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第7話 夫の歪んだ愛
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平穏と単調な生活をしていたアンにとって、元夫ジェイムスの手紙の交換は、夫婦であった時よりも遥かに、夫婦らしい事をしているなと思った。
中には、こどものように愚痴をはいている手紙もあれば、戦や、政治など他国との同盟やアンにとっては色々と何度も読み返すにはいられないほど、難しい内容が書かれている手紙もあった。
これは王族の知られてはいけない秘密なのではないかとひやりとさせるものもあったが、とりあえずアンは目を通して、ジェイムスへ穏やかな手紙を送った。
知らないうちに、アンは色々とジェイムスの事を知りすぎていた。何故ジェイムスは別れた元妻にこんな怖い秘密まで知らせるのかと不安に駆られたこともあったが、覚悟を決めてジェイムスと向き合うことを決心した。
離宮で、いきなり王宮の使者が現われた。
恭しくしかし圧をかけて、こう淡々と告げられたことは記憶に新しい。
「国王の命でこざいます。アン様はジェイムス様と再婚の儀礼をするように命じられました。」
アンは呆然と使者の顔を見つめた。ええと。何かの間違いでは? そう現実逃避もしかけたが、紛れもなく使者はそう言った。侍女も口を押えてアンを驚愕の目で見つめていた。
その顔で、アンは嗚呼・・これは現実だわと自覚した。
何かあったのね・・でなければ用済みの妻など再度国王が利用しようと考えるわけがない。それぐらいアンも理解できた。
ジェイムス様・・一体何が起きたというの・・?
アンは不安に駆られながらも、ふうと深呼吸して、決意を秘めて「分かりました。国王の命に従います。」と大人しく従った。何も知らない無力な女ができることは、なるべく理由を探らず従うしかない。
アンはそういうところは間違えなかった。彼女は重要な選択で間違えることはあまりなかった。
アンは普通に生きていると思って要るが、彼女は無意識に正しい選択をしていた。そのおかげで、あまり問題も起きずに今までこの魑魅魍魎の王宮で生きのびていたのだ。
ジェイムスの苛烈な気質をあまり刺激せず、暴力性にはしらせないようアンは無意識に避けていた。
久方ぶりに、会う夫は何かが違った。凄味が増した。魅力的にもなったが、アンは少し怖かった。
再度、国王の前で、婚礼の儀式を行い、誓いを立て、終わったと安堵した時、ジェイムスがアンの唇を奪った。
舌まで入れられてアンは呆然と人形のように従い受け入れた。
抗ったら、余計高ぶらないかと危険を察し、彼女は大人しく従った。
ジェイムス様・・一体・・?
アンは何もわからず受け入れた。ジェイムスの目の奥に狂気が宿っていたのを、僅かな男や女は目ざとく気づきぞっとした。
アンには何も分からなかったが、少数の裏の事情を知っている人たちは気づいた。これは花嫁は、夫の生贄のようなものだと悟った。彼らは花嫁に憐憫の思いを僅かに抱いたが、黙っていた。誰でも我が身が大事なのだ。余計なことは知らない方が良い。彼らは無関心を装った。
この結婚の意味に気づいている彼らにとっては余りにも殺伐として残酷な婚礼であったが、アンは無知だが、夫たるジェイムスには従順に従った。
ジェイムスの僅かな紅潮に染まった顔がアンの胸の鼓動を早まらせた。
アンの初めてのキスだった。しかも元夫だとは。これは神の決めた結婚相手なのかもしれない。
ジェイムス様は男色家のはずなのに・・子作りの儀式はどうするおつもりなのだろうか?
アンはどうしたらいいか分からず、唯受け入れて従うことしかできなかった。
アンはジェイムス様や国王に翻弄される一枚の葉のように頼りなく翻弄されるしかなかった。
中には、こどものように愚痴をはいている手紙もあれば、戦や、政治など他国との同盟やアンにとっては色々と何度も読み返すにはいられないほど、難しい内容が書かれている手紙もあった。
これは王族の知られてはいけない秘密なのではないかとひやりとさせるものもあったが、とりあえずアンは目を通して、ジェイムスへ穏やかな手紙を送った。
知らないうちに、アンは色々とジェイムスの事を知りすぎていた。何故ジェイムスは別れた元妻にこんな怖い秘密まで知らせるのかと不安に駆られたこともあったが、覚悟を決めてジェイムスと向き合うことを決心した。
離宮で、いきなり王宮の使者が現われた。
恭しくしかし圧をかけて、こう淡々と告げられたことは記憶に新しい。
「国王の命でこざいます。アン様はジェイムス様と再婚の儀礼をするように命じられました。」
アンは呆然と使者の顔を見つめた。ええと。何かの間違いでは? そう現実逃避もしかけたが、紛れもなく使者はそう言った。侍女も口を押えてアンを驚愕の目で見つめていた。
その顔で、アンは嗚呼・・これは現実だわと自覚した。
何かあったのね・・でなければ用済みの妻など再度国王が利用しようと考えるわけがない。それぐらいアンも理解できた。
ジェイムス様・・一体何が起きたというの・・?
アンは不安に駆られながらも、ふうと深呼吸して、決意を秘めて「分かりました。国王の命に従います。」と大人しく従った。何も知らない無力な女ができることは、なるべく理由を探らず従うしかない。
アンはそういうところは間違えなかった。彼女は重要な選択で間違えることはあまりなかった。
アンは普通に生きていると思って要るが、彼女は無意識に正しい選択をしていた。そのおかげで、あまり問題も起きずに今までこの魑魅魍魎の王宮で生きのびていたのだ。
ジェイムスの苛烈な気質をあまり刺激せず、暴力性にはしらせないようアンは無意識に避けていた。
久方ぶりに、会う夫は何かが違った。凄味が増した。魅力的にもなったが、アンは少し怖かった。
再度、国王の前で、婚礼の儀式を行い、誓いを立て、終わったと安堵した時、ジェイムスがアンの唇を奪った。
舌まで入れられてアンは呆然と人形のように従い受け入れた。
抗ったら、余計高ぶらないかと危険を察し、彼女は大人しく従った。
ジェイムス様・・一体・・?
アンは何もわからず受け入れた。ジェイムスの目の奥に狂気が宿っていたのを、僅かな男や女は目ざとく気づきぞっとした。
アンには何も分からなかったが、少数の裏の事情を知っている人たちは気づいた。これは花嫁は、夫の生贄のようなものだと悟った。彼らは花嫁に憐憫の思いを僅かに抱いたが、黙っていた。誰でも我が身が大事なのだ。余計なことは知らない方が良い。彼らは無関心を装った。
この結婚の意味に気づいている彼らにとっては余りにも殺伐として残酷な婚礼であったが、アンは無知だが、夫たるジェイムスには従順に従った。
ジェイムスの僅かな紅潮に染まった顔がアンの胸の鼓動を早まらせた。
アンの初めてのキスだった。しかも元夫だとは。これは神の決めた結婚相手なのかもしれない。
ジェイムス様は男色家のはずなのに・・子作りの儀式はどうするおつもりなのだろうか?
アンはどうしたらいいか分からず、唯受け入れて従うことしかできなかった。
アンはジェイムス様や国王に翻弄される一枚の葉のように頼りなく翻弄されるしかなかった。
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