アラサー独身の俺が義妹を預かることになった件~俺と義妹が本当の家族になるまで~

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義妹との生活

春香ちゃんはウキウキ

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 ど、どうしよう!?

 ドキドキが止まらないよぉ~!

 お、お兄ちゃんが助けてくれたし……。

 かっこよかったなぁ……。

 そ、それに……助手席です!

 えへへ~これって恋人みたいだよね?

 ずっと憧れてた……しかも、二人っきりで。

「おい?」

「ひゃい!?」

「うおっ! びっくりした」

 だ、だって、顔が目の前にあるんだもん!
 お兄ちゃんって厳ついから迫力あるんだもん……それが良いんだけど。
 目鼻立ちが良いし、顎のラインがシュッとしてるのが好き。
 本人は、初対面で怖がられることがあるから嫌だって言ってたけど……。

「うぅ……」

「何をニヤニヤしてたんだ?」

「な、なんでもないのっ!」

「相変わらず変な奴……まあ、いいか」

 お兄ちゃんはそう言うと、車を走らせます。
 詩織、ごめんね……貴女がいないと喜ぶ性格の悪いお姉ちゃんを許してください……。
 でも、夢だったもん……こうして、二人で出かけるの。




 ある程度走り、信号で止まると……。

「お前も、やっぱり黙ってるんだな?」

「ふえっ? ……ああ、詩織もそうだもんね。うん、昔からお父さんに言われてたもん」

「俺と兄貴の両親は交通事故で亡くなってるからなぁ。スマホを見ながら運転してる奴とか見ると……信じられん。自分の行動がどんなことを引き起こすか、考えたことがないのかね」

「歩きスマホとかもだよね……わたし、電車で怖いもん。全然前を見て歩いてないから、何度もぶつかられそうになったよ」

「そうだよな。あれで怪我をしたり、事故にあったりするニュースが毎日のように流れているのに……やっぱり、どこか他人事のように思っているんだろうか。いつどこで、何が起きるかわからないというのにな」

 お兄ちゃんは悲しそうな顔をしています。
 お兄ちゃんは、誰よりもそのことを知っているから……。
 だったら、わたしにできることは……少なくとも、心配をかけないことだ。

「お兄ちゃん……わたし、スマホ持っても気をつけるね」

「ああ、そうしてくれると助かる。まあ……あまり心配はしていないがな」

「えっ?」

「いや、色々心配はしているが、そういうアレではなくて……お前なら、きちんとやってくれるだろしな」

「うんっ!」

 信号が青に変わり、車が走り出す。
 ……お兄ちゃんは、わたしのこと信用してくれるんだ。
 えへへ、嬉しいなぁ。





 そして、携帯ショップがあるデパートに着きました。

「ほれ、行くぞ……春香?」

「ご、ごめんなさい!」

 いけない! 車を停めるお兄ちゃんに夢中になっちゃった!
 わたしは、慌てて車を降りようとします。

「イタッ!?」

「おい!?  平気か!?」

「うぅ……頭ぶつけた……」

「どれ、見せてみろ……腫れてはいないと。ったく、気をつけろよ? 相変わらずドジっ子なんだからな」

「むぅ……言い返せない」

 でも、いいや。
 お兄ちゃんが優しく撫でてくれたもん。
 ……ちょっと痛かったけど。





 携帯ショップに行き、割とすぐに契約することができました。
 多分、みんなは入学前に買うからだと思います。

「思ったより早かったな。それに学割かぁ……すげえな」

「お兄ちゃんの時はなかったの?」

「いや、あるにはあったが……ここまでじゃなかったな。今じゃカラオケとかも学割が効くっていうし……良いよなぁ」

 そっか、お兄ちゃんは学生らしいことが出来なかったって……。
 お兄ちゃんは言わないけど、きっとわたしの所為でもあるんだよね?

「お、お兄ちゃん!」
 
「うん?」

「こ、この後の予定ある?」

「いや、特にないな。もっと時間がかかると思ってたし。まだ夕飯には少し早いし」

「よ、洋服を見ても良い?」

「ああ、良いぞ」

「じゃあ……いこ!」

 勇気を出して、お兄ちゃんの手を握ります。

「おいおい、引っ張るなって」

「えへへ、楽しいんだもん」

 ……なんかこれって——デートみたい!




 女性物の洋服売り場に来たのは良いけど……。

「高いなぁ……」

 お洒落な物は、やっぱり高いのが多い。
 もちろん上級者だったら、組み合わせとか考えるんだけど……。
 わたし、そういうのもできないし……。

「ん? これが良いのか?」

 青のワンピースを見てたわたしに、お兄ちゃんが聞いてきます。

「う、うん。でも、高いよね。バイト溜まったら、こういうのも買いたいなぁ」

「ふむ……買ってやろうか?」

「ふえっ!? わ、悪いよ! 高いもん……」

「おい、人をお金がないみたいに言うなよ。これでも、一般のサラリーマンくらいはある」

「でも、携帯だって……」

「あれは兄貴達からもらったお金で買ったし。これは……そうだな、入学祝いってところか。バタバタしてて、何にもあげてなかったしな」

「お兄ちゃん……」

 ど、どうしよう? すっごい嬉しいけど……。

「俺が買いたいんだよ。ほら、好きなの選べ」

 そう言って、お兄ちゃんは頬をかいています。

「あ、ありがとぅ……嬉しい」

「そ、そうか」




 その後サイズを決めて、お兄ちゃんに買ってもらいました。

「お兄ちゃん! ありがと!」

「おう」

「これ着たら……一緒にお出かけしてくれる?」

「まあ、暇だったらな」

「むぅ……」

「わかった、わかった。出かけるからむくれるなよ」

「約束だからね!」

「へいへい」

「そういえば、お腹すいたね」

「どこが良い? 詩織はあちらの家で食うっていうし」

「えっと……ファミレスがいいな」

「おい? 俺に気を使うことはないぞ?」

「違うの……昔、お兄ちゃんがよく連れてってくれたから。お父さんとお母さんがいない時とかに。あと、お兄ちゃんがバイト代でパフェとか買ってくれたり……」

 わたしの大事な思い出……今でも、鮮明に覚えてる。

「そういや、そうだったな。兄貴達も金がなくてなぁ……安い物を頼んでたっけ。んで、内緒で食べさせてたっけ。わかった、そうするか」

「うんっ!」




 デパート内にあるファミレスに入って、注文をします。

「いやー、楽だな」

「どういうこと?」

「いや、片付けもしなくていいし、頼んだらくるし……」

「えっと……」

「あっ——もちろん、料理を作るのは好きだが……たまにはな」

「そうなんだ」

「だから、春香が作ってくれると嬉しいよ。ありがとな、割と助かってる」

「えへへ……よかったぁ」

 こんなわたしでも、お兄ちゃんの役に立ててるんだ。





「おっ、きたな。いただきます」

「いただきます」

「うん、美味い」

 お兄ちゃんはステーキを豪快に食べてます。

「美味しいね」

 わたしはハンバーグを食べます。

「美味いが……本当に良かったのか?」

「うん、これがいいの」

「まあ……お前が良いなら良いが」

 ……だって、美味しいもん。

 お兄ちゃん……好きな人と食べるなら、なんだって美味しい。

 お兄ちゃんも、そう思ってくれてたら……嬉しいな。
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