田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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休息と助言

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 食べ終わったら、片付けを済ませる。

 ちなみに、腹は六分目くらいにしておいた。

 お腹いっぱいだと眠くなるし、動きも鈍くなるからだ。

「じゃあ、行くわよ」

「セリスさんや、少しのんびりしていこうよ」

「な、何を言ってるの? まだ演習中なのよ?」

「だからこそだよ。まだ先は長いし、地図を見る限り余裕はあるし。休憩を取れる時に、しっかり休憩を取ることも大事だと思う」

 優秀な戦士は、休める時に休むとも教わってきた。
 人は長い間、緊張の糸は続かない。
 一度解いて緩め、また締め直す感覚だとライカさんは言ってたっけ。
 何より……多分、カレンはまだ疲れてる。

「うむ、我も同意見だ。戦士の休息という本で読んだことがある。力を出すべき時に出す、そのための作法だとか」

「へぇ、二人が言うなら間違いなさそうね。カレンはどう思う?」

「その……まだ少し足が痛いので、休めると嬉しいです。ごめんなさい、大したことしてないのに」

「あっ……これは、気づかなかった私が悪いわね。それに、そんなことはないわ。そもそも回復役っていうのは、いざって時に魔力を温存するって習ったもの」

「そうそう、使わないに越したことはないってこと」

「でも、わたしも役に立ちたいですっ」

 うーん、気にすることはないけど本人は気になるか。
 カレンがなるべく魔力を使わずに攻撃をする方法……あっ、あれがいいか。

「カレン、後で少し試してほしいことがあるんだ」

「ユウマさん?」

「それができれば、カレンの望みは叶うかもしれない。でも、それはしっかり休憩を取ったら話……いいかな?」

「……はいっ、わかりました」

「決まりね。それじゃ、各自……三十分の休憩を取りましょう」

 そして、それぞれ離れないように休息を取る。
 俺はカレンの足を川につけるように言い、その隣に座った。
 レオンは木に寄りかかり、セリスは温かいお茶を飲んでいるようだ。

「うぅー……冷たくて気持ちいいです」

「慣れない森での歩きだから疲れたよね。傷ならまだしも、疲れは魔法では癒せないし」

「そうなんですね……あの、さっきのって」

「うーんと、魔法ってどういう風に習った?」

「魔法ですか? ……自分の中ある魔力を具変化することって教わりました」

「そうそう、そういうこと。つまりは、想像することが威力や効率に繋がるわけなんだ。ちょっと見ててね」

 俺は立ち上がり、小さな木の前で腕を前に出す。

「ウインドカッター」

 俺が放った風の刃は小さな木を切り裂いた。

「今のは普通の魔法ですよね?」

「そうそう。例えば、今のが魔力を十使ったとしよう。次に——風刃剣!」

 刀に風を纏わせ、同じように木に向けて放つと……風の刃で木が切断された。

「今のは……魔法ですか?」

「厳密にいうと、魔法剣って感じかな。使える人は、あんまり見たことないけど」

「す、すごいですっ……あれ? それと何の関係があるんですか?」

「今のは、さっきの三分の一くらいしか魔力を使ってない。刀が斬るというイメージを

 刀は斬るものという認識が俺の中にある。
 それにより、魔力を効率化してくれた……ということらしい。
 俺自身もエリスから教わっただけで、実は良くわかってない。

「……魔力が発動する際に、刀が具現化の手伝いをしてくれたってことですか?」

「おっ、俺より全然分かりやすいや。うん、その認識で合ってると思う。さて、俺が何が言いたいかわかった?」

「えっと、武器を使って魔法の補助を行う……そうすれば魔力の消費が減ったりする……あっ! わ、わかりましたっ!」

「そしたら、後は実戦で試すだけだね。幸い、これは演習なんだから気楽にいこう」

「はいっ、ありがとうございます!」

 そう言い、晴れやかな表情になった。
 さてさて、上手くいくと良いな。
 その後はゆったりとし、休憩時間を終える。

「みんな、準備はいい? ……良さそうね。じゃあ、また私が先頭になるわ」

「よし、後半戦も頑張ろー!」

「おー!」

 俺が拳を振り上げると、カレンが追随した。
 それを見て、レオンがおろおろしていたが……意を決したらしい。

「お。おー?」

「ふふ、レオンは無理に合わせなくていいわよ」

「えへへ、そうですよー」

「あぁー、そういうものか」

 俺はともかく、 いつの間にかレオンと二人の間に硬さがない。
 きっと、こういうのも実習の狙いなんだなと思った。
 国王陛下は、異種族間の関係を良くしようとしてるみたいだしね、





 その後は順調に進んでいく。

 たまに脱落してる生徒に出くわしたり、罠にかかった生徒を発見したり。

 それらには、見回りの先生や冒険者がすぐにきて救助をしていた。

「結構、脱落者も多いのかしら?」

「そうみたいだね。多分、休憩とか取ってないんじゃない? 俺たちより後の班の人もいたし」

「急ぐあまりに失敗したってことね。ユウマの言う通りにして良かったわ」

「まあ、俺の場合は受け売りだから。俺の手柄ってわけじゃないよ」

 それを教えてくれたのは師匠であり、先達である現場の兵士達だ。
 それを伝えていくことが、教えられた者の役目だと思う。

「ふふ、そういうところは相変わらずね」

「ほんとですっ」

「ふっ、自分の力だと誇示しないか……見習わねばならんな」

「……何だかなぁ」

 どうにも気恥ずかしくなり、俺は頭をぽりぽりとかくのだった。






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