田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

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ゴール

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三時を過ぎる頃、目的地の近くにやってくる。

まだ日差しはあるし、十分に間に合う距離だ。

「ふぅ、そろそろね」

「つまりは、一番油断してはいけないということだな」

「レオンさんの言う通りですねっ」

「あら、言いたいこと言われちゃった」

「ふんっ、お主にばかり良い格好はさせん」

そんな会話をするくらいに、俺達に余裕はあった。
あの後も結構脱落者を見たから、もしかしたら合格者も少ないのかも。
最初の演習にしては、結構難易度高いと思うし。

「それにしても、いつもこんな大変な思いをしているのね」

「セリスの兵士さん達や、冒険者の方とかはそうかも」

「そのおかげで、わたし達は安全な生活が出来ているんですねっ」

「ふむ、それを知ることも演習の狙いなのだろう。冒険者などは、どうも下に見られがちだ」

レオンの言う通り、冒険者の地位は低い。
便利屋とか、他になるものがないから仕方なくなったとか言われることもある。
彼らがいなければ、俺たちの生活は成り立たないというのに。

「それもあるから、俺は冒険者になりたいんだよね。彼らは、もっと讃えられるべきだ。無論、国を守る兵士たちもね」

「ふっ、良いことをいうではないか……むっ、何かくるぞ。この足音、ゴブリンやコボルトではない!」

「みんな! ここが踏ん張りどころよ! 各自、戦闘態勢!」

「カレン! いけると思ったらいっていい! フォローはするから!」

「わ、わかりましたっ!」

カレンが返事をした瞬間、奴らは現れた。
豚の顔に人の身体をした魔物……オークだ。
強さはゴブリンやコボルトの比ではなく、大人の兵士をも容易く殺す。

「ブヒヒッ」

「フゴッ!」

「くっ……明らかに私とカレンを見ているわ」

「ひぃ……確か、女の人を捕まえて……」

二人の言う通り、オークは少し特殊だ。
基本的に魔物は人を食うために襲う。
しかし、奴らは女の子をいたぶるのが趣味の魔物だ。
故に、女性地には特に忌み嫌われている。

「おい、後ろからゴブリンもきたぞ」

「オークを、女の子に相手にさせるわけにはいかないね。レオン、俺たちでやるよ」

「ふっ、勝負と行くか」

「上等だね。カレン、良い機会だ、ここから撃っても良いかも」

俺とレオンは前に出て、相手を牽制する。
その間に、後ろでカレンが弓を構える……

「いきます——シャイニングアロー!」

俺とレオンの間を、光の矢が通り過ぎ……後ろにいるゴブリンの頭に突き刺さる!
そして、そのまま魔石となった。
矢を光魔法で作ることにより、イメージを具変化させたんだ。
こうすれば魔力の消費も抑えられるし、唯一の弱点である矢が足りないという状況もない。

「フゴッ!?」

「ブヒッ!?」

その光の矢に、二台のオークがひるむ。
その隙は——俺達にとっては致命傷だった。
二人同時に踏み込み俺は居合で一閃、レオンは爪で引き裂いた。
こうして、一瞬で戦闘は終わりを迎える。

「カレン! 出来たじゃん!」

「で、出来ましたっ! これも、ユウマさんのおかげです!」

「いやいや、そんなことないって。それをきちんと出来たのはカレンの力だし。これで、魔力消費はそこまで気にしなくて良いはずだ」

「はい! 魔力の減りが全然違います! 魔力効率って、こんなに大事なんですね……」

「ちなみに、他にも応用が効くよ。例えば人体の構造を知っていれば、効果的に回復魔法が使えるとか」

「あっ……そういうことになりますね。ユウマさんは、そういったことも?」

「まあ、それなりにね」

というより、強制的にやらされた。
血みどろになった兵士達を、それこそ何度も吐きながら。
おかげで、回復魔法は上手くなったけど。

 「うむ、今のは良い攻撃だった。速さもあるし、牽制にもなりそうだ。お陰で、オークを苦労せずに倒せた」

「とりあえず、引き分けかな?」

「ふっ、我の方が早かった気がするが?」

「「……ほう」」

すると、セリスにほっぺをつねられる。

「あひゃい」

「ちょっと、さっき注意したでしょ。それに、今は置いてけぼりの私を構いなさいよ。まったく、三人であっという間に倒しちゃうんだから」

「「「あっ」」」

「もう、『あっ』じゃないわよ。私だけ、仲間外れみたいじゃない」

その少しいじけた顔に、三人で顔を見合わせ微笑む。

この短期間だけど、パーティーとして結束が深まったような気がする。

その後、歩き続け……俺達は無事にゴールへとたどり着くのだった。






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