大輪の花火の輪

栗菓子

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第23話 見えてくるもの

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病や、弱くなると、普通は見えていなかったものが見えてくる。


重課税に苦しんでいる弱者や高齢者。 何故か変な他国では、毒と思われる物が堂々と店で売っている国。

所々に歪なおかしな面がちらほらとみるようになった。


人生の休みに入ったからだろうか?いままでひたむきに駆けていたのが、少し、休んだら素朴な疑問に満ち溢れることばかりだった。


数十年前 他国と戦争になって敗れた我が国。いまだに植民地?として存続しているのには驚いたけどその当時は何も感じなかった。生きるのに精いっぱいだったから。

でも、人工削減計画とか戦勝国が色々怪しい計画を立てるようになって、病気になる人が一杯出るようになった。


この国は長期的な実験的な国だったんだろうか?


なんだがゴミや廃棄物も増えて、どう処理したらいいかお偉方や頭が良い人は色々試行錯誤しているみたいだった。


昔とても酷い人体実験をした部隊を聞いたことがある。
半信半疑だったけど、これは偉大なる実験じゃないのか?と思わずにはいられない時がある。


とはいえ一介の庶民に何が出来よう。せいぜい選挙や署名運動をするだけだ。


わたしにはなにもできない。いつも後になって知らされるだけだ。

アイ病院には多くの病人が検査をしに並んでいる。長蛇の列。 いつも思うけど、どうして人間は並んでしまうのか?わたしは並ぶのが嫌いだ。


わたしより若い人が病気でどんどん亡くなっている。
何故か医者まで自殺者が増えたりしている。わたしはそれを淡々と眺めている。

ここはまだ戦争中の国だったのかもしれない。

わたしは病になってからなんとなく見えてくるものが見えるようになった。

仕方がない。わたしはわたしなりにひたむきに生きた。

女優人生も辛い時もあれば楽しい時もあった。美しいものも見たり、穢いものもみたりした。


まだわたしは生きている。見えてきたものを見て行こう。


心を無にして、淡々と記録するように眺めよう。わたしの脳にはなにかが刻まれるかもしれない。

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