マジックアイテム「すま~ほ」異世界だって稼ぎます!

八木小町

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第二章 異世界を生き抜くアウトプット

11 住環境って大事

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「いやぁぁぁぁー!!」

 草木も眠る丑三つ時…無数に光る虫の群れに追われ、私は今全力で逃げている!

 森の中を走りながら「なんでこんなことになったんだー!」と、数分前の自分を振り返る…あれ?これって走馬灯ってやつ?


 この異世界に来てから30日ほど経ち、ここでの生活にもだいぶ慣れてきてなんとかやってきているが、なんだかんだと、自分の生活環境改善に資金を注ぎ込み過ぎてしまい、異世界旅行の資金はまったく貯まっていない…ゴロミを見るたびに赤字?の2文字が頭をよぎる日々が続いている。

 いやいや、必要経費!服もパンツも無いし日焼け止めだって必須だし、なにより風呂・トイレ無し生活は辛すぎる…「なくていい」なんていう選択肢はなかったの。

 特にトイレは本当にないのが辛くて…異世界に来て生きるか死ぬかみたいな時はそこまで考えられなかったけど、落ち着いてきた頃、一番に不便を感じたのがトイレで、本当に水洗トイレのありがたさを感じた。

 ナビ助にこの世界のトイレ事情について相談したところ、こちらでも水洗式が一般的らしいということが分かった。と言っても日本みたいに下水道を使用するわけではなく、魔石による簡易転移?とかいうもので流した物を浄化槽に飛ばしてしまうらしく…仕組みは説明されたけどよくわからなかった。
 
 そうとわかれば!早速ヌルゾンで調べ熟考した結果、、仮設タイプを月々レンタルする事でトイレ問題は解決した。


 仮設タイプってなんだよ、って感じだけど。異世界もやっぱり工事とかあるときにトイレがないと不便ってことらしい

 ちなみに、トイレが設置された日は嬉しくて用もないのに出たり入ったりしながら、ちょっと泣いた。

 トイレは購入もできたんだけど、そうすると移動や故障したら自力でなんとかしないといけなくて…

 この島から出ることも視野に入れている自分としては、この先拠点を動かすときには、なるべく移動しやすいほうがいい。仮設タイプは月々レンタルなので壊れた場合の交換・修理・移動の手伝いなどもアフターサービスに入っていた為、こちらに決めた。いらなくなったら返せばいいし。


 ちなみに購入してもいらなくなったら中古品でリサイクル回収してくれるらしく、ヌルゾン本当に手厚い。そして、ゾンビの環境配慮意識が高い…


 あとは、お風呂の問題なんだけど。とりあえず滝とかあるし、今のところ水浴びでしのいでいる。この島は常夏だから水でもなんとかなる。

 お風呂はレンタルだとドラム缶風呂しかなくて!購入品だとジャグジー風呂なんてものがあって…満天の星のもとジャグジー風呂とかロマンでしょ!と現在購入を考えている。

 高いんだけど…でも、お風呂は妥協したくないんだよね。


 お風呂も欲しいしって、GO貯めなきゃだよね。なんだけど…必要経費がかかりすぎてこちらもぜんぜん貯まらない!


 タオルとか化粧水だって必要だし…服とか身体を洗うのには別々に石鹸的なものが必要だし…日々疲れた身体のマッサージにはボディクリームだって必要!と次々と追加購入をしてしまっている。ナビ助には

『マッサージにボディクリームとか生活必需品なの?』

 と言われて…

「あたりまえでしょ!ボディクリーム使うから、いい香りとマッサージで疲れを癒し!お肌もツヤツヤなんだから!」


『その甘ったるい匂いさせてるから虫に刺されたりするんじゃないの?まぁ、ボクには関係ないけど』

 くっ…確かに虫刺されがひどい、けど別にボディクリームが原因かなんてわからないし!

 これは私にとってはなくてはならない必要経費なんだ!とナビ助と言い争いになったがボディクリームは生活必需品から外さなかった。

 ちなみに、この虫刺され問題はアプリ(虫除け)を手に入れた事で解決した。
 ダウンロードにはGOがかかったけれど…

 結果、手元に全然GOが残らないって始末…月々のタイGOに支払う手数料も滞りかねない事態、1回やらかしてナンシーに烈火のごとく怒られたのに2回目は許されないだろう。

 そろそろ月末…時間がない!

 一一一一一一一

 そんなわけで、急遽資金繰りが必要となりタイGOで高値で売れる魔法薬の材料である光る蜂夜光蜂やこうばちを採取に出る事になった。


 この夜光蜂、その名の通り夜になると光る蜂で…それだけ聞くとホタルみたい~とか思うけど、ホタルなんて…なまぬるい。

 かなり早いスピードで動きが不規則かつ…針には毒があり刺されると火傷したような水ぶくれができて皮膚がただれ、溶けていくっていう厄介な虫な為、捕獲はなかなかに難しい…がその分の価値があり私にとっては今のところ一番の高額品である。


 
 この小島にあるものは、なんでも売れるといっていいほど神島の付加価値は大きい。でも、その中でもやっぱり元々の価値があるものが更に高い値段がつくってのがこの30日で学んだ事で

 いくら神島の付加価値があっても、石は石。砂は砂…。って事。

 なのでより価値のあるものを求め、今は魔法薬に必要な素材集めをメインにしていて、神島の魔素を多く含んだ薬草は100gで1WGOくらいの値段がついたりする。ただ素材の種類や状態もあるから毎回価格は変動もしているけど。

 今狙っている夜光蜂は、薬の材料としては高効果傷薬の材料になるらしい。
 薬自体は別の素材でも代用できるが、その効果の差は歴然としていて、欲しい!でも生息地が少ない!っていう作り手からしたら欲しくてしかたない希少素材って事でめちゃめちゃ高値で取引される。

 失敗と成功を繰り返し、夜光蜂の生体には詳しくなり不規則ながらも動きが読めるようになってきて。

 絶妙な間合いをとりながら、光の残像を目で追いつつ捕獲のタイミングを狙う…

 注意一秒怪我一生。だっけ?一瞬の油断が命取りって事だよね、無駄に怪我してられない!

 やつが攻撃してくるタイミングを狙って……!!

 スパッ!


 捕獲ネットを自分でも驚く鮮やかさで、振り抜いた。自分の虫取り技術がどんどん向上している…元の世界でなにか役に立つかな虫取り名人?みたいな。

「やったー!夜光蜂ゲットー!」


 これで、ナンシーへの手数料分払ってもGO余るからなにか美味しい肉とか取り寄せちゃおうかな~

 ふんふふ~ん。上機嫌で針に気をつけて虫かごに<夜光蜂>を移していた…数分後の私は自分に怒りを覚える事となる。


 数分前の私!バカー!周りを見ろ、1匹に夢中になりすぎて周りを敵に囲まれてるんだぞ!


 ブーン…ブーン…ブーン


「ん?…え?…えぇ!?」


 ヤ…バイ…!囲まれてる!と気づいて走り出したが敵の数が多い!


「ムリムリムリー!」

 無数の夜光蜂が一斉に向かってくる!あの数に刺されたら間違いなく、あの世に旅立っちゃう!いや。私なんて一匹だって即死です!

 ってなわけで、私は今!全力で逃げている!!

「いやー!!ビュンビュン飛んでくるー!!」

 蜂たちが頭上すれすれを飛び、目の前の木に刺さると、刺さった部分は黒ずみ、表皮が溶け崩れていく…

「いやー!!ムリムリムリ!!」


 私の体も溶けてなくなるかもしれない!でも、戦って勝つなんて事はできないし…なんとかしないと、なにかないか…周りに気を配りながら森を走り抜ける。

「あれだ!」

 全速力で走りつつ見つけた、大きな木の影に隙を見て滑り込み、(虫除け)アプリの出力と範囲を上げる!

 目の前まで迫っていた蜂たちが今にも刺す!勢いで迫ったその瞬間!目を閉じて身体を地面に倒した。自分を中心に周囲が青白く光る。

 数分?数秒?その場で、目を閉じたまま身体を丸めて小さくなっていた。痛くない…??から大丈夫かも?と片目を薄く開けて蜂たちがいないことを確認した

「はぁ、はぁ、セ、セーフ!!」

 急いで(虫除け)アプリの出力を元に戻した。

「危なかったー!あ!私の捕まえた夜光蜂は??大丈夫??」

 虫かごを急いで覗き込み、ちょっと弱いけど光が失われていないことを確認した。ピクピクしている…

 木に寄りかかろうとして、何かが肩にあたるのに気づいた…

「なに?」

 木に夜光蜂が突き刺さっている!
 針が刺さった部分は黒く変色し、ボロボロと崩れていた…

「ひぇぇぇー、これってさっき目の前にいて刺されそうだったやつ??身体を倒してなかったら私がこの木のようになっていた……と」

 背中に冷たい汗が流れるのを感じる。マジでやばかった、(虫除け)アプリありがとう!


 この(虫除け)アプリ、最初にダウンロードした時はたいした威力がなくて…普通に蚊をなんとなく寄せ付けないくらいで、無駄にダウンロードしたと思っていたんだけど、、それでも蚊を寄せ付けない為、毎日使っていたら、レベルアップが早くて気づいたら…

 レベルMAX!範囲や出力も自由自在。虫は近づかないどころか、発動時にその効果範囲にいたらすぐ逃げないと絶命してしまうレベルになっていた。
 もはや、殺虫剤アプリ…


 うまく使いこなすようになるまで調整が難しくて、自分の範囲を何cmとかにすると虫かごに捕まえた虫が気づいたら全部絶命してるなんて時もあった…

 レベルMAXまでいき、皮膚表面にだけっていう微調整までできるようになり、虫捕りにも大いに役立つアプリになった。今回の夜光蜂も刺しにくるがその寸前で近づけない状態になるので多少安全に捕獲ができるようになった…が、虫がもう死に物狂いで特攻してくる場合、皮膚表面だけの威力では刺されてしまうので、なかなか使い勝手はいいとも言いきれない。


 先程の襲撃で、危うく捕らえた夜光蜂も絶命させてしまうところだったが、ダメージはあるものの生きていたのでほっとした。
 夜光蜂は生き死にで価格に大きく差が出るため、絶対に生かしてナンシーに渡したかったし。


 残念ながら、刺さった夜光蜂はお亡くなりだったが、しっかり回収してかごに入れる。

「本当に…異世界生活ってホントに命がけ。はぁぁ…」

 ため息を吐きながら、暗い道を帰る足取りは重かった。

 こんな風に一喜一憂しながら、異世界生活を今日も頑張っている。



 一一一一一一一一一一一一一一一一一一

 草木も眠る丑三つ時って、だいたい午前2時くらいを指すらしいです。

 第2章もよろしくお願いいたします。
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