田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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昨夜は早めの就寝をし、早朝に目を醒ます。

俺は隣で寝ているレオンを起こさぬように、テントから出て行く。

すると、焚き火の前で座っているカレンがいた。

「カレン、おはよう。随分と早いね?」

「ユウマさん、おはようございます。少し慣れない環境だったので」

「ああ、そうだよね。王都から出たこともないもんね」

セリスはお嬢様だけど、あちこちに出かけたりしている。
野宿こそないけど、王都に来るときに旅はしてるし。
カレンの場合は王都の孤児院で育ち、王都の伯爵家に引き取られたので外は緊張するだろう。

「はい、そうなんです。実は父にも、今回の校外学習は反対されまして……」

「ふむふむ、良いことじゃない。養子だけど、それだけ可愛がってるてことだし」

「えへへ、それはそうです。ただ、それだけじゃないみたいで……身の回りには気をつけろって言われました」

「……あぁー、なるほど」

多分、襲撃者のことを言っているのかも。
結局、なんで襲われてるのかは知らないけど。

「何か知ってるのですか?」

「いや、何も知らないよ。ただ、伯爵は俺を知ってるって話は聞いた事ある」

「あっ、そうなんです。父が言っていました。もし何かあれば、ユウマ殿を頼るが良いと」

「へぇ? もしかしたら、父上の知り合いなのかも」

あの人、王都によく行ってるし。
意外と交流関係が広かったりするかもしれない。
そもそも、あんなんだけど……英雄として有名らしいし。

「英雄エルバード様ですね。よく孤児院でおとぎ話を聞いてました。敵陣に切り込み、一騎当千の力を持ってして粉砕すると」

「そうらしいね。最近では、全然戦わないけど」

「それはユウマさんみたいなできる息子さんがいるからですよっ」

「それなら良いけど……まだまだだね」

「よかったらどうぞ」

「おっ、ありがとう」

カレンが温めたカップを渡してくれた。
まだ冷たい空気の中、ミルクを飲む。
おそらく、昨日のシチューに使った残りだろう。

「ズズー……はぁ、美味い」

「用意しておいてよかったです」

「……まあ、伯爵にはそのうち話を聞くとして、カレンのことは守るから大丈夫」

「えっ? そ、それって……」

「もう友達だしね」

するともじもじしてたのに、急に落胆した表情になった。

「はぁ……セリスさんも苦労してそうです」

「どうしてセリス?」

「ううん、なんでもないです。でも、嬉しい……光魔法っていう希少な力に目覚めて、貴族の家に引き取られた時、正直言って嫌だったんです」

「それはそうだろうね。今までの生活が一変するわけだし」

「はい、突然知らない世界に来て、自分だけが幸せになって……でも、ここに来れて良かったです。わたしは、わたしにできることをやります」

「それは何かな?」

「えへへ、まだ内緒です」

そう言い、可憐に微笑む。

青髪が朝の光を浴びて、綺麗に輝いていた。

よくわからないが、彼女も迷いが晴れてきたみたいだ。






その後全員が起きて、朝食を食べ終えたら、いよいよ校外学習の本番だ。

「みなさん、おはようございます。 今日丸一日を使って、皆さんには色々と学んでもらいます。 パーティーでの行軍や連携、自然の中での過ごし方、魔物や魔獣との遭遇。自分達で食事などを用意することなど。最終的には目的地を目指して到着することが今日のメインです。それでは、各班の代表はこちらにきてください」

その後、話を聞いたセリスがやってくる。
この広い森の中には自然があり、それを使って色々と学んでいくことになってるようだ。

「セリス、どうだった?」

「さっきも言ってたけど、最終目的は森の奥にある祠みたい。そこにある証を、制限時間内に持って帰ると夕飯が豪華になるそうよ。冒険者や兵士の方が間引きはしてくれたけど、弱い魔物や魔獣はいるらしいわ。自分達で休憩を取りつつ、それらを排除して目指すことになるわね」

「なるほど、持って帰れなかったら最悪の場合飯抜きか……それは嫌だね」

「昨日の飯が美味かったから尚更のことだ」

「お腹空かして寝るのは苦しいですから……」

その時、三人の心は一致した。
美味しいご飯を食べたいと。

「もう、貴方達ってば食べ物のことばかりじゃない」

「そういうセリスはご飯なくて良いの? 俺の記憶では、セリスは食いしん……ナンデモナイデス」

「ふふ、良かったわね? さあ、準備をして待機するわよ。それぞれの班が、時間差で出発するみたいだから」

ふぅ、なんとか難を逃れたみたいです。

俺は独断専行しがちって言われたし、その辺りを気をつけないとかな。





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