糟糠の妻

栗菓子

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第5章 修羅の時代

第7話 ミキの運命の相手

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ミキが、各国の名士が集う貴族階級の社交界でデピュタントしたのは、春の祝祭の季節だった。

神秘的で、謎めいた雰囲気を纏ったミキは、やはり貴族の血を引いていたのだろう。 水を得た魚のようにミキは社交界で、誘ってくる男性たちを丁重にあしらっていく様は、貴族として超然としていた。

茶金色の流れるような長髪を丁寧に結い上げ、宝石でできた花の飾りを王冠の様に巻き付けたミキは、古代の女神のように見えた。 薄い青の瞳も光によって変化する奇妙な瞳をしていた。
淡い桃色の染料をした花模様のドレスは、異国風に誂えていた。 上品で軽やかな滑らかな生地は、見る眼が肥えている貴婦人たちを魅了した。

唇は、緑のように見えて真紅にも見える。玉虫色の紅をつけていた。その奇妙な異国風の化粧もミキの美しさを一層華やかにしていた。

そんな中、運命を感じた男性は数人いた。
褐色の肌をした端正な男アジュル・サーデイ 彼は荒野の大鷲を思わせた。貴族として紳士然としていたが、ミキの暗殺者としての本能が、この男は一流の武人として腕を磨いていると感じた。

彼も、ミキの実力と容姿を漠然と気に入ったようだった。
アジュルの藍色の瞳が嫣然とミキを見て、「美しき姫よ。今宵は貴方に会えて良かった。貴方は非常に魅力的な方だ。」 と蕩けるような甘い声でミキの手を取った。

まあ・・なんと魅力的な甘言だろうか・・。私が昏い道を歩んでいなかったら、大抵の貴族令嬢はこれで陥落するでしょうね・・。ミキは冷然と分析していた。

彼は非常に聡明で、己の魅力を思う存分に生かす能力に恵まれている。自信も、自尊心も高い人だ。

しかしその反面、挫折するほど重大な危機に陥ったら、脆弱な面を現すかもしれない。

ミキは、暗殺の中で、そういう哀れな人達の末路を見てきた。

彼は、そういう時が訪れることが無いといいけど・・。ミキは見透かすように微笑んだ。

2人目は、パリス・エンデイル伯爵の第3子 パリエルは、天使のように美しい容貌をした青年だった。
柔らかな栗色の髪をして、碧玉の瞳をした両性具有的な美を持った麗しき男だった。

彼は、女性的な心を持ちながらも、男性的な獰猛な面があった。 
面白い方だ・・。下手したら喰われるかもしれない猛禽類の鳥だわ。 ああそうね。天使は戦う者だった。
正に彼に相応しい。

彼と戦ったらどちらが勝つだろうか?ミキは挑戦的にパリエルを見た。
パリエルもミキの実力を見て取り、ニイとかすかにアルカイックスマイルをした。
愚かな女と思われただろうか?しかし彼には戦いたいとも思わせる戦士の魅力があった。


3人目は、この世の者とは思えぬ絶世の美貌の持ち主だった。光り輝くような美貌をした金の髪、蒼玉の瞳
名工が魂を込めて彫ったような彫刻の男性神が息をしているような眩い男性だった。
圧倒的なオーラと、支配者の風格を見せている男性は、ルシル・ド・アーデン侯爵の子息だった。

彼は本当に神々しい存在だった。 ルシアンと言った。

ミキを見てかすかに目を見開いたが、その奇妙な様子は何故か印象に残った。
お互いに話もしなかったが、目と目が合って、しばらく彼らは目を離せなかった。

やがてミキとルシアンは離れたが、奇妙な余韻が残っていた。
ミキは不意に汗が出ているのを感じた。あれはヒトなのだろうか?あまりにも浮世離れしている・・。存在感が違う。怖い。ミキは何か別の生き物に出会ったようだった。

ミキはふうと溜息をついてこの世は広い。なんと不思議な人達ばかりなの・・。

ミキは、少し疲れたので、貴族の休憩の間に赴いた。

他の貴族の令嬢も艶やかにデピュタントしていたが、ミキの神秘的な容姿や美貌にはなかなか匹敵する者はいなかった。

嫉妬、恨みや女達から敵意を向けられたが、ミキは動じなかった。この位容易いものだ。

そんな暇があったら、己を磨けばよいものを‥暇な女達・・。ミキは内心思った。

ミキのデビュタントは成功を収めた。 のちに求愛の手紙や、求婚などが多く実家に送られてきた。

執事と、両親の厳しい検閲の元、数通だけがミキに渡された。

あの3人の男性の手紙もあった。

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