幼なじみギャル(偽)と異世界転移したら金髪ショタ(謎)に保護されました

定春

文字の大きさ
38 / 70
暴露と覚醒

神樹の紋

しおりを挟む
 みんなは"別荘"と聞いてどんなものを想像するだろう?
 山の中の避暑地ひしょちに建てられたログハウスのようなものを想像する人がほとんどだと思う。
 僕もそうだ。昔、灯花とうかの家族と僕の家族で一緒に行ったキャンプ場のコテージが僕の中の"別荘"像。
 でも、今いるのは海外の映画に出てくるリゾートホテルのような庭付きプール付きのお屋敷だ。
 ロンダバオと言う国が温泉で成り立つ保養地国家だというのは聞いていた。地熱で気温が高いせいか男女問わず水着で出歩いているし、温泉にも水着で入るとか。
「なんか、異世界に来たっていうより海外に来たって感覚だなぁ」
「それはわかる気がするでござる。建物も南国のバカンス地みたいな見た目でござるし」
 と言いつつフルーツジュースを飲みながらハンギングチェアに揺られる灯花の姿はこの別荘と妙にマッチしている。
「みなさま、お湯の準備が整いました」
 案内人の子供はコンシェルジュのようなものだったみたいで、サーラさんやアルネリアちゃんの注文をテキパキとこなしつつも僕達に飲み物やお菓子を持ってきてくれていた。
「大浴場はエルが帰って来てから行きましょう。一人だけ除け者は可哀想ですし」
 そう言うサーラさんは既に水着に着替えている。
「じゃアルがいっちばーん!」
 突然アルネリアちゃんが着ていたワンピースを勢いよく脱ぎ捨てた。
「ちょっ!?」
 年齢に対して不釣り合いな成長をした身体が剥き出しに……なるかと思いきや下に水着を着ていたようだ。
「もう……はしたない」
 サーラさんがワンピースをかごに入れて後を追う。
「拙者達も着替えるでござるか」
「え?僕はあとでいいよ」
 異世界とはいえ流石に男女で風呂に入るのはどうかと思うし……。
「ただの室内温水プールと変わらないから平気でござるよ~♪」
「そりゃそうだろうけど……って!なんで僕をかかえるんだ!?」
「向こうの二人もユウ氏が来ると思ってるみたいでござるし、たまにはこういうのもアリでござろう!」

~数分後~

「いや広っ!!」
 少し大きめの檜風呂ひのきぶろ的なものを想像していたのに扉を開けると温泉施設の大浴場レベルだった。
「湯船をいっぱいにするのに水道代いくらかかるんだこれ……」
「お金持ちは違うでござるなぁ……」
 我ながら感想が庶民的だと思うが、それでも個人の別荘でこんなに広い浴室はオーバー過ぎる。
「ユウ様、こっちですよ」
 サーラさんに手を引かれる。
 白い肌に黒いビキニのコントラストがとてもまぶしく、その肌をう濡れた黒髪に色気を感じる。
「ユウ氏~、こっちもビキニでござるよ~」
 肩紐かたひもの無いチューブトップタイプのビキニ姿で胸を強調する灯花。
「ぬあぁぁぁ!!」
「わー、アルネリアちゃんがお風呂で泳いでる~」
「おっとまさかのスルーでござるか」
 一緒にプールに行ったりするから灯花の水着姿に耐性が無いわけじゃないが、そういうポーズをされるのは精神衛生上よろしくない。
 スルーしてしまうのも致し方ない。
「お背中を流しますので座って体を楽にしていてください」
 コンシェルジュの子に言われてなめらかに加工された木板の上に座ると、手にシャンプーみたいな液体を乗せて泡立てはじめた。
「そこまでしてくれるなんてすごいなぁ……」
 お風呂で誰かに洗ってもらうなんて子供の頃以来だからなんだか気恥ずかしい。
「それでは身体の方は拙者が……痛っ!」
 そ~っと伸びてきた灯花の手の甲をつねる。
「ユウ氏のいけず……。仕方ないので拙者も泳ぐとするでござる!」
 そう言って灯花は自身の頭と体を洗い始めた。
「水着で風呂に入るってなんか不思議な感覚だな」
 慣れた手つきでシャンプーが終わり泡が洗い流される。
「体は自分でやるから大丈夫です」
 子供に体まで洗ってもらうのは気が引けるので丁重にお断りした。
 少し粗めの濡れタオルに石鹸せっけんを包んで泡を立てるとフローラルな匂いが鼻腔びこうをくすぐる。
 石鹸を外して石のケースに入れようとしたが手を滑らせて落としてしまった。
「それでは拙者の空中三回転ひねり飛び込みをごらんあれれぇぇっっっ!?!?」
 運悪く体を洗い終えて走り出した灯花の足元に石鹸が行ったようで、灯花は頓狂とんきょうな声を上げながら浴槽に向かってダイブした。
「きゃあっ!」
 水飛沫みずしぶきを正面から食らったサーラさんとアルネリアちゃんが悲鳴をあげる。
「……ぷはぁっ!」
「す、すまん灯花。手が滑って……うわぁ!?」
「どうしたでござる?」
「バカ!前を隠せ前っ!」
「前???……キャッ!」
 飛び込んだ衝撃で水着がズレたのだろう……。思いっきりこぼれていた・・・・・
「……見た?」
「見……てない!」
 いきなりなんてことを聞くんだコイツは。危うく正直に答えるところだった。

「トウカお姉さまスゴい……!」
「えっ?いやぁ、言うほどアルちゃんも大して変わらないのでは……って、その胸のタトゥーどうしたでござる?」
 灯花の言う通り、アルネリアちゃんの胸元には何かの紋章もんしょうのような刺青いれずみが浮かんでいた。
「変わらないことないよっ!?こんなに大きいの見た事ないもん!」
「んんん?大きさで言えばエルさんの方がずっと大きいのでは?」
 言っていることが理解できなくて灯花は首をかしげる。
「背中をもう一度見せて!」
「背中?頭から飛び込んだから背中は怪我してないと思うでござるが……」
「違うよっ!これ!」
 アルネリアちゃんが指さした部分……というより"背中一面"に何かの紋章のような刺青が浮かび上がっていた。
「おいおい、髪を染めるのとピアスはともかくこれは流石さすがにやりすぎじゃ……」
「えっ!?えっ!?どうなってるの?鏡を見せてよ!?」
 コンシェルジュが灯花に手鏡を渡す。
「うわぁ……」
 自分の背中を見た灯花の表情が引きつる。
「こんな大きな"神樹しんじゅもん"……初めて見ました……」
 サーラさんも信じられないものを見るような目をしている。
「なに?その"神樹の紋"って?」
「長くなるので説明はのちほど。一旦出ましょう」
 サーラさんはタオルをつかむと脱衣場の方へ行ってしまった。
 そのあとにアルネリアちゃんが続く。
「と、とりあえずあがるとするでござるか……」
「うん……」
 灯花にタオルを渡し、体を拭きながら脱衣場へと向かいつつふと思う。
(なんかよく分からないけど、せっかくの広いお風呂だったのに入りそこねちゃったなぁ……)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...