田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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放課後にて

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 そして授業が終わり、短縮授業なので今日はこれで終わりになる。

「はい、お疲れ様でした。 今日はこれで終わりとなります。明日以降は午前中は基礎知識、午後からは選択科目の見学となります。そして休みの間に考えて、週明けに提出をしてもらいます……暫定ですが、カイン君をクラスの委員長にしても良いですか? 帰りの挨拶をお願いしたいのです」

「ええ、構いません。王族である俺が相応しいでしょう。このまま委員長としてやりますよ」

「ありがとうございます。それじゃあ、お願いします」

「では、起立……礼!」

「はい! お疲れ様でしたー! また明日からよろしくお願いします!」

 どうやら、こういう感じでやるらしい。
 俺は経験がないので、よくわからないけど。
 すると、その委員長……第二王子のカイン様が近づいてくる。
 第二王子ではあるけど、王位を継ぐ可能性もある方だ。
 うちの国は学校を卒業してから、国王陛下が正式に王太子を任命をするとかしないとか。
 第二王子が卒業したあと、二個上の第一王子のどちらかが選ばれるのだろう。

「セリス殿、久しぶりだな」

「これはカイン様、ご挨拶が遅れて申し訳ありません」

「いや、短い休み時間では仕方あるまい。まさか、このような素敵なレディになっているとはな。会うのは二年ぶりくらいだから、一瞬気づかなかったぞ」

「ふふ、ありがとうございます。カイン様も、ますます素敵な殿方になりましたわ」

「世辞とはいえ、それは嬉しい言葉だな」

 ……おおっ、セリスがきちんとお嬢様をやってる。
 こうしてみると、本当に侯爵家令嬢なんだね。
 二人が並んで立ってると、何も違和感ないし。
 家柄的にも問題ないし。

「そんなことありませんわ。カイル様、こちらの二人を紹介させてください。カレン-エルランさんとユウマ-バルムンク殿ですわ」

「うむ……エルラン伯爵家が引き取ったという女性か」

「はい、カレン-エルランと申します。はじめまして、カイル様」

「君も養子とはいえ、貴族になったからにはしっかりしたまえ。そして、ユウマ殿か」

「はい、よろしくお願いいたします。先程は、失礼いたしました」

「いや、あれはあれで助かった部分はあるからよい」

 なんだ? 何やら睨まれてるような……。
 もしかして、さっきの仲裁が良くなかったかな?
 でも、助かったと言ってる言葉には嘘は感じない。

「まあ、良い。ところで、セリス殿。このあと、時間はあるだろうか?」

「えっ? この後でしょうか?」

「何か用事でもあっただろうか?」

「い、いえ、そういうわけではないのですが……」

 その時、ちらっとセリスから視線を向けられる。
 ……どういう意味だろう?

「ならば良いだろう」

「……はい、畏まりました」

「それでは、行くとしよう」

 そうして、セリスを連れてカイル様が教室から出て行く。
 最後に、セリスが俺の顔をちらっと見たような気がした。
 すると、カレンさんが俺の服の端を掴む。

「あの、良いんですか?」

「ん? どういう意味?」

「いや、セリスさんを行かせても……」

「いや、相手は王子様だし問題ないと思うけど。というか、嫌だったのかな?」

 見た限り、別に嫌って感じではなかった。
 戸惑ってはいたけど思うけど。
 そもそも侯爵令嬢ともなれば、第二王子の相手としては不足なしだ。
 俺に止める権利もないしね……無論、セリスを泣かせるなら承知しない。

「そういうんじゃなくて……もう、仕方ないですね」

「……もしかして責められてる?」

「い、いえ、そんなつもりはないです! それより、ユウマさんは午後はどうするんですか?」

「いや、特には用事ないかな。清々、街を散策するかなくらい」

「それじゃあ、わたしに付き合ってくれますか? 実はお願いがあって……その……」

 何やら言い辛そうにしている。
 優しい子なので、俺に迷惑をかけたくないのかも。
 できれば、そんな顔は見たくないよね。

「うん、良いよ」

「えっ? まだ何も言ってないのに……」

「よくわからないけど、俺にできることがあるんでしょ? だったら付き合うよ」

「ユウマさん……ありがとうございますっ!」

「いえいえ。それじゃ、行こうか」

 いつの間にか、教室には俺たち以外いなくなってる。

 俺は結局、新しい人と話せないまま学校を出るのだった。
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