392 / 2,483
第4章~更なる力を求めて~
第22話
しおりを挟む
「アクセル」
「っ……!?」
不意に、耳元で兄の声がした。びっくりしてそちらに目をやったが、当然のことながら何も見えない。目の前は真っ暗なままで、手探りしても岩壁しか見つけられなかった。
――やばい、幻聴が聞こえてきた……。
自分以外は誰もいないのに。まさか兄が後ろからこっそりついてきているわけでもなかろう。兄が洞窟から出て行くのは、この目でしっかり確認したはずだ。
兄の声が聞こえてしまうほどに、自分は追い詰められているのか……。
「ねえアクセル、お前は知ってる? 私がお前のことをどう思っているか」
アクセルは幻聴を無視して歩き続けた。この声に一度でも反応したら、二度と洞窟から出られないような気がしたのだ。
「もちろん、今はとっても可愛く思ってるよ。でも昔はそうじゃなかった。お前がうちに来たばかりの頃は『この子は誰なんだろう』って不審に思ったものさ」
「……!?」
それは一体どういう意味だ。「お前がうちに来たばかりの頃は~」って、まるで他所から連れて来られたような口振りではないか。俺と兄上は仲のいい兄弟なのに、何故そんな幻聴が聞こえてくるんだ。
「だってそうだろう? お前、あまりにも私と似ていないんだもの。見た目も似てないし、性格も正反対だし。血が繋がっていないんじゃないかって思っても不思議はないよね。弟は欲しかったけど、『こんな子、私の弟じゃない』って何度も思ったよ。いっそのこと、斬っちゃおうかと思ったこともあったねぇ」
「っ……」
「っ……!?」
不意に、耳元で兄の声がした。びっくりしてそちらに目をやったが、当然のことながら何も見えない。目の前は真っ暗なままで、手探りしても岩壁しか見つけられなかった。
――やばい、幻聴が聞こえてきた……。
自分以外は誰もいないのに。まさか兄が後ろからこっそりついてきているわけでもなかろう。兄が洞窟から出て行くのは、この目でしっかり確認したはずだ。
兄の声が聞こえてしまうほどに、自分は追い詰められているのか……。
「ねえアクセル、お前は知ってる? 私がお前のことをどう思っているか」
アクセルは幻聴を無視して歩き続けた。この声に一度でも反応したら、二度と洞窟から出られないような気がしたのだ。
「もちろん、今はとっても可愛く思ってるよ。でも昔はそうじゃなかった。お前がうちに来たばかりの頃は『この子は誰なんだろう』って不審に思ったものさ」
「……!?」
それは一体どういう意味だ。「お前がうちに来たばかりの頃は~」って、まるで他所から連れて来られたような口振りではないか。俺と兄上は仲のいい兄弟なのに、何故そんな幻聴が聞こえてくるんだ。
「だってそうだろう? お前、あまりにも私と似ていないんだもの。見た目も似てないし、性格も正反対だし。血が繋がっていないんじゃないかって思っても不思議はないよね。弟は欲しかったけど、『こんな子、私の弟じゃない』って何度も思ったよ。いっそのこと、斬っちゃおうかと思ったこともあったねぇ」
「っ……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
802
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる