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暴露と覚醒
隠蔽
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「灯花さん。疲れてるところ悪いのですが……」
「はい?」
サーラ氏が服のポケットから小さな赤い石を取り出した。
「この石を粉々に壊してもらえませんか」
受け取った小石を指先で摘み眺めてみる。
「これはなんでござるか?」
「……私が子供の頃に作った魔石です」
ヘーゼル色の双眸を申し訳なさそうに伏《ふ》せるサーラ氏。
「占いの常連客を得ようと、私は魔石に"魅了"の魔法を練り込みました。結果的に言えばそんなものに頼らずとも占いの客は増えたので必要無かったのですが……」
王女様と友達になるくらいの実力は備わっていたし、宣伝せずともクチコミだけで充分だったのでござろう。
「失くしたと思っていましたが、いつの間にか盗まれて人手に渡ってしまい……。恐らく、今回の騒動の発端は私です」
皆様には償っても償いきれません。と、いつものクールな表情からは想像できないほど弱々しく謝罪する。
「つまり、あの女の子はサーラ氏に魅了された誰かからの刺客だったのでござるな……。そうと分かればこんな石はこう!」
受け取った石を石畳の地面に落とし、着地と同時に足で思いっきり踏み砕いた。
「ありがとうございます。エルが帰ってくるのは明朝頃になると思いますが、警ら隊に捕まると面倒ですのでもう国を出ましょう」
「了解したでござるよ。別荘に着いたら少し時間が欲しいでござるが……」
「……なるべく早くお願いします」
ユウ氏を担いだまま、拙者は足を早めた。
「ん……ウチ、失敗したっちゃね」
商会の仲間の肩を借りて起こされながら、リィルは店内の惨状を見て悟る。
与えられた仕事を果たせなかった事もそうだが、何より自身の命を奪われかけた事に今更ながら恐怖した。
「生きてたのは嬉しいけど……たぶんクビよね」
「おお!リィル!」
仲間に連れられて別邸に着くや否や、リィルはエンガに玄関で出迎えられた。
「すまない。お前には申し訳ないことをした……」
そこにはリィルが知る本来の優しい主人の姿があった。
「ご主人様……仕事を果たせずすいませんでした」
「いいのだリィルよ。我輩がどうかしていた。店に置いていた者達を全員集めて話を聞いたが……何より皆には迷惑をかけた」
書斎に入るとエンガは召使いから紙と筆を受け取り何かを書き始める。
「この度の騒ぎは酒に酔った者同士の乱闘騒ぎとして周知し、店と巫女の姉妹には謝罪文と慰謝料を送っておく。だからリィルは何も気にせずしっかりと休んでくれ」
そう言って、エンガは数羽の手紙鳥に手紙を託すと窓から放った。
「はい……。それでは下がります」
一度頭を下げてリィルは部屋を出る。
扉が閉まるのを見てエンガは椅子に腰を下ろした。
「それにしても……」
不可解な点がいくつかある。
どうして自身の好みからかけ離れた巫女姉妹に執着していたのか?
店で起きた騒動の中、なぜ混者のみが動けなくなり逃げ遅れたのか?
死んだように見えたリィルを蘇生した聖王国民の少女は何者なのか?
「まるで起きながら夢を見ていたような気分だ」
様々な疑問を持ちつつも、エンガの頭の中は既に各所に払うべき慰謝料の計算へと切り替わっていた。
「え~っと、たしかカバンの中にメイク道具がいくつか入っていたでござるな……」
夕をベッドに寝かせて、灯花は学校のカバンを漁っていた。
「お、あったあった」
目当ての品を取り出して、灯花はとある細工を始める。
「お姉さま、これからどうするの?」
「魔界へ……お兄様の元へ二人を連れて逃げます」
「……アルも連れて行ってくれるよね?」
泣きそうなアルネリアの声を聞いて、サーラの胸の中に色んな思いが巡った。
「アル、よく聞いて。魔界から追放された私達が揃って魔界へと行くのは、お兄様への反逆と受け取られても仕方ないことなの……。私はあなただけでも生きていてほしい。だからアルは連れていけないわ……」
「お姉さま……」
アルネリアがサーラに抱きつく。サーラもアルネリアを抱き締め、優しく髪を撫でた。
「なにを聞かれても知らないと言い張るのよ。イルラーティと仲が良いあなたならきっと心配いらないから……」
カランカラン
誰かが来たことを知らせる鐘が鳴る。
「まさか……早すぎる!」
外から姿が見えないように窓を覗くと、門の前には二人の警ら隊の隊員がいた。
「はい?」
サーラ氏が服のポケットから小さな赤い石を取り出した。
「この石を粉々に壊してもらえませんか」
受け取った小石を指先で摘み眺めてみる。
「これはなんでござるか?」
「……私が子供の頃に作った魔石です」
ヘーゼル色の双眸を申し訳なさそうに伏《ふ》せるサーラ氏。
「占いの常連客を得ようと、私は魔石に"魅了"の魔法を練り込みました。結果的に言えばそんなものに頼らずとも占いの客は増えたので必要無かったのですが……」
王女様と友達になるくらいの実力は備わっていたし、宣伝せずともクチコミだけで充分だったのでござろう。
「失くしたと思っていましたが、いつの間にか盗まれて人手に渡ってしまい……。恐らく、今回の騒動の発端は私です」
皆様には償っても償いきれません。と、いつものクールな表情からは想像できないほど弱々しく謝罪する。
「つまり、あの女の子はサーラ氏に魅了された誰かからの刺客だったのでござるな……。そうと分かればこんな石はこう!」
受け取った石を石畳の地面に落とし、着地と同時に足で思いっきり踏み砕いた。
「ありがとうございます。エルが帰ってくるのは明朝頃になると思いますが、警ら隊に捕まると面倒ですのでもう国を出ましょう」
「了解したでござるよ。別荘に着いたら少し時間が欲しいでござるが……」
「……なるべく早くお願いします」
ユウ氏を担いだまま、拙者は足を早めた。
「ん……ウチ、失敗したっちゃね」
商会の仲間の肩を借りて起こされながら、リィルは店内の惨状を見て悟る。
与えられた仕事を果たせなかった事もそうだが、何より自身の命を奪われかけた事に今更ながら恐怖した。
「生きてたのは嬉しいけど……たぶんクビよね」
「おお!リィル!」
仲間に連れられて別邸に着くや否や、リィルはエンガに玄関で出迎えられた。
「すまない。お前には申し訳ないことをした……」
そこにはリィルが知る本来の優しい主人の姿があった。
「ご主人様……仕事を果たせずすいませんでした」
「いいのだリィルよ。我輩がどうかしていた。店に置いていた者達を全員集めて話を聞いたが……何より皆には迷惑をかけた」
書斎に入るとエンガは召使いから紙と筆を受け取り何かを書き始める。
「この度の騒ぎは酒に酔った者同士の乱闘騒ぎとして周知し、店と巫女の姉妹には謝罪文と慰謝料を送っておく。だからリィルは何も気にせずしっかりと休んでくれ」
そう言って、エンガは数羽の手紙鳥に手紙を託すと窓から放った。
「はい……。それでは下がります」
一度頭を下げてリィルは部屋を出る。
扉が閉まるのを見てエンガは椅子に腰を下ろした。
「それにしても……」
不可解な点がいくつかある。
どうして自身の好みからかけ離れた巫女姉妹に執着していたのか?
店で起きた騒動の中、なぜ混者のみが動けなくなり逃げ遅れたのか?
死んだように見えたリィルを蘇生した聖王国民の少女は何者なのか?
「まるで起きながら夢を見ていたような気分だ」
様々な疑問を持ちつつも、エンガの頭の中は既に各所に払うべき慰謝料の計算へと切り替わっていた。
「え~っと、たしかカバンの中にメイク道具がいくつか入っていたでござるな……」
夕をベッドに寝かせて、灯花は学校のカバンを漁っていた。
「お、あったあった」
目当ての品を取り出して、灯花はとある細工を始める。
「お姉さま、これからどうするの?」
「魔界へ……お兄様の元へ二人を連れて逃げます」
「……アルも連れて行ってくれるよね?」
泣きそうなアルネリアの声を聞いて、サーラの胸の中に色んな思いが巡った。
「アル、よく聞いて。魔界から追放された私達が揃って魔界へと行くのは、お兄様への反逆と受け取られても仕方ないことなの……。私はあなただけでも生きていてほしい。だからアルは連れていけないわ……」
「お姉さま……」
アルネリアがサーラに抱きつく。サーラもアルネリアを抱き締め、優しく髪を撫でた。
「なにを聞かれても知らないと言い張るのよ。イルラーティと仲が良いあなたならきっと心配いらないから……」
カランカラン
誰かが来たことを知らせる鐘が鳴る。
「まさか……早すぎる!」
外から姿が見えないように窓を覗くと、門の前には二人の警ら隊の隊員がいた。
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