崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第三話 誇りとプライドを胸に

沈む夕日に照らされて

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「うん、綺麗だよね」
 アリッサが隣にやってきた。落下を防ぐための低いフェンスに手を置いて、ナガレと共に夕日を眺める。
「ジョーに出会ったら、この景色を見せてやりたいな」
「ジョー? 誰だそりゃあ?」
 ルックがキョトンとする。タネツとヒズマもお互いに顔を見合わせた。
「そっか、何気にみんなに話してなかったな。アリッサはピンとくるかもだけど、ジョーは……」
 そうしてナガレはジョーについてみんなに話した。ナガレとアリッサの窮地を助けてくれたこと、タイガスで再開したこと、そして近々バッファローの町へ来てくれること……。
「約束したんだ、アイツと。だからこの約束は、天地がひっくり返っても守らなきゃいけない。こんなところでへこたれるワケには行かないんだ」
 夕陽を見ながら呟くナガレ。
「へぇ~、そんなすげえ奴がいるんだなぁ! ぜひぜひ俺にも合わせてくれよぉ!」
「え、なんでルックが?」
「このバカ姉貴、今までそんな話一度もしなかったんだぜ? 弟兼保護者としてぜひお礼を言いたいねぇ」
 アリッサの頭をゲンコツでぐりぐりしながら、ルックがニヤニヤ笑っている。
「いだだだだ~い……」
「約束ってことか、良いねえ。ナガレ君を助けたのはどんなやつか、見てみたいトコだな」
 タネツは腕を組み「がっはっは!」と豪快に笑った。褐色大柄スキンヘッド男のタネツは、カッコつけた笑い顔より豪快な笑いの方が似合っている。
「あははっ、期待してくれて大丈夫ですよ。スピード特化のナイスガイですから! 直接助けられたオレが保証します」
「そいつぁ楽しみだ!」
「ねぇナガレく~ん♡ その人って……彼女とかいたりするの~?」
「知るかそんなん」
「冷たい……」
 ヒズマの色目使いは、ピシャリと突っぱねたナガレであった。
「そういやナガレ、そいつのフルネームはどんな名前だ? もしかしたらBランク以上の冒険者かも……苗字で丁寧に話すべきか?」
「ジョー・アックスです! なんだか名前の響きすらカッコよく思えてくるよー……って、なんでタネツさんまでこっちに引き込むつもりなんですかっ!」
「え、なぜ分かった⁉︎」
 驚くタネツ。ナガレは「はぁ~……」とため息を吐いた。恩返しをしたいだけだと言うのに……。
「……でも、ジョーがウチに入ってくれたらなぁ」
 不意打ちとはいえ、ジョーはスカルクリーチャーを一撃で倒すほどの実力者。そんな人がこのギルドに来てくれたら、ナガレの成り上がりはずっと早くなるだろう。……しかしナガレは考え直した。
「いいや、強い奴に引っ付いて成り上がっても意味がない。でっかい夢や目標ってのは、自分自身の力で勝ち取らなきゃな!」
 ジョーの力でA級冒険者まで成り上がっても、ナガレ自身が強くなったとは言えない。誰かに叶えてもらった願いなどまっぴらゴメンだ。
「へっ、その意気だぜナガレ。俺も頑張んなきゃな」
「ううっ、今度こそ彼氏ができるの思ったのにぃ」
「んなこと言わないでください。実はオレ、ジョーの歳も生まれも知らないんですから。ひょっとしたら実はエルフで、すごい年上だったかも……」
「えっ! そ、そんな……いや、これはこれでアリかも……」
「いい加減諦めろーッ!」

「う、ん……とってもハンサムで素敵な人だったよ、ヒズマさん……」
 そう言った後、アリッサの顔が突然紅潮する。わちゃわちゃしている冒険者三人は聞いていなかったが、そばにいたルックはギョッとした表情だ。
「……ねーちゃん? えっ……そ、そっち? ナガレの野郎じゃなくって? マジでそっちなの⁉︎」
「どっちって何よ! 変な勘ぐりしないで、もうっ!」
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