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幼馴染との再会
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それから野宿をしつつ、走り続け……二日かけてミルディン領に到着する。
「よし、どうにか二日でついた。今はお昼前……時間にも間に合ったと」
父上には、今日のお昼過ぎに出る予定だと聞いていた。
「ただ、流石に風呂も入ってないし着替えてもないのはまずい」
うちはしがない田舎貴族で伯爵家、相手は王都にも顔が効く侯爵家、その力の差は歴然だ。
流石にこのままではまずいので、身だしなみを整える必要がある。
俺は近くにある村には入って準備をしてから、領主の街に向かう。
すると、門の前の兵士達が警戒してくる。
「何者だ? こんなところに子供?」
「ここはミルディン侯爵様の別宅だ。一人で何をしている?」
「すみません、怪しい者ではないです。こういう者でして……」
腰にぶら下げてある刀を差し出し、身分を証明する。
それは、我が家に伝わる宝剣バルムンクだ。
一応、今の主人は俺ではあるけど、父上からの許可も出ている。
「それはバルムンク家の家紋!」
「その持ち主を選ぶという刀を持ってるということは、ユウマ殿でしょうか?」
「ええ、そうです。ユウマ-バルムンクと申します。本日、お呼ばれしたと思うのですが……」
「はっ! 聞き及んでおります! 大変失礼いたしました!」
「いえいえ、それが衛兵さんの職務ですからね」
「………」
「あれ? 何か変なこと言いましたか?」
「い、いえ……それでは、私が案内させて頂きます」
衛兵さんにお礼を言い、そのまま中に入る。
そして、屋敷の扉の前にいる衛兵さんにも挨拶をして、屋敷の中に通された。
そこは広い玄関ホールになっていて、左右奥には階段がある。
「わぁ、懐かしいや。相変わらず広いし」
「そういえば、以前は来てたとか……あっ、奥様がいらっしゃいました」
視線を向けると、階段を優雅に降りてくる美女がいた。
王都にいる侯爵閣下に変わって、この地を守っているローラ夫人だ。
抜群のスタイルと綺麗な金髪に若々しい姿、俺の知ってる頃と変わりはない。
流石は、国一番の美女と言われたお方だ。
「あらあら、いらっしゃっいませ。ユウマ君かしら?」
「はい、そうです。ローラさん、ご無沙汰しております。相変わらずお綺麗ですね」
「ふふ、ありがとう。あの坊やが、こんなに立派な青年になって。もう、私より背が高いわ」
俺の側に寄ってきて、頭を撫でてくる。
もうそんな歳ではないけど、少しむず痒くも嬉しい。
継母のことは好きだけど、やはり甘えたりはできないし。
「一応、百七十五くらいにはなったので」
「まあまあ、ほんとだわ。きっと、あの子も驚くわね」
「あの子? ああ、セリスのことですか? そういえば、あの子はどこに?」
「あら? さっきまで一緒だったのに照れてるのね。ふふ、そうだわ……あの子の部屋に行ってくれない?」
「えっ? 勝手に良いのですか?」
「ええ、貴方なら良いわ」
許可が出たので、昔のように階段を上がっていき、セリスの部屋の前に立つ。
「セリス?」
「えっ? その声は……ユウマ?」
「うん、そうだよ。それじゃ、扉をあけるね」
「ちょっと待って……っ~!?」
「……へっ?」
その姿に思わず固まってしまう。
そこには純白の下着を着た、綺麗な女の子がいた。
サラサラの金髪は輝き、腰は細いのに胸の膨らみは大きい。
「キャァァァァ!?」
「へぶしっ!?」
枕が飛んできて、俺の顔面に直撃する!
それにより扉が閉じ、俺の頭が動き出す。
「へっ? ……お、女の子!?」
「あらあら、困ったわ」
「ち、違うんです! これは覗こうとかしたわけではなくて!」
「ふふ、わかってるから大丈夫よ。セリス! 早く着替えて出てらっしゃい!」
「わ、わかってます!」
どういうこと? ここはセリスの部屋だけど、綺麗な女の子がいた。
だから別人かと思ったけど、あの子はセリスらしい。
ただ……俺の幼馴染は男の子だったはずなんだけど。
混乱していると、扉から女の子が出てくる。
「うぅー……覗かれちゃった」
「ふふ、貴女が悪いんじゃない。着替えたのに、どうして脱いだのよ?」
「うぅー……そうだけど。だって、あんな女の子みたいな服着たらバレちゃうし」
「いや、そもそも隠し通せるものじゃないでしょうに」
「……えっと?」
そこにいたのは、まごう事なき美少女。
金髪をサイドテールにし、身長も俺の肩くらいはある。
スタイルも良くて、出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいる。
うん、思わず見惚れるくらいだ。
「混乱させてごめんなさいね。実は、セリスは女の子なのよ。ただ小さい頃から男の子みたいな遊びばっかりしてたから……貴方が来た時も、遠慮をして欲しくなくて言わなかったのよ」
「あぁ、なるほど。確かに女の子だとわかっていたら、対応は違ってましたね」
なにせ、当時の俺はセリスと殴り合いもしてたし。
というか、今考えと恐ろしい話だ。
侯爵令嬢を殴っていたとか……怖い怖い。
すると観念したのか、セリスが俺に目線を合わせてくれた。
「セリス、久しぶりだね。それと、覗いてしまってごめんなさい」
「ひ、久しぶり……とりあえず、保留にしておくわ」
「はは、それでお願い。後で殴るなり蹴るなりして良いからさ」
「でもお互い様だし、そこは我慢する。それより……ユウマは怒ってない?」
「いや、びっくりはしたけど怒ってないよ。それと、綺麗になったね」
「な、なっ——!? 何を言ってるのよ!?」
「あれ? ダメだった?」
おかしいな、師匠二人には女性には褒めろって言われてたし。
それに本当に綺麗だから嘘は言ってない。
「だ、ダメじゃないけど……相変わらず天然ね」
「そう? 俺は思ったことしか言ってないよ」
「っ~!? そういうところ!」
「まあまあ、相変わらず仲がいいわね。ほらセリス、ささっと出かける準備をしなさい」
その後、セリスは部屋に戻り、俺は一階にある応接室に案内される。
ソファーに促され座り、対面にローラさんが座った。
メイドさんが出した飲み物を飲んだ後、ローラさんが話し出す。
「まずは、依頼を受けてくれてありがとう。あの子が、学園に入る前に謝りたいって言ってたから」
「ああ、女の子だったって話ですか」
「ええ、そのことで急に会えなくなったことも。セリスが恥ずかしがっていたのもあるけれど、貴方とあの子が女の子と男の子だから」
その話だけで、なんとなく察する。
当然、年頃の男女と同性同士が相手の家で遊ぶとでは意味が違う。
婚約者ならまだしも、ただのお友達のまま付き合うことは難しい。
もちろん、そういう関係もあるとは思うけど。
ただ、うるさいこと言う人はいるだろうね。
「まあ、侯爵家令嬢となると、話は大分変わりますよね。それこそ、婚約者とかいたら同じ年頃の俺とは中々会えませんし」
「ふふ、相変わらず頭のいい子ね。ただ、半分正解ってとこかしら。そもそも、あの子が王都の学校に行ってここにいなかったから。あと別に婚約者はいないのだけど、これから出来るかもしれないってこと」
「ああ、なるほど。学園でってことですか」
王都にある学園というくらいだし、おそらく高位貴族達がいる。
下手すると、王族とかもいそうだ。
「あら、随分とあっさりね? 別にうちとしては、貴方に嫁がせてもいいんだけど……」
「いえいえ、俺なんかには勿体無いですよ。あんなに綺麗になってましたから」
「あらあら、お上手ね……それと女の子だけど、あの子と仲良くしてくれるかしら?」
「ええ、もちろんです。女の子であろうと、俺にとってセリスは幼馴染に違いはありませんから」
幼馴染が実は女の子だったのは驚いたけど、その時の楽しい思い出が変わるわけではない。
だったら俺は、昔のようにセリスに接した方がいいよね。
きっと、彼女もそれを望んでいると思うから。
「よし、どうにか二日でついた。今はお昼前……時間にも間に合ったと」
父上には、今日のお昼過ぎに出る予定だと聞いていた。
「ただ、流石に風呂も入ってないし着替えてもないのはまずい」
うちはしがない田舎貴族で伯爵家、相手は王都にも顔が効く侯爵家、その力の差は歴然だ。
流石にこのままではまずいので、身だしなみを整える必要がある。
俺は近くにある村には入って準備をしてから、領主の街に向かう。
すると、門の前の兵士達が警戒してくる。
「何者だ? こんなところに子供?」
「ここはミルディン侯爵様の別宅だ。一人で何をしている?」
「すみません、怪しい者ではないです。こういう者でして……」
腰にぶら下げてある刀を差し出し、身分を証明する。
それは、我が家に伝わる宝剣バルムンクだ。
一応、今の主人は俺ではあるけど、父上からの許可も出ている。
「それはバルムンク家の家紋!」
「その持ち主を選ぶという刀を持ってるということは、ユウマ殿でしょうか?」
「ええ、そうです。ユウマ-バルムンクと申します。本日、お呼ばれしたと思うのですが……」
「はっ! 聞き及んでおります! 大変失礼いたしました!」
「いえいえ、それが衛兵さんの職務ですからね」
「………」
「あれ? 何か変なこと言いましたか?」
「い、いえ……それでは、私が案内させて頂きます」
衛兵さんにお礼を言い、そのまま中に入る。
そして、屋敷の扉の前にいる衛兵さんにも挨拶をして、屋敷の中に通された。
そこは広い玄関ホールになっていて、左右奥には階段がある。
「わぁ、懐かしいや。相変わらず広いし」
「そういえば、以前は来てたとか……あっ、奥様がいらっしゃいました」
視線を向けると、階段を優雅に降りてくる美女がいた。
王都にいる侯爵閣下に変わって、この地を守っているローラ夫人だ。
抜群のスタイルと綺麗な金髪に若々しい姿、俺の知ってる頃と変わりはない。
流石は、国一番の美女と言われたお方だ。
「あらあら、いらっしゃっいませ。ユウマ君かしら?」
「はい、そうです。ローラさん、ご無沙汰しております。相変わらずお綺麗ですね」
「ふふ、ありがとう。あの坊やが、こんなに立派な青年になって。もう、私より背が高いわ」
俺の側に寄ってきて、頭を撫でてくる。
もうそんな歳ではないけど、少しむず痒くも嬉しい。
継母のことは好きだけど、やはり甘えたりはできないし。
「一応、百七十五くらいにはなったので」
「まあまあ、ほんとだわ。きっと、あの子も驚くわね」
「あの子? ああ、セリスのことですか? そういえば、あの子はどこに?」
「あら? さっきまで一緒だったのに照れてるのね。ふふ、そうだわ……あの子の部屋に行ってくれない?」
「えっ? 勝手に良いのですか?」
「ええ、貴方なら良いわ」
許可が出たので、昔のように階段を上がっていき、セリスの部屋の前に立つ。
「セリス?」
「えっ? その声は……ユウマ?」
「うん、そうだよ。それじゃ、扉をあけるね」
「ちょっと待って……っ~!?」
「……へっ?」
その姿に思わず固まってしまう。
そこには純白の下着を着た、綺麗な女の子がいた。
サラサラの金髪は輝き、腰は細いのに胸の膨らみは大きい。
「キャァァァァ!?」
「へぶしっ!?」
枕が飛んできて、俺の顔面に直撃する!
それにより扉が閉じ、俺の頭が動き出す。
「へっ? ……お、女の子!?」
「あらあら、困ったわ」
「ち、違うんです! これは覗こうとかしたわけではなくて!」
「ふふ、わかってるから大丈夫よ。セリス! 早く着替えて出てらっしゃい!」
「わ、わかってます!」
どういうこと? ここはセリスの部屋だけど、綺麗な女の子がいた。
だから別人かと思ったけど、あの子はセリスらしい。
ただ……俺の幼馴染は男の子だったはずなんだけど。
混乱していると、扉から女の子が出てくる。
「うぅー……覗かれちゃった」
「ふふ、貴女が悪いんじゃない。着替えたのに、どうして脱いだのよ?」
「うぅー……そうだけど。だって、あんな女の子みたいな服着たらバレちゃうし」
「いや、そもそも隠し通せるものじゃないでしょうに」
「……えっと?」
そこにいたのは、まごう事なき美少女。
金髪をサイドテールにし、身長も俺の肩くらいはある。
スタイルも良くて、出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいる。
うん、思わず見惚れるくらいだ。
「混乱させてごめんなさいね。実は、セリスは女の子なのよ。ただ小さい頃から男の子みたいな遊びばっかりしてたから……貴方が来た時も、遠慮をして欲しくなくて言わなかったのよ」
「あぁ、なるほど。確かに女の子だとわかっていたら、対応は違ってましたね」
なにせ、当時の俺はセリスと殴り合いもしてたし。
というか、今考えと恐ろしい話だ。
侯爵令嬢を殴っていたとか……怖い怖い。
すると観念したのか、セリスが俺に目線を合わせてくれた。
「セリス、久しぶりだね。それと、覗いてしまってごめんなさい」
「ひ、久しぶり……とりあえず、保留にしておくわ」
「はは、それでお願い。後で殴るなり蹴るなりして良いからさ」
「でもお互い様だし、そこは我慢する。それより……ユウマは怒ってない?」
「いや、びっくりはしたけど怒ってないよ。それと、綺麗になったね」
「な、なっ——!? 何を言ってるのよ!?」
「あれ? ダメだった?」
おかしいな、師匠二人には女性には褒めろって言われてたし。
それに本当に綺麗だから嘘は言ってない。
「だ、ダメじゃないけど……相変わらず天然ね」
「そう? 俺は思ったことしか言ってないよ」
「っ~!? そういうところ!」
「まあまあ、相変わらず仲がいいわね。ほらセリス、ささっと出かける準備をしなさい」
その後、セリスは部屋に戻り、俺は一階にある応接室に案内される。
ソファーに促され座り、対面にローラさんが座った。
メイドさんが出した飲み物を飲んだ後、ローラさんが話し出す。
「まずは、依頼を受けてくれてありがとう。あの子が、学園に入る前に謝りたいって言ってたから」
「ああ、女の子だったって話ですか」
「ええ、そのことで急に会えなくなったことも。セリスが恥ずかしがっていたのもあるけれど、貴方とあの子が女の子と男の子だから」
その話だけで、なんとなく察する。
当然、年頃の男女と同性同士が相手の家で遊ぶとでは意味が違う。
婚約者ならまだしも、ただのお友達のまま付き合うことは難しい。
もちろん、そういう関係もあるとは思うけど。
ただ、うるさいこと言う人はいるだろうね。
「まあ、侯爵家令嬢となると、話は大分変わりますよね。それこそ、婚約者とかいたら同じ年頃の俺とは中々会えませんし」
「ふふ、相変わらず頭のいい子ね。ただ、半分正解ってとこかしら。そもそも、あの子が王都の学校に行ってここにいなかったから。あと別に婚約者はいないのだけど、これから出来るかもしれないってこと」
「ああ、なるほど。学園でってことですか」
王都にある学園というくらいだし、おそらく高位貴族達がいる。
下手すると、王族とかもいそうだ。
「あら、随分とあっさりね? 別にうちとしては、貴方に嫁がせてもいいんだけど……」
「いえいえ、俺なんかには勿体無いですよ。あんなに綺麗になってましたから」
「あらあら、お上手ね……それと女の子だけど、あの子と仲良くしてくれるかしら?」
「ええ、もちろんです。女の子であろうと、俺にとってセリスは幼馴染に違いはありませんから」
幼馴染が実は女の子だったのは驚いたけど、その時の楽しい思い出が変わるわけではない。
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きっと、彼女もそれを望んでいると思うから。
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