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第15章~些細なすれ違い~
第9話
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アクセルの心配もそっちのけで、兄はさっさと立ち上がり鍛錬を再開しようとする。
せっかく持ってきた上着も着てくれないので、さすがにやんわりと注意した。
「なあ兄上、少し休憩しないか? さっきからペースを考えずに鍛錬してる気がするぞ」
「そんなことないよ。今日はみっちり鍛錬したいだけさ」
「みっちりやるのはいいけど、それでも適度な休憩は必要だろ。そのままじゃ風邪もひきそうだし、せめて上着くらいは着てくれよ。せっかく鍛錬したのに、翌日風邪をひいてたら本末転倒じゃないか」
「…………」
兄がこちらを振り向いた。その目はいつもと同じ青色だったが、何故かギラギラと血走っているように見えた。怒っているわけではないが、何かこう……苛立っているのか、焦っているのか、落ち着きがない。こんな兄は初めてかもしれない。
「……しょうがない。じゃあちょっとだけ休憩しよう。水は持ってきてくれたかい?」
「う、うん……どうぞ」
上着と一緒に、アクセルはハチミツ入りレモン水が入ったボトルを差し出した。
――兄上、一体どうしちゃったんだろう……?
ランクマッチが終わってから、どうも様子がおかしい。何が気に食わないのか、妙に苛立っているようだった。
思い当たるところがなく――いや、ないわけでもないが、遊ぶのを断ったくらいでここまで臍を曲げるとも思えないので――どう扱えばいいか、アクセル自身も困惑しているのだ。
せっかく持ってきた上着も着てくれないので、さすがにやんわりと注意した。
「なあ兄上、少し休憩しないか? さっきからペースを考えずに鍛錬してる気がするぞ」
「そんなことないよ。今日はみっちり鍛錬したいだけさ」
「みっちりやるのはいいけど、それでも適度な休憩は必要だろ。そのままじゃ風邪もひきそうだし、せめて上着くらいは着てくれよ。せっかく鍛錬したのに、翌日風邪をひいてたら本末転倒じゃないか」
「…………」
兄がこちらを振り向いた。その目はいつもと同じ青色だったが、何故かギラギラと血走っているように見えた。怒っているわけではないが、何かこう……苛立っているのか、焦っているのか、落ち着きがない。こんな兄は初めてかもしれない。
「……しょうがない。じゃあちょっとだけ休憩しよう。水は持ってきてくれたかい?」
「う、うん……どうぞ」
上着と一緒に、アクセルはハチミツ入りレモン水が入ったボトルを差し出した。
――兄上、一体どうしちゃったんだろう……?
ランクマッチが終わってから、どうも様子がおかしい。何が気に食わないのか、妙に苛立っているようだった。
思い当たるところがなく――いや、ないわけでもないが、遊ぶのを断ったくらいでここまで臍を曲げるとも思えないので――どう扱えばいいか、アクセル自身も困惑しているのだ。
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