幼なじみギャル(偽)と異世界転移したら金髪ショタ(謎)に保護されました

定春

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暴露と覚醒

魔獣の襲撃

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「……ふぅ」
 キン……とさやに剣が入る音が鳴る。
 灯花とうかに斬られた紫色のウロコおおわれた爬虫類らしき生き物が三枚おろしの状態で地面に転がっていた。
首都ドラグ・ニストを出て五日。初日をのぞいて七回も襲われるのは異常としか言えませんわね」
 エルさんが死体を検分する。
「出た血が赤い石になっていますわね……。間違い無く魔獣ですわ」
 "魔獣"
 本来は魔界に生息しており、まれ人界じんかいへと下りてくる魔力を持った獣。
 僕と灯花はそう聞いている。
「近くに巣がある可能性も考えられるでござるな」
「……過去に小さな村を占拠した魔獣が繁殖はんしょくして大変な事になった事件はありましたけど、それでも移動しているわたくし達を狙い続けるのは変ですわね」
「それだけ縄張りが広い……とか?」
 僕達が通っている場所が全て縄張りなら攻撃される理由にはなると思う。
「そこまで広範囲の縄張りを形成しているなら他にも襲われている人がいるはずですし、これまでそういった報告が何も来ていない以上は考えにくいですわね……」
 エルさんがため息をつく。
「となると考えられるのは、拙者たちを狙う何者かが差し向けているというパターンでござるな」
「"狙う"って……誰が狙われるんだ?」
「五人とも狙われる理由はあると思うでござるよ?アザム姉妹は王女様と仲が良い上に有名な占い師でござるし、拙者たち三人は実際に魔族を倒していて、"魔"とつく相手になら恨まれていてもおかしくないでござる」
 襲ってきたのを命がけで倒しただけなのに恨まれるなんて理不尽な……。
「ただ正直な話、どの魔獣も大して強くなかったでござるな」
 対処しているエルさんと灯花が強すぎるだけだと思うが、襲ってきた魔獣はどれも瞬殺されている。エルさんも大剣を出していないし、本気を出すほどの相手ではないのだろう。
「そろそろ出発しましょう。もう近くに魔獣はいないようですし、あまり時間がかかると食料も足りなくなりますよ?」
 馬車からはいつも着ていた民族衣装のような服ではなくパジャマ姿のサーラさんが顔を出す。
 時刻は既に昼をまわっているが……。
「周囲を警戒しつつ進もう。何度も対応させて消耗させる作戦かもしれないし」
 僕の言葉にエルさんと灯花がうなずいた。



 その後三回の襲撃を受けつつも全て難なく撃退し、僕達はロンダバオの大門たいもんへと辿たどり着いた。
「強敵が現れるわけでもなく拍子抜けでこざったなぁ」
「戦いなんて無い方が良いですわ」
 エルさんの言っている事が正しい。
「ふう~!はやく温泉入りたいですっ!」
 アルネリアちゃんがウキウキしている様子で窓から顔を出す。
「アルったら、はしたないわ」
 サーラさんは簡易の椅子と机でティータイムを楽しんでいる。
 要人用の入口に案内された先には豪華な金細工をあしらった馬車を始めとして高級そうな馬車がたくさん並んで停まっていた。
「こんにちは。神占しんせんの巫女様ですね。御訪湯ごほうとうありがとうございます」
 渡された台帳らしきものをエルさんが受け取り、僕達の名前を書いてくれた。
「ヒュペレッドから引き継ぎの御者は来ていませんの?」
「それが先日の雨で途中の道が落石でふさがっているらしく、ヒュペレッドからはけわしい迂回路うかいろでないと行き来ができません。ですので……」
 どうやら交代の御者が来れていないらしく、迂回しないといけないせいで2,3日遅くなるそうだ。
「急ぐ旅でもありませんし、そのくらいかまいません。別荘の様子でも見に行きましょう」
 サーラさんは言葉通り焦ったりするわけでもなく、普段通りの冷静さだ。
「おやおや、これはなんと奇遇きぐうな!」
 背後から聞こえた声に振り向くと、そこにはカイゼルひげを生やした全体的に丸いシルエットの男性がいた。
 指には色とりどりの宝石の指輪が着けられており、見た目だけでお金持ちだと分かる。
「ごきげんよう、エンガ様」
 サーラさんが軽くお辞儀をする。対して、アルネリアちゃんは灯花の陰に隠れてしまった。
 それを見たエンガ……と呼ばれた男性はニヤリと笑みを浮かべてサーラさんに近付く。
「お二人とも息災なようでなによりです。ここで会ったのも何かの縁、良ければ皆さん一緒に食事でもどうですかな?」
「せっかくのお誘いですが、妹も長旅で疲れていますし今回はご遠慮させていただきます」
 いつもよりずっと冷たく感じるほどに、事務的を超えて機械的なお断りだった。
 二人の態度を見るにあまり好かれていない人物なのだろう。
「案内人の手配ができました。皆様、ごゆるりと旅の疲れをおいやしくださいませ」
 受け付けをしてくれた女性が深く礼をする。
 隣にいる黒子のような前掛けで顔を隠した子供が案内人のようだ。
「先に別荘へ行きます。疲れているので最短の道で。あと来客は全て断って下さいね」
 サーラさんの言葉に案内人が頷く。
「それでは皆さん、行きましょう」
 案内人の子供を先頭に、僕達は石畳いしだたみの道を進んだ。
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