1 / 17
1
しおりを挟む
大分待った。竹野たけのは思う。
小槙こまきと付き合い始めて半年が経っていた。この半年の間、手を繋ぎ、キスをし、部屋に泊まりにも行ったりきたりとしたが、身体の関係にはならなかった。
告白してきたのは小槙の方だ。色々と葛藤もあり、返事を待たせもしたが、竹野も小槙と親しくなりたいと思い了承した。竹野は男と付き合うのは初めてのことだったから、関係を無理に進めてこようとしない小槙にほっとしていた。それでも、三ヶ月、半年と経つとこのままでいいのか、と思い始めてしまった。
竹野が小槙と知り合ったのは高校時代だったが、成人式にあった同窓会で再会し、連絡を取るようになった。高校の頃はそれほど親しくはなかった。小槙は陸上部で、教室で見かけるときはいつも陸上部の面々と話しているか、机に突っ伏して寝ているかだった。陸上部はそれなりに強いらしく、朝練がきついらしいと陸上部に関係ない竹野でも知っていた。身体が大きい小槙が手足を折りたたんで机に懐くように寝ている姿は、大きなネコ科の動物のようで微笑ましかった。
高校の頃に会話をしたのは、二回くらいではないだろうか。どちらも図書館で、夏休み前と春休み前だったはずだ。竹野が借りていた本を返しに行ったとき、たまたま小槙が、作業スペースで教科書を開いて困った様子で首を傾げていた。
休み前ということもあり、図書委員がカウンターにいるくらいだった。だから小槙は、竹野に気づいたのだろう。同じクラスの、と目を瞬かせて呟かれ、竹野はまごつきながら、頷いてその場に立ち尽くした。近寄っていいのか、立ち去っていいのかも分からなかった。
「竹野だっけ」
「あ、うん」
さすがに名前は覚えているのか。竹野は小槙に名前を呼ばれるだけで、不思議な感じがした。小槙は、いつもクラスで大きな声で話していて、よく笑っていて、みんなに好意的に受け入れられていた。竹野からするととても眩しい存在で、その明るさに耐えられない竹野は意識するわけでもなくそこから遠ざかろうとしていた。
それがいま、ここでふたりきりだ。他の誰でもなく、小槙が自分を見ている。小槙は何も考えていないだろうが、竹野は落ち着かなくて仕方がなかった。
「竹野、いま暇?」
「えっ」
「ちょっとこっち来て。こっち」
ぎこちなく相槌を打って、竹野は足を動かした。足下がふわふわとして、転びそうでひとりひやひやする。何度も唾を飲み込んだ。
小槙の前には教科書、ノート、プリントが置かれていた。数学だ。ちょうど、試験の範囲の部分。
「竹野って数学得意?」
「と、くいってことはない……けど」
「でも試験は赤点取ってないよな?」
「う、うん」
竹野は小槙のように運動が得意なわけではないが、勉強も得意なわけではない。それでもどの教科でも赤点は取ったことはない。教科すべて、平均点以上を維持している。
「俺さー、試験ぎりぎり赤は免れたんだけど」
「えっ」
「でもぎりぎりだから、このプリントは理解できるようにしとけって先生に言われちゃってさ。これ出さないと部活行けねーの」
「そうなんだ」
今回の試験は、そこまで平均点も低くなかった。赤点ではないので補習授業はないのだろうが、それでも見逃されなかったのだろう。
「顧問にも話がいっちゃってっから、提出しないと部活に顔出しもできなくてさ」
「大変だね?」
「だろ? 大変なんだよ。だから竹野ちっと教えてくんない?」
「ええっ? 僕が?」
にっこりと笑みを向けられ、竹野は一瞬何を頼まれているのか分からなかった。はっと我に返ったときには、手を引かれて隣に座ってしまっている。
「竹野はできるんだろ? これ」
「できるけど……僕に教わらなくても、教科書に載ってるよ」
「それが分かんねーんだって。これは?」
「これは……教科書借りていい?」
「ん」
図書館での私語は慎まなければならないが、他に誰もいない。竹野は諦めて肩にかけていた鞄を横に下ろし、教科書を手に取った。どの公式を使うか、それがどのページに記載されているか。勉強したばかりだから覚えている。
「これだよ」
「はー……そんなすぐわかるんだ? すげーな」
「やったばっかりだからだよ」
「俺もやったばっかだけどわかんねーもん」
カチカチ、とシャーペンの尻を指で押し、教科書を覗き込んで小槙は固まった。見守る竹野の前で、ぐっと眉間にしわを寄せる。
「これに、どうすんの?」
「この式に当てはめるから、エックスをまず出すんだよ」
「エックスを出す?」
「えーと、エックスは」
指で示したらいいのか、口頭で説明したらいいのか。迷っている竹野をどう思ったのか、小槙はシャーペンを差し出した。
「ん」
「え?」
「書いた方がやりやすいだろ?」
「あ、ああ……ありがとう」
「教えてもらってんのこっちだからな。竹野」
はは、と笑う小槙の口も、シャーペンを握る手も、ずいぶんと大きい。同い年なのにどうしてここまで違うのか。竹野は不思議に思いながら、シャーペンを受け取った。
結局竹野は、小槙のプリントがぜんぶ終わるまで付き合うことになった。小槙はうんうん呻りながらも、きちんと自力で問題を解いた。三十分程度進めてぐったりと机に突っ伏し、部活に出たいと嘆きはしたが、愚痴をこぼしたのはそれくらいだ。
「小槙は……」
「んー」
つい竹野が声を漏らすと、小槙は突っ伏したまま顔だけを向けた。
「小槙はちゃんと自分でやるんだね」
「そりゃあ俺の問題だもんよ。なに。竹野に解かせると思った?」
「あっ。いや、その……」
思わなかった、と答えたら嘘になる。竹野はうまく返事ができず、口籠もった。小槙を、そういう人間として見たことはない。だが、竹野に勉強を教えてくれと言ってくる面々は、大体の場合、竹野に問題を解いてくれ、と頼んでくるのだった。自分でやらないと意味がないだろう、と竹野がなんとか指摘をしても、いいんだよ、と強く言い返されてしまう。そのときの声の強さ、表情の恐ろしさに、竹野は萎縮してしまい、それ以上は何も言えなかった。
だから本当は、いやだな、と思った。勉強を教えてくれと言われて、小槙もそうだったらどうしようと思った。いつも明るく快活に笑う小槙が、そういう人間であってほしくなかった。
「……ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「誤解したから……」
小槙の声は、不機嫌そうではなかった。それが逆に居たたまれず、竹野は俯いた。後ろの窓が少し開いているので、風が入り込んでくる。ファイオー、と聞こえてくるから、どこかの部が校庭を走っている。陸上部ではないだろうか。図書館は静かで、いつもであれば落ち着くような空間なのに、目の前の小槙の顔が見られないだけで、竹野の心は休まらない。
「話したことがない相手なんだから、誤解もするだろ」
「わっ」
前髪を後ろに流すように手のひらで持ち上げられ、竹野は目を白黒させた。少し伸びていた前髪がなくなってしまい、視界が広い。さっきより距離の近い小槙に、竹野は息を吞んだ。
「俺が急に頼んだから、そう思ったっておかしくねーよ。教えてくれてありがとな、竹野」
「ん、うん」
竹野が小槙と会話をするのはこれが初めてだ。それなのに、小槙が本当に友人に対するようになつっこく笑うので、竹野は気が抜けてしまった。頭に乗る手のひらの力を感じながら、ふっと頬が緩むのが分かった。
小槙こまきと付き合い始めて半年が経っていた。この半年の間、手を繋ぎ、キスをし、部屋に泊まりにも行ったりきたりとしたが、身体の関係にはならなかった。
告白してきたのは小槙の方だ。色々と葛藤もあり、返事を待たせもしたが、竹野も小槙と親しくなりたいと思い了承した。竹野は男と付き合うのは初めてのことだったから、関係を無理に進めてこようとしない小槙にほっとしていた。それでも、三ヶ月、半年と経つとこのままでいいのか、と思い始めてしまった。
竹野が小槙と知り合ったのは高校時代だったが、成人式にあった同窓会で再会し、連絡を取るようになった。高校の頃はそれほど親しくはなかった。小槙は陸上部で、教室で見かけるときはいつも陸上部の面々と話しているか、机に突っ伏して寝ているかだった。陸上部はそれなりに強いらしく、朝練がきついらしいと陸上部に関係ない竹野でも知っていた。身体が大きい小槙が手足を折りたたんで机に懐くように寝ている姿は、大きなネコ科の動物のようで微笑ましかった。
高校の頃に会話をしたのは、二回くらいではないだろうか。どちらも図書館で、夏休み前と春休み前だったはずだ。竹野が借りていた本を返しに行ったとき、たまたま小槙が、作業スペースで教科書を開いて困った様子で首を傾げていた。
休み前ということもあり、図書委員がカウンターにいるくらいだった。だから小槙は、竹野に気づいたのだろう。同じクラスの、と目を瞬かせて呟かれ、竹野はまごつきながら、頷いてその場に立ち尽くした。近寄っていいのか、立ち去っていいのかも分からなかった。
「竹野だっけ」
「あ、うん」
さすがに名前は覚えているのか。竹野は小槙に名前を呼ばれるだけで、不思議な感じがした。小槙は、いつもクラスで大きな声で話していて、よく笑っていて、みんなに好意的に受け入れられていた。竹野からするととても眩しい存在で、その明るさに耐えられない竹野は意識するわけでもなくそこから遠ざかろうとしていた。
それがいま、ここでふたりきりだ。他の誰でもなく、小槙が自分を見ている。小槙は何も考えていないだろうが、竹野は落ち着かなくて仕方がなかった。
「竹野、いま暇?」
「えっ」
「ちょっとこっち来て。こっち」
ぎこちなく相槌を打って、竹野は足を動かした。足下がふわふわとして、転びそうでひとりひやひやする。何度も唾を飲み込んだ。
小槙の前には教科書、ノート、プリントが置かれていた。数学だ。ちょうど、試験の範囲の部分。
「竹野って数学得意?」
「と、くいってことはない……けど」
「でも試験は赤点取ってないよな?」
「う、うん」
竹野は小槙のように運動が得意なわけではないが、勉強も得意なわけではない。それでもどの教科でも赤点は取ったことはない。教科すべて、平均点以上を維持している。
「俺さー、試験ぎりぎり赤は免れたんだけど」
「えっ」
「でもぎりぎりだから、このプリントは理解できるようにしとけって先生に言われちゃってさ。これ出さないと部活行けねーの」
「そうなんだ」
今回の試験は、そこまで平均点も低くなかった。赤点ではないので補習授業はないのだろうが、それでも見逃されなかったのだろう。
「顧問にも話がいっちゃってっから、提出しないと部活に顔出しもできなくてさ」
「大変だね?」
「だろ? 大変なんだよ。だから竹野ちっと教えてくんない?」
「ええっ? 僕が?」
にっこりと笑みを向けられ、竹野は一瞬何を頼まれているのか分からなかった。はっと我に返ったときには、手を引かれて隣に座ってしまっている。
「竹野はできるんだろ? これ」
「できるけど……僕に教わらなくても、教科書に載ってるよ」
「それが分かんねーんだって。これは?」
「これは……教科書借りていい?」
「ん」
図書館での私語は慎まなければならないが、他に誰もいない。竹野は諦めて肩にかけていた鞄を横に下ろし、教科書を手に取った。どの公式を使うか、それがどのページに記載されているか。勉強したばかりだから覚えている。
「これだよ」
「はー……そんなすぐわかるんだ? すげーな」
「やったばっかりだからだよ」
「俺もやったばっかだけどわかんねーもん」
カチカチ、とシャーペンの尻を指で押し、教科書を覗き込んで小槙は固まった。見守る竹野の前で、ぐっと眉間にしわを寄せる。
「これに、どうすんの?」
「この式に当てはめるから、エックスをまず出すんだよ」
「エックスを出す?」
「えーと、エックスは」
指で示したらいいのか、口頭で説明したらいいのか。迷っている竹野をどう思ったのか、小槙はシャーペンを差し出した。
「ん」
「え?」
「書いた方がやりやすいだろ?」
「あ、ああ……ありがとう」
「教えてもらってんのこっちだからな。竹野」
はは、と笑う小槙の口も、シャーペンを握る手も、ずいぶんと大きい。同い年なのにどうしてここまで違うのか。竹野は不思議に思いながら、シャーペンを受け取った。
結局竹野は、小槙のプリントがぜんぶ終わるまで付き合うことになった。小槙はうんうん呻りながらも、きちんと自力で問題を解いた。三十分程度進めてぐったりと机に突っ伏し、部活に出たいと嘆きはしたが、愚痴をこぼしたのはそれくらいだ。
「小槙は……」
「んー」
つい竹野が声を漏らすと、小槙は突っ伏したまま顔だけを向けた。
「小槙はちゃんと自分でやるんだね」
「そりゃあ俺の問題だもんよ。なに。竹野に解かせると思った?」
「あっ。いや、その……」
思わなかった、と答えたら嘘になる。竹野はうまく返事ができず、口籠もった。小槙を、そういう人間として見たことはない。だが、竹野に勉強を教えてくれと言ってくる面々は、大体の場合、竹野に問題を解いてくれ、と頼んでくるのだった。自分でやらないと意味がないだろう、と竹野がなんとか指摘をしても、いいんだよ、と強く言い返されてしまう。そのときの声の強さ、表情の恐ろしさに、竹野は萎縮してしまい、それ以上は何も言えなかった。
だから本当は、いやだな、と思った。勉強を教えてくれと言われて、小槙もそうだったらどうしようと思った。いつも明るく快活に笑う小槙が、そういう人間であってほしくなかった。
「……ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「誤解したから……」
小槙の声は、不機嫌そうではなかった。それが逆に居たたまれず、竹野は俯いた。後ろの窓が少し開いているので、風が入り込んでくる。ファイオー、と聞こえてくるから、どこかの部が校庭を走っている。陸上部ではないだろうか。図書館は静かで、いつもであれば落ち着くような空間なのに、目の前の小槙の顔が見られないだけで、竹野の心は休まらない。
「話したことがない相手なんだから、誤解もするだろ」
「わっ」
前髪を後ろに流すように手のひらで持ち上げられ、竹野は目を白黒させた。少し伸びていた前髪がなくなってしまい、視界が広い。さっきより距離の近い小槙に、竹野は息を吞んだ。
「俺が急に頼んだから、そう思ったっておかしくねーよ。教えてくれてありがとな、竹野」
「ん、うん」
竹野が小槙と会話をするのはこれが初めてだ。それなのに、小槙が本当に友人に対するようになつっこく笑うので、竹野は気が抜けてしまった。頭に乗る手のひらの力を感じながら、ふっと頬が緩むのが分かった。
0
あなたにおすすめの小説
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる