田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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ミレーユ視点

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 目的地に歩きながら、私は昼間の出来事を思い出す。
 すると、笑みがこぼれてる自分に気づく。
 しかし、それも無理はないと思った。

「いやはや……実に面白い子だったな」

 まさか、私のことを普通に褒めたり話しかけたりする男性がいるとは。
 大体恐れて近づかないか、口説いてくるかの二択だったのだが。
 容姿もそうだが、私の魔法を欲しがる男性も多い。 
   それとは逆に、女の癖に偉そうだと言われてることも知っている。

「思わず、動揺してしまったではないか」

私のことを、綺麗などと直球で言ってくるとは。
しかも下心なく、ただ素直な感想だった。
……中々に嬉しいものだな。

「それにしても、本気ではないとはいえ撃ち負けるとは……」

 そんなことを考えていると、目的地に到着した。
 私は近衛達に目配せをして姿勢を正し、目の前の扉に問いかける。

「国王陛下、ミレーユ-アストレイでございます」

「うむ、入るがよい」

「はっ、失礼いたします」

 近衛騎士が扉を開け、国王陛下の私室に入る。
 すると、そこには理事長のモーリス様もいらっしゃった。

「よく来たな、我が姪っ子ミレーユよ。ここは私室だ、固いことは気にせんで良い」

「わかりました、伯父上。モーリス様、先程ぶりです」

「ほほ、そうですな。良いものを見させて頂きました。まさか、貴方の魔法が撃ち負けるとは」

「情けない姿を見せて申し訳ありません」

 いくら噂の麒麟児とはいえ、正直言って眉唾物だと思っていた。
 まだ成人して間もない殿方に負けるとは……同じくらいの年齢に負けたのは初めてだ。
 ふふ、なんだか身体が熱くなってしまったな。

「ふむ、ちょうどその話をしていたのだ。実際に戦ったお主から見てどうだ?」

「人柄と実力等、申し分ないかと。人を見下すこともなく、それでいて自然体です。そして、魔法に関しては理事長のおっしゃる通りかと」

「なるほど、噂通りの子ということか。エルバートの奴が親馬鹿を発揮したかと疑いもしたが……どうやら、真実だったようだな」

「我が国最強の騎士と言われた、エルバート様の御子息ですから」

 全盛期を知る方々は、よく言っていた。
 若い頃の彼は、それはもう強かったと。
 敵陣に乗り込み、大剣を振り回して軍そのものを粉砕したとか。

「まあ、私もそれを信用して頼んだが……ひとまず、良しとしよう。これで、あいつに酒を奢らんといかん」

「ほほ、賭けをしてましたな。国王陛下ともあろう方が」

「ええい、それくらい良いだろうに。あいつと私の仲だ」

「そもそも、どういった流れなのですか?」

 私が聞いたのは、彼の人柄と実力を試すこと。
 そして、理由としては今の学園に刺激を与えるため。
 今の学園はよくいえば安定しているが、悪くいうと怠けている。
 自分達がエリートだと、強くて偉いのだと勘違いしてる者達が増えてきた。

「私が、今の学園に危惧をしているのをエルバートにこぼしたのだ。戦争も知らないし、実戦経験も浅い。平和は良いことだが、このままでは危ういかもしれんと。もし将来的に、戦争やスタンビードが起きた時に対応が出来るのかと」

「確かに驕り高ぶっている生徒を見かけますな。一応、そういう規則はあるのですが」

「私の方も、それを感じています」

 身分は関係ないはずなのに、それをかさにきて偉そうにしたり。
 強い奴は偉いと思い、それで威張り散らしたり。
 そんなことをするのは、本当の強さではないというのに。

「うむ。そしたら、うちの息子を学園にやろうかと。実戦も知ってるし、その強さは自分が認めると。その子なら、緩んだ学園に刺激を与えてくれるのではないかと。驕り高ぶった生徒達の鼻をへし折ってやると」

「そして、その賭けに乗って負けたわけですな。あれなら、良い刺激になってくれるかと」

「ぐぬぬ……まあ、よい。その話を聞く限り、人柄も問題なさそうだ。そもそも、バルムンク家の者はで信用に値する」

「そうですね。なにせ、代々国を守り続ける英雄バルムンク家ですから」

「……それだけが理由じゃないが」

「他にも何か?」

「いや、聞かなかったことにしてくれ。さて、ひとまず話はお終いにしよう。今後も、定期報告を頼む」

「……わかりました。それでは、失礼します」

 どうやら、他にも何かありそうだ。

 ふふ……ユウマ-バルムンクか。

 久々に、良いと思える殿方に出会えたかもしれない。

 これからの彼の行動に目が離せないな。







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