自分たちが集結して前進したタイミングでの砲撃でアメリカ海兵隊は混乱していた。
日本側はアメリカ軍が最も上陸しやすい地点を調べ上げ、最も戦力が固まる場所を集中的に砲撃した。更には地下砲撃拠点の重砲や掩蔽壕に隠していた自走砲、ロケット弾発射車両、歩兵部隊の迫撃砲等まで用いての集中砲撃によりアメリカ軍の足が止まった。
沖縄司令部から報告を受けた大本営では、沖縄司令部からの情報を元にアメリカ軍の上陸範囲を地図上に並べ、艦隊規模をすぐ裏のボードに書き記した。それをふまえて戦況を確認していた。
「やはり上陸地点は、想定していた通り読谷海岸・北谷海岸に上陸したとの報告が上がっています」
「アメリカ軍の兵力は?」
「観測所からの確認できた数は、空母14、戦艦8、巡洋艦17、及び駆逐艦、輸送艦多数が確認されています。しかし、夜間なので正確とは言えません。海兵隊の数も50万人はいると思われます」
「沖縄司令部は縦深防御戦術を展開しているのか?」
「報告では敵部隊が集結、前進したと同時に砲撃を開始したと報告がきました」
大本営ては、沖縄司令部からの報告を随時纏め、それを精査して作戦をねっていく。
沖縄守備隊には本土からの援軍到着まで敵に出血を強いつつ、自軍の損害を少なくする遅延戦術を行う様に指示してある。
既に沖縄に1番近い鹿児島と長崎には20万人が集結している。
艦隊は整備や補給の関係から戦艦や空母などの大型艦は横須賀と呉に巡洋艦、駆逐艦は呉や佐世保、舞鶴に分かれている。それらが集結し艦隊を組むにはもう数日かかる見込みだ。
そのまま、会議を進めていると1人の通信兵が慌てて駆け込んできた。
「た、大変です!」
「どうした?」
「帝国海軍の艦隊が沖縄支援に向けて勝手に出撃しました!!」
「なんだと!?」
その場にいた全員が驚いた。
「出撃した艦隊は?」
「は、はい。神国と帝国海軍の出入りが激しいため確認出来たのは、戦艦大和、榛名、重巡青葉、利根、軽巡矢矧、酒匂、五十鈴。それと駆逐隊数個です!」
「何故報告が遅れた?」
「神国からの支援で改装や修理に各艦が動き回っていたため、発見が遅れました」
詳しく聞くと全て一変に動いて行った訳ではなく、数隻づつ動き、沖合で集結したと考えられた。
「現在地は?」
「無線封鎖しているようで、陸地からの最後の目撃情報となりますが、壱岐島から目撃報告が上がっているため、日本海側から沖縄に向かう様です」
「すぐに合流出来る艦隊は?」
「すぐに出撃出来るの水雷戦隊3個規模が限界です。それに我が帝国海軍の艦艇は神国の支援でほとんどドック入りしているので人員が直ぐに集まりません」
「神国側はどうですか?」
「即出撃出来るのは、相模湾に停泊したばかりの神国連合艦隊本隊です」
「本当ですか!すぐに出撃要請をお願いします」
神国軍人達は、すぐさま無線から連合艦隊旗艦である紀伊に電文を発した。
神国連合艦隊旗艦紀伊の防空指揮所で沖縄の方向を見る1人の軍人がいた。すると後ろの階段を駆け登る音が聞こえて来た。
通信兵が神国連合艦隊司令長官山本五十六に大本営へ派遣されている士官からの電文を携えて上がってきた。
「失礼します。長官、帝国大本営派遣隊からの電文です」
「読め」
「は、『大本営派遣カラ旗艦紀伊へ、帝国海軍支援ノ為、本隊ノ派遣ヲ要請ス』との事をです」
「大本営へ返信、『了承、スグサマ支援艦隊ヲ派遣スル』とな」
「了解しました。直ぐに返信します」
「それと出撃する艦は、旗艦紀伊、尾張、超甲巡、吾妻、越妻、防空巡、鞍馬、筑波、伊駒、駑馬、それと第三十一戦隊だ。各部隊に速やかに連絡を取れ」
「は!すぐに送ります!」
通信兵の降りていく足音を聞き、再び沖縄の方向を見ると朝日が丁度紀伊を照らした。
「日ノ本の地が戦場になるのか・・・・」
彼が呟いた言葉は海風に消えていった。
同時刻沖縄に強襲上陸を果たし、橋頭堡を確保したアメリカ海兵隊は、砲撃の雨の中を損害を出しながらも確実に前進していった。
先頭集団の一部が平野にいくつもの丘が点在する地点に入り込んだ時、辺りに銃声が響いた。
タタタタタタタタタタタタタタタッ!!
「グッ!!」
「な!何処か・・ぐぁ!!?
」
「伏せろ!!」
いくつもの戦場を生き抜いてきたベテランの海兵隊員は、発射音から自分達が狙われている銃が何かわかった。歴戦の海兵隊員達は砲弾の窪みや近くの岩や石、倒木等に素早く身を隠した。それに遅れた新兵や経験の浅い海兵隊員達は幾人か、その凶弾に倒れた。
「ヨハン!奴らの位置が見えるか?」
「駄目だ!頭を上げたと同時に銃弾が飛んできた!こっちの位置はばれてる!」
「恐らくあの丘だ!発砲炎が見えた」
砲弾の窪みに伏せていた1人が近くの遮蔽物にいた仲間に敵の位置を確認した。
「ウッドペッカーだと思うが連射が長くないか?」
「他にも聞き慣れない発砲音がしている、新型か?」
アメリカ海兵隊の考察は、正解とも不正解とも言える。何故なら九二式重機関銃と神国が持ち込んだ一式重機関銃は、従来の保弾板による装填方法ではなく、金属製非分離式ベルトリンクを採用している。
これの採用理由が中国国民党支援の為、多数の重火器や小銃を提供したが前線の兵士からの報告で、射程や精度は良いが装弾数が少ない、弾薬が足りない等の意見が上がったが当時の神国の運用方上とくに問題無かった為、重量の軽量化のみ改修された。
しかし、冬戦争時のフィンランド支援の為、義勇軍が派遣された際、前線で九二式重機関銃や九九式、九六式等が神国の主力機関銃で運用されたが九九式や九六式の軽機関銃は問題なく運用できたが九二式重機関銃だけは、数で押し寄せるソ連軍を止めるには30発の装弾数では弾幕が薄く、危うく突破されそうになるったり、白兵戦まで持ち込まれるなど弾幕を張れない欠点が指摘され急ぎ新型の設計が開始された。
なお、フィンランド兵からも精度と射程は評価された。
その冬戦争翌年に完成したのが一式重機関銃。
基本的な部分は九二式重機関銃と変わらないが、重量の軽量化、銃身の交換の容易さ、整備性の向上、金属製非分離式ベルトリンクへの変更され、より扱い易い重機関銃になった。
とくに金属製非分離式ベルトリンクに変更した事で30発から150発と装弾数が5倍に増加、その分連射速度も650発と速くなり、より連射に耐える為銃身を厚くし、交換も容易に行えるよう設計された。
さらに最も問題になっていた重量の軽量化に成功、本体重量もかなり軽くなっており、全て合わせても25キロと元の九二式に比べ半分以上の軽量化に成功、扱う兵士の負担が少なくなった。
さらに金属製非分離式ベルトリンクは、一式弾帯と言われ、一式だけでなく九二式でも使用出来るように設計されているが、九二式は装填機構を一部変更する必要があるが前線での工具でも出来るため、沖縄部隊のすべて重機関銃は一式弾帯を装填出来るように改修している。
九九式、九六式はマガジンを30発装填から100発のドラムマガジンに変更して装填数を増やしている。ただし欠点としてバランスが悪くなり、右に重心が傾く為、装填手が支えなければ、銃手の負担が大きくなるが拠点防御おいては問題がなく、進行時には通常の30発マガジンを用いるので兵士からの評判も悪くわない。
小銃も数の関係で三八式歩兵銃と九九式歩兵銃も使用されているのだが、神国の歩兵は一式小銃を使用している。これは先にも述べた通り、フィンランドへの義勇軍派遣の際にソ連軍の突撃に三八式小銃や九九式小銃では弾幕が張れず、白兵戦となった経緯から開発された物で、口径は従来の6.5ミリ弾を使用、単発だけでなく連射時の安定性も考慮してこの弾薬になった。
装填も従来のクリップか一発づつ手で込めるかだったのをマガジン方式に改め、装弾数が25発となり、口径が小さい事でマガジンの小型となり1人あたりの持てる弾丸が増加した。一応白兵戦様に着剣機能は残してある。
「無理に頭を上げて狙うな!敵の居そうな所に弾幕を張って近付けさせなければいい!」
「機関銃は点で狙わず面をねらえ!敵を釘付けにしろ!」
「擲弾筒は止まったところに榴弾をぶち込め!」
帝国陸軍、神国陸軍は反射面陣地の裏側から機関銃や小銃、その裏側から擲弾筒でアメリカ軍を攻撃していた。
アメリカ軍も発泡炎が見えた場所に撃ち返してはいたが敵兵の姿が見えないので進めずにいた。
「クッソ!奴らの姿が全く見えない!?」
「通信兵!あの丘に支援砲撃を要請しろ!」
「りょ、了解!」
部隊の指揮官は自分の側で怯える若い通信兵に指示を出した。
「ちゅ、中尉!座標を!」
「方位082、ここら距離およそ、」
砲撃座標を言おうと頭を上げた瞬間、中尉が倒れた。
「中尉!!」
通信兵が慌てて駆け寄ると左の側頭部から脳みそだった物が飛び散り、傍から見ても即死だった。
驚いた拍子に腰を抜かし、地面に座り込んだ。
「う、うぁぁぁ!?」
『おい!どうした?何があった!応答しろ!?』
無線機の受話器からの声で通信兵は正気を取り戻し、応答しようとする。
「ちゅ、中尉が目の前で、」
司令部に報告しようとした受話器を上げた瞬間、受話器が手から砕け散った。
「え?」
呆然としていると背中を押された様に感じ、無線機を下ろして見ると穴が空き、煙を上げていた。
「狙撃、何処から!?」
その状態のまま、周りを見ていると再び無線機に直撃し、今度は燃え上がった。
慌て無線機を放り捨て、その場に伏せた。
(つ、次は僕が狙われる!?)
その場に伏せた通信兵は恐怖でその場から動けなかった。
指揮官と無線機を撃ったのは、海兵隊から約300メートル離れた少し高くなかった草むらに潜んでいた神国の狙撃兵だった。
「命中、無線機は完全に破壊されました」
その草むらに偽装して隠れていた観測手が戦果を報告した。
「次は?」
静かにボルトを操作し、排莢と装填を行っいながらつぶやいた。
「先の標的より、15メートル後ろ、短機関銃の奴」
「捉えた」
「撃て」
静かに引き金を引き絞り発射した。
再びスコープの景色を赤く染めた。
この初日の戦闘で、アメリカ海兵隊は多数の前線指揮官を失い、先頭を進んでいた部隊には多数の死傷者出て、初日の戦闘は終わった。
砲爆撃による土煙が立ち込める中を進んでいると突如として、ヒューーー、と何かが空気を引き裂く音が響いてきた。
先頭を進んでいたシャーマンやLCV 、兵士の周囲を爆炎が包み上げた。
地表や空中で炸裂した砲弾や破片が車両や兵士、更には物資を上げていた上陸用舟艇にも降り注いだ。
「弾着~今!初弾命中!効力射!!」
各所に隠蔽された観測場から砲撃の修正や成果が報告され、それを元に修正し、砲撃が正確になって行く。
「クソっ!!航空部隊は何をやっている!?」
「全員伏せろ!!無闇矢鱈に動き回るな!」
「あ、足が!俺の足が!!」
「すぐに移動しろでないと・・・っ!」
「クソ!衛生兵!!」
「艦砲射撃は何処をねらっていやがた!!」
完全な奇襲上陸であったにも関わらず、自分たちが集結して前進したタイミングでの砲撃でアメリカ海兵隊は混乱していた。
日本側はアメリカ軍が最も上陸しやすい地点を調べ上げ、最も戦力が固まる場所を集中的に砲撃した。更には地下砲撃拠点の重砲や掩蔽壕に隠していた自走砲、ロケット弾発射車両、歩兵部隊の迫撃砲等まで用いての集中砲撃によりアメリカ軍の足が止まった。
沖縄司令部から報告を受けた大本営では、沖縄司令部からの情報を元にアメリカ軍の上陸範囲を地図上に並べ、艦隊規模をすぐ裏のボードに書き記した。それをふまえて戦況を確認していた。
「やはり上陸地点は、想定していた通り読谷海岸・北谷海岸に上陸したとの報告が上がっています」
「アメリカ軍の兵力は?」
「観測所からの確認できた数は、空母14、戦艦8、巡洋艦17、及び駆逐艦、輸送艦多数が確認されています。しかし、夜間なので正確とは言えません。海兵隊の数も50万人はいると思われます」
「沖縄司令部は縦深防御戦術を展開しているのか?」
「報告では敵部隊が集結、前進したと同時に砲撃を開始したと報告がきました」
大本営ては、沖縄司令部からの報告を随時纏め、それを精査して作戦をねっていく。
沖縄守備隊には本土からの援軍到着まで敵に出血を強いつつ、自軍の損害を少なくする遅延戦術を行う様に指示してある。
既に沖縄に1番近い鹿児島と長崎には20万人が集結している。
艦隊は整備や補給の関係から戦艦や空母などの大型艦は横須賀と呉に巡洋艦、駆逐艦は呉や佐世保、舞鶴に分かれている。それらが集結し艦隊を組むにはもう数日かかる見込みだ。
そのまま、会議を進めていると1人の通信兵が慌てて駆け込んできた。
「た、大変です!」
「どうした?」
「帝国海軍の艦隊が沖縄支援に向けて勝手に出撃しました!!」
「なんだと!?」
その場にいた全員が驚いた。
「出撃した艦隊は?」
「は、はい。神国と帝国海軍の出入りが激しいため確認出来たのは、戦艦大和、榛名、重巡青葉、利根、軽巡矢矧、酒匂、五十鈴。それと駆逐隊数個です!」
「何故報告が遅れた?」
「神国からの支援で改装や修理に各艦が動き回っていたため、発見が遅れました」
詳しく聞くと全て一変に動いて行った訳ではなく、数隻づつ動き、沖合で集結したと考えられた。
「現在地は?」
「無線封鎖しているようで、陸地からの最後の目撃情報となりますが、壱岐島から目撃報告が上がっているため、日本海側から沖縄に向かう様です」
「すぐに合流出来る艦隊は?」
「すぐに出撃出来るの水雷戦隊3個規模が限界です。それに我が帝国海軍の艦艇は神国の支援でほとんどドック入りしているので人員が直ぐに集まりません」
「神国側はどうですか?」
「即出撃出来るのは、相模湾に停泊したばかりの神国連合艦隊本隊です」
「本当ですか!すぐに出撃要請をお願いします」
神国軍人達は、すぐさま無線から連合艦隊旗艦である紀伊に電文を発した。
神国連合艦隊旗艦紀伊の防空指揮所で沖縄の方向を見る1人の軍人がいた。すると後ろの階段を駆け登る音が聞こえて来た。
通信兵が神国連合艦隊司令長官山本五十六に大本営へ派遣されている士官からの電文を携えて上がってきた。
「失礼します。長官、帝国大本営派遣隊からの電文です」
「読め」
「は、『大本営派遣カラ旗艦紀伊へ、帝国海軍支援ノ為、本隊ノ派遣ヲ要請ス』との事をです」
「大本営へ返信、『了承、スグサマ支援艦隊ヲ派遣スル』とな」
「了解しました。直ぐに返信します」
「それと出撃する艦は、旗艦紀伊、尾張、超甲巡、吾妻、越妻、防空巡、鞍馬、筑波、伊駒、駑馬、それと第三十一戦隊だ。各部隊に速やかに連絡を取れ」
「は!すぐに送ります!」
通信兵の降りていく足音を聞き、再び沖縄の方向を見ると朝日が丁度紀伊を照らした。
「日ノ本の地が戦場になるのか・・・・」
彼が呟いた言葉は海風に消えていった。
同時刻沖縄に強襲上陸を果たし、橋頭堡を確保したアメリカ海兵隊は、砲撃の雨の中を損害を出しながらも確実に前進していった。
先頭集団の一部が平野にいくつもの丘が点在する地点に入り込んだ時、辺りに銃声が響いた。
タタタタタタタタタタタタタタタッ!!
「グッ!!」
「な!何処か・・ぐぁ!!?
」
「伏せろ!!」
いくつもの戦場を生き抜いてきたベテランの海兵隊員は、発射音から自分達が狙われている銃が何かわかった。歴戦の海兵隊員達は砲弾の窪みや近くの岩や石、倒木等に素早く身を隠した。それに遅れた新兵や経験の浅い海兵隊員達は幾人か、その凶弾に倒れた。
「ヨハン!奴らの位置が見えるか?」
「駄目だ!頭を上げたと同時に銃弾が飛んできた!こっちの位置はばれてる!」
「恐らくあの丘だ!発砲炎が見えた」
砲弾の窪みに伏せていた1人が近くの遮蔽物にいた仲間に敵の位置を確認した。
「ウッドペッカーだと思うが連射が長くないか?」
「他にも聞き慣れない発砲音がしている、新型か?」
アメリカ海兵隊の考察は、正解とも不正解とも言える。何故なら九二式重機関銃と神国が持ち込んだ一式重機関銃は、従来の保弾板による装填方法ではなく、金属製非分離式ベルトリンクを採用している。
これの採用理由が中国国民党支援の為、多数の重火器や小銃を提供したが前線の兵士からの報告で、射程や精度は良いが装弾数が少ない、弾薬が足りない等の意見が上がったが当時の神国の運用方上とくに問題無かった為、重量の軽量化のみ改修された。
しかし、冬戦争時のフィンランド支援の為、義勇軍が派遣された際、前線で九二式重機関銃や九九式、九六式等が神国の主力機関銃で運用されたが九九式や九六式の軽機関銃は問題なく運用できたが九二式重機関銃だけは、数で押し寄せるソ連軍を止めるには30発の装弾数では弾幕が薄く、危うく突破されそうになるったり、白兵戦まで持ち込まれるなど弾幕を張れない欠点が指摘され急ぎ新型の設計が開始された。
なお、フィンランド兵からも精度と射程は評価された。
その冬戦争翌年に完成したのが一式重機関銃。
基本的な部分は九二式重機関銃と変わらないが、重量の軽量化、銃身の交換の容易さ、整備性の向上、金属製非分離式ベルトリンクへの変更され、より扱い易い重機関銃になった。
とくに金属製非分離式ベルトリンクに変更した事で30発から150発と装弾数が5倍に増加、その分連射速度も650発と速くなり、より連射に耐える為銃身を厚くし、交換も容易に行えるよう設計された。
さらに最も問題になっていた重量の軽量化に成功、本体重量もかなり軽くなっており、全て合わせても25キロと元の九二式に比べ半分以上の軽量化に成功、扱う兵士の負担が少なくなった。
さらに金属製非分離式ベルトリンクは、一式弾帯と言われ、一式だけでなく九二式でも使用出来るように設計されているが、九二式は装填機構を一部変更する必要があるが前線での工具でも出来るため、沖縄部隊のすべて重機関銃は一式弾帯を装填出来るように改修している。
九九式、九六式はマガジンを30発装填から100発のドラムマガジンに変更して装填数を増やしている。ただし欠点としてバランスが悪くなり、右に重心が傾く為、装填手が支えなければ、銃手の負担が大きくなるが拠点防御おいては問題がなく、進行時には通常の30発マガジンを用いるので兵士からの評判も悪くわない。
小銃も数の関係で三八式歩兵銃と九九式歩兵銃も使用されているのだが、神国の歩兵は一式小銃を使用している。これは先にも述べた通り、フィンランドへの義勇軍派遣の際にソ連軍の突撃に三八式小銃や九九式小銃では弾幕が張れず、白兵戦となった経緯から開発された物で、口径は従来の6.5ミリ弾を使用、単発だけでなく連射時の安定性も考慮してこの弾薬になった。
装填も従来のクリップか一発づつ手で込めるかだったのをマガジン方式に改め、装弾数が25発となり、口径が小さい事でマガジンの小型となり1人あたりの持てる弾丸が増加した。一応白兵戦様に着剣機能は残してある。
「無理に頭を上げて狙うな!敵の居そうな所に弾幕を張って近付けさせなければいい!」
「機関銃は点で狙わず面をねらえ!敵を釘付けにしろ!」
「擲弾筒は止まったところに榴弾をぶち込め!」
帝国陸軍、神国陸軍は反射面陣地の裏側から機関銃や小銃、その裏側から擲弾筒でアメリカ軍を攻撃していた。
アメリカ軍も発泡炎が見えた場所に撃ち返してはいたが敵兵の姿が見えないので進めずにいた。
「クッソ!奴らの姿が全く見えない!?」
「通信兵!あの丘に支援砲撃を要請しろ!」
「りょ、了解!」
部隊の指揮官は自分の側で怯える若い通信兵に指示を出した。
「ちゅ、中尉!座標を!」
「方位082、ここら距離およそ、」
砲撃座標を言おうと頭を上げた瞬間、中尉が倒れた。
「中尉!!」
通信兵が慌てて駆け寄ると左の側頭部から脳みそだった物が飛び散り、傍から見ても即死だった。
驚いた拍子に腰を抜かし、地面に座り込んだ。
「う、うぁぁぁ!?」
『おい!どうした?何があった!応答しろ!?』
無線機の受話器からの声で通信兵は正気を取り戻し、応答しようとする。
「ちゅ、中尉が目の前で、」
司令部に報告しようとした受話器を上げた瞬間、受話器が手から砕け散った。
「え?」
呆然としていると背中を押された様に感じ、無線機を下ろして見ると穴が空き、煙を上げていた。
「狙撃、何処から!?」
その状態のまま、周りを見ていると再び無線機に直撃し、今度は燃え上がった。
慌て無線機を放り捨て、その場に伏せた。
(つ、次は僕が狙われる!?)
その場に伏せた通信兵は恐怖でその場から動けなかった。
指揮官と無線機を撃ったのは、海兵隊から約300メートル離れた少し高くなかった草むらに潜んでいた神国の狙撃兵だった。
「命中、無線機は完全に破壊されました」
その草むらに偽装して隠れていた観測手が戦果を報告した。
「次は?」
静かにボルトを操作し、排莢と装填を行っいながらつぶやいた。
「先の標的より、15メートル後ろ、短機関銃の奴」
「捉えた」
「撃て」
静かに引き金を引き絞り発射した。
再びスコープの景色を赤く染めた。
この初日の戦闘で、アメリカ海兵隊は多数の前線指揮官を失い、先頭を進んでいた部隊には多数の死傷者出て、初日の戦闘は終わった。
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雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
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楽しく拝読していたら更新の通知を受け取ったので回想を書かせていただきました。これからもどうか頑張ってください!
感想ありがとうございます。
更新が遅くなってしまいすいません。
15話の3行目
武装を変えろ、ではなくこの場合は換装するので換えろ、かと。
すいません。私も確認しから投稿しているのですがこんなにあったとは思いませんでした。
報告ありがとうございます。
14話の7割目
「敵さんが油断仕切って・・・」しきって、で。