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第7章~ラグナロクの最中に~
第64話
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「おや、もう出来ちゃったのかい?」
兄が後ろから声をかけてきた。今日の兄は非番らしく、一緒に地下施設に留守番している。他の主要メンバーは各地へ出陣だ。
「お前は手先が器用で仕事が早いね。こういう梯子もあっと言う間に完成させちゃう」
「梯子みたいな小道具を作るのは、そんなに難しくないからな。拡張のために地下を掘り進めている連中の方が大変さ」
「そうかい? あっちは武器持って暴れているだけでいいから、誰にでもできると思うけどね」
兄の大雑把な発言に、アクセルはちょっと苦笑した。そんな雑なやり方で拡張工事を行ったら、地下の天井が崩れ落ちそうだ。
「ところで、外は今どんな感じなんだ?」
「うん、順調だよ。目星をつけた箇所を同時に攻略中で、もうすぐ結果が出そうなんだ」
「そうか……。早く結果が出るといいな。でないと、俺たちの方が先に力尽きてしまう」
アクセルは出陣していないので、外の戦いがどれだけ激しいか実感できていない。
ただ、ここにいる戦士の数が日に日に減っているのはハッキリわかった。一ヶ月前は二〇〇〇人以上いたのに、今では半分程度になってしまった。出陣した戦士が二度と帰ってこないということもままあった。
兄を筆頭とした上位ランカーは、当たり前のように生き延びているけれど、次も必ず生きて帰ってくるという保証はない。
だから、一刻も早くラグナロクを終わらせたいと思う。石碑を破壊して、予言を覆して、世界を再生して平和なヴァルハラを取り戻したい。
平和になったら、まずは兄と生活するための新居を構えて……などと考えていると、突然外が騒がしくなった。梯子をかけた場所から、地上の騒音が聞こえてくるくらいだった。
兄が後ろから声をかけてきた。今日の兄は非番らしく、一緒に地下施設に留守番している。他の主要メンバーは各地へ出陣だ。
「お前は手先が器用で仕事が早いね。こういう梯子もあっと言う間に完成させちゃう」
「梯子みたいな小道具を作るのは、そんなに難しくないからな。拡張のために地下を掘り進めている連中の方が大変さ」
「そうかい? あっちは武器持って暴れているだけでいいから、誰にでもできると思うけどね」
兄の大雑把な発言に、アクセルはちょっと苦笑した。そんな雑なやり方で拡張工事を行ったら、地下の天井が崩れ落ちそうだ。
「ところで、外は今どんな感じなんだ?」
「うん、順調だよ。目星をつけた箇所を同時に攻略中で、もうすぐ結果が出そうなんだ」
「そうか……。早く結果が出るといいな。でないと、俺たちの方が先に力尽きてしまう」
アクセルは出陣していないので、外の戦いがどれだけ激しいか実感できていない。
ただ、ここにいる戦士の数が日に日に減っているのはハッキリわかった。一ヶ月前は二〇〇〇人以上いたのに、今では半分程度になってしまった。出陣した戦士が二度と帰ってこないということもままあった。
兄を筆頭とした上位ランカーは、当たり前のように生き延びているけれど、次も必ず生きて帰ってくるという保証はない。
だから、一刻も早くラグナロクを終わらせたいと思う。石碑を破壊して、予言を覆して、世界を再生して平和なヴァルハラを取り戻したい。
平和になったら、まずは兄と生活するための新居を構えて……などと考えていると、突然外が騒がしくなった。梯子をかけた場所から、地上の騒音が聞こえてくるくらいだった。
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