Ray of Light ~コミュ障ぼっち女子高生と恋愛スキルゼロの寡黙な天然イケメン社長~

Pink Diamond

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璃音編 霊感ゼロの璃音

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そして一人ぼっちの寂しい夜を乗り越えて

キラキラと輝く朝日が昇った翌朝6時に、いきなり突然!

Prrrrrrr~!
Prrrrrrrr~!

ベッドサイドのテーブルに置いていた、

スマホの着信音で強制的に目が覚めた璃音は

この後ゆっくりスマホに向かって手を伸ばし、

そしてボーッとしている寝起きの頭でノロノロと電話に出てみたら

*****

通話ボタンを押した直後に、なんと、いきなり唐突に!

「おはよう璃音、朝早くから電話をかけてごめんね、
じゃあ早速今から用件を話すけど、実は佐竹と涼子が
今日の朝イチで都内の精神病院に緊急搬送されてね?
それで横浜の画廊が朝からエラい騒ぎになっているから、
シェルターの金塊は今すぐ移動させた方がいいと思うぜ?」

と彰に朝から意味不明な話をされたので……


「精神病院だと?」

つい咄嗟とっさに璃音は聞き返してしまったが

彰の話によると、今日の早朝に……

佐竹と涼子がオペラ座の怪人を連れて横浜の画廊に現れた途端、

突然犬が怖いと泣き喚いた3人が、

画廊の美術品を次々に叩き壊して暴れまくった挙げ句の果てに、

警備会社の通報によって全員が同じ病院に搬送されたと言う事だったから……


(犬が怖いとはどう言う意味なんだ?
いわくつきの画廊で、犬の亡霊でも見たと言うのか?)

て事をふいに思った霊感ゼロの璃音はもちろん

文明の力を使って今回起こった事件の真相を確かめる為に


「そうか、わかった。金塊の移動は今すぐ手配をしておくから、
その件については何も問題はないが、佐竹と涼子の案件は……
とりあえず自分の目で確認をしたいから、忙しい所を悪いが彰、
画廊の防犯カメラの映像を、今から社長室に持ってきてくれるか?」

「了解、朝の8時までに俺が直接社長室に持っていくよ」


こうして いつもよりも早く出社をした璃音は、社長室へと到着してすぐに

彰と二人でアイスコーヒーを飲みながら、防犯カメラの映像を見る事にしたのだが

*****

画廊の防犯カメラに映っていた映像は……


「ねぇねぇ、どうしてきみは~、
お顔にお面をくっけてるのぉ?変な顔~!ショッカーみた~い」

「じゃあ じゃあ、きみは~、
どうして頭がパンチパーマなのぉ?へんな頭~!ヤクザみた~い」


はっきり言って前代未聞の衝撃的な映像だったから


(これは佐竹組長と怪人の会話なんだが…なんだコレ?
佐竹の言葉が微妙に古臭いのは、奴の年齢が関係しているのか?)

と思いながらも一応真面目な表情で

とりあえず黙ってこのカオスな映像をじっと見ていたが……


「きゃあぁーー!あそこに怖いワンワンがまだいるよぉ!あたちワンワンきら~い!」

「ぼくもきらいだよぉ!
パンチパーマのオジサンがワンワンをやっつければいいんだよ~!」

「じゃあ今すぐ、ぎんじをよんできてよー仮面のおじさん!」

「うん、いいけど、ぎんじってだれぇ??」

「うんとねぇ、えっとねぇ、すご~く つおい猫だよ、おじさん」

「だからぼくはオジサンじゃないよー、パンチパーマのおじさん!」


こうして佐竹達の行動を見ていた璃音は次の瞬間

さすがにもう我慢が出来なくなったので


「はぁああ~?なんだよこれは!
つうか、こいつらは、揃いも揃って全員バカなのか?」

と思わず本音を口に出しながら

バカを絵に書いた様な現場の映像に呆れ返っていたけれど

そんな事よりも、この動画は、そろそろもう終わりなので


「なぁ璃音、横浜の画廊が『いわくつき』なのは知ってるよな?
昔からこの画廊は『出る』って噂があるけど…お前は霊感とかあるの?」

「霊感?そんなものは持っていないが……
少なくともこの映像は見ていて気分が良い物ではないよなぁ」

て感じの会話をしながら、

犬の亡霊とやらに取り憑つかれている3人の行動を

この後もしっかりとチェックしていたが、

約90分の動画の中で、シェルターの金塊を強奪しそうな雰囲気や、

隠語を使った怪しい行動などは一切ないままで、

そして結局、佐竹と涼子と怪人以外の人物は、

どこを探しても誰一人として、防犯カメラの映像には映っていなかったので……

なんとも気味が悪い感情に駆られた璃音はこの後、いつもの煙草に火を点けながら


「さてと、どうする璃音……
今回の件は、平たく言えば強奪未遂って事になるけど、
もうコイツらの事は放っておいてもいいんじゃないのか?なんか気持ち悪いだろ?」

と敢えて明るい声で話してくれた彰のアドバイスに従って

「あぁ、もちろん俺も放っておくよ」と時間をかけずに即答したが、

次の瞬間、微妙に明るい表情の璃音はサッサと煙草を消してすぐ、

「だがこの先一生、コイツら3人を病院から出す気はないけどな……」

と恐ろしい鶴の一声で、今日も元気に冷酷非情な判断を下していた。
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