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第13章~獣化の秘密~
第71話
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「それは看病する側の視点でしょー? でも獣化してる本人は、至って真面目で幸せなんだよー。好きなものを好きなだけ食べられるし、眠くなったらいつでもどこでも寝られるし、ムラッとしたら適当な相手捕まえてガンガンやれるし」
「……それのどこが幸せなんだ?」
「幸せでしょ。自分の本能に従って好きなように生きられるってことだもん。何も我慢しなくていいなんて、最高じゃん」
「え……」
「経験ない人にはわからないだろうけど、なんというか……いろんなことから解き放たれてパーッとした気分になるんだよね。僕は自由だー! みたいな感じでさ」
「…………」
「そう考えると、普段から我慢することが多い人ほど獣化の治療を嫌がるのかもなーなんて……思ったり思わなかったり」
「……!」
それを聞いたら、心臓がドクンと跳ね上がった。兄が治療を嫌がった理由が、今更ながら身に染みてきた。
――兄上……もしや、元の自分に戻りたくなかったのか……?
ふつふつと罪悪感がこみ上げてくる。
兄がいろいろ我慢していたのだとしたら、それは間違いなく自分のせいだ。自分さえいなければ、兄はもっと自由に生きられただろうし、様々なトラブルに巻き込まれることもなかった。未熟な弟をフォローするために奔走する必要もなかったし、面倒な尻拭いもいらなかったはずだ。
兄にとってアクセルは、よくも悪くも枷となる存在なのだ。
でも……。
「……それのどこが幸せなんだ?」
「幸せでしょ。自分の本能に従って好きなように生きられるってことだもん。何も我慢しなくていいなんて、最高じゃん」
「え……」
「経験ない人にはわからないだろうけど、なんというか……いろんなことから解き放たれてパーッとした気分になるんだよね。僕は自由だー! みたいな感じでさ」
「…………」
「そう考えると、普段から我慢することが多い人ほど獣化の治療を嫌がるのかもなーなんて……思ったり思わなかったり」
「……!」
それを聞いたら、心臓がドクンと跳ね上がった。兄が治療を嫌がった理由が、今更ながら身に染みてきた。
――兄上……もしや、元の自分に戻りたくなかったのか……?
ふつふつと罪悪感がこみ上げてくる。
兄がいろいろ我慢していたのだとしたら、それは間違いなく自分のせいだ。自分さえいなければ、兄はもっと自由に生きられただろうし、様々なトラブルに巻き込まれることもなかった。未熟な弟をフォローするために奔走する必要もなかったし、面倒な尻拭いもいらなかったはずだ。
兄にとってアクセルは、よくも悪くも枷となる存在なのだ。
でも……。
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