田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

おとら@ 書籍発売中

文字の大きさ
14 / 60

試験終わりに

しおりを挟む
試験を終えた俺に、理事長先生が近づいてきた。

近くで見ると、その魔力保有量に圧倒される。

「ほほ、見事な魔法でしたな」

「ありがとうございます……理事長先生、すごい魔力ですね」

「おやおや、隠してるのですがわかってしまいましたか」

「隠してるのですか?」

俺から見ると、丸わかりだけど。
魔法使いの魔力量や技量を見抜くのは、必須だとエリスに教わってきたし。

「普通の人にはわからないようになってますよ。流石は、あの方が育て上げた子ですな」

「あの方? ……もしかしてエリスのことですか?」

「エリス……いや、そうですな。実は彼女とは古い知り合いでして、手紙などで話を聞いていたのですよ。仕えてる家に、面白い子が生まれたとか」

「面白い……まあ、よく遊ばれてますけど」

「ほほ、気に入られてる証拠です。さてさて、面白くなりそうですね」

「あの、俺が呼ばれた理由ってなんでしょうか? 理事長先生なら知ってるかと思うのですが」

来たはいいけど、何をしたらいいのかわからない。
何か目的があって呼んだはずだし。

「ええ、知ってますとも。ですが、私からは言えないのです。ただ、貴方は思う通りにやってくれたら良いと言っておきましょう」

「思う通りに……好き勝手ってことですか?」

「ええ、そういうことです。おっと、そろそろ次の試験ですな。では、私はこれにて……貴方の活躍を期待してます」

「はぁ……頑張ります?」

「ほほ、そのうちわかりますよ」

そうして、理事長先生が去っていく。
俺は釈然としないまま、二人の元に戻る。

「ユウマさん! すごいです!」

「本当にすごいわ。よく、あのミレーユ様に勝てたわね」

「いやいや、属性の相性が良かったから。それに、あの人も本気じゃなかっただろうし」

「それはそうかもだけど、それでもすごいことよ? あの人、学園でも上位に入る実力者だって話だし」

「ふーん、そうなんだ。さて、俺は終わったしどうしようかなー。寮に戻るか、適当に観光でもするかな」

どうやら、今日はこれで終わりらしいし。
まだお昼くらいだし、午後の時間は結構ある。

「あ、あの! わたしにお礼をさせてください!」

「お礼? ……ああ、別にいいのに。あれは俺が勝手にやったことだしね」

「そう言えば……その、二人はどういう知り合いなの?」

「ああ、えっと……」

その時、二人の名前が呼ばれる。

「あっ、わたし達呼ばれましたよ」

「そうみたいね。それじゃ、ユウマは校門で待ってること。私達も、あとで行くから」

「わかった。それじゃ、二人も頑張ってね」

二人を見送り、俺は体育館を後にする。
その時に、生徒達にじろじろと見られたけど、一体なんだったのだろうか?
どうせなら、話しかけてくれれば良いのに……そういや、友達ってどうやって作るんだろ?
しまった、俺ってば自分から友達作ったことないや。





そして、待つこと十分ほど経つと……二人が体育館から出てくる。

その顔を見るに、どうやら上手くいったらしい。

「ユウマ! 終わったわ!」

「終わりました!」

「二人とも、お疲れ様。そういえば、魔法しかやってないけど良いのかな?」

「ユウマ、得意分野の説明はしなかったの?」

「……聞かれなかったね。一応、剣も使えるんだけど」

いきなり、魔法でやることになってたし。
理事長をみるに、俺が魔法が使えることは知ってたみたいだけど。

「じゃあ、元々知っていたってこと? ……そもそも、肝心なこと聞き忘れていたけど、どうして入学したの?」

「それが、俺にもよくわからないんだよね。なんか、父上が国王陛下に頼まれたらしい。俺を、この学校に入学させてくれって」

「わぁー! それってすごいことでは!? だって、ここは入りたくても入れない人がたくさんいるって」

「貴方、どうしてそれを言わないのよ!」

「いや、聞かれなかったし……」

すると、二人が顔を見合わせて苦笑する。
なんだか、息がぴったりになってるし。

「ユウマさん、この学園はエリート揃いの学校らしいです」

「ここは将来、それなりの立場に着く人が多いの。だから、それぞれの得意分野を中心に伸ばしつつ、色々な授業を受けていくわ」

「あっ、そうなんだ?  そりゃ、楽しみになってきたね」

せっかく学校に通うなら、今よりも強くなりたいし。
ダンジョン探索とか、冒険者とかにもなってみたい。

「もう、お気楽なんだから」

「えへへ、ほんとですね。でも、おかげで緊張せずに済みました」

「それなら良かった。それより、二人はこれからどうするの? さっきも言ったけど、お礼とか気にしなくても良いよ」

「だ、だめです! とりあえず、お昼をご馳走させてください!」

「そうよ。というか、私だってお礼してないし……そもそも、何があったか聞かせてもらえるかしら?」

「うげぇ……はーい」

これは絶対に怒られるパターンだなと思いつつ、諦めて二人に連行される。

両脇には美少女……正直言って、ドキドキするから困るんだよなぁ。

俺ってば、同い年くらいの女の子と関わってこなかったし。

もしかして、父上が行けって言ったのはお嫁さん探しの意味もあるとか?

……まさかね。






しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...