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第二部 虚構の楽園
37悔恨④※
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切ない疼きに耐えかねて、子供のように首を振るナシェルの表情を、ヴァニオンは口中に含んだ尖端をちろちろと舌で虐めながら眺めている。彼は先走りの蜜を滴らせる尖端の孔に、舌先を割り入れんばかりに強く圧しつけて、ナシェルを気狂いの如く喚かせた。
ナシェルの美しい弓形は音を立てて喉奥まで呑み込まれ、熱い唾液と唇の柔らかさを感じさせられながら、口蓋の中で満遍なく舌啜された。
そして冷たい外気に触れさせるように尖端まで引き抜かれたかと思うや、また熱い口の中に埋め戻されるといった抜き差しを延々と繰り返され、張り裂けんばかりに滾った。
じゅくじゅくとした淫らな音と、言葉にもならぬ喜悦の声が浴室内に響き渡る。
「っあ。ふ…っあああ――、……っぁあ……っ」
絶え間ない口戯によってナシェルの躯の震えは一層高まる。彼が絶頂を迎えようとしているのを悟りヴァニオンはより淫靡な音を立てて美しいものを己の口中に深々と埋め込んだ。
「い……っ、あ……達く、ヴァニ、オン………!ああああッ」
ぶるぶると身を震わせ硬直させて、ヴァニオンの口の中に己を放った。
ヴァニオンはナシェルの白濁を嚥下すると、唇を拭いながら、ぐったりと虚脱したナシェルの上半身を抱きかかえる。
荒い吐息をついているナシェルの、頬にへばりつく黒髪を後ろに撫でつけながら囁いた。
「凄い、イイ声だった……。俺も早くお前のなかに入りたいよ。立てる?」
ナシェルはうすぼんやりとした忘我の境地の中で、ずっと考えていたことを思わず口走った。
「ヴァニオン……お前を愛せたら、よかったのに……」
「俺もだよ、ナシェル。こんなややこしいことになるぐらいなら、お前をあのとき、俺のものにしときゃ良かった……」
けれど二人とも、それは何の解決にもならないことを今はもう知っているのだ。
「ナシェル。腰が抜けた? 立てないならこのまま挿れるけど。後ろからのがイイんだろ? お前は」
「ん……」
引きずられるように、ナシェルは膝を下ろして床に立ち、されるがまま彼に背を向けた。腰に纏わりついていたローブが床に落ちて、全身が露わになる。
正面に壁面を埋め尽くす大きな鏡があり、情欲に煙った己の藍の双眸がこちらを見ている。
お前は何をしているんだ……。心のどこかで冷めた己が、まだそう云っていた。
目の前に罪なる快楽を差し出されれば受け取らずにはおれない己の、植え付けられたとはいえ余りにも卑猥な性質を、自身でも嫌というほど理解している。
だがもういい……、もう遅い。そんな目をして私を見つめても無駄だ。今さら貴方に誓う貞操などない……。
鏡の向こうから悲しげに己を見つめている紅いものに向かって、ナシェルはひっそりと告げ、目を逸らす。
それ以上鏡を直視することができなかった。
ヴァニオンがナシェルの口に指を入れた。そうして自分の指を舐めさせておいてから、ヴァニオンはナシェルの背を押して身を屈ませ、秘部へ中指を深々と埋め込む。ナシェルは腰がくだけそうになりながらも、両手を台の上について何とか堪える。
無遠慮に内部を寛げる男らしい指。引き抜かれてはまた挿し込れられ。ゆるゆるとした蠢きを腔内で繰り返して玩弄する。一度達した後だというのに、内壁の悦い所を丹念にこすられて、また新たな昂ぶりに躯の中心が疼き始めた。
鏡越しにナシェルを見つめ、ヴァニオンが囁く。
「鏡、見てみろよ。イイ顔してる」
だが鏡の向こうにはあれがいるのだ。己をどこまでもいつまでも視姦しづつける王が。
余裕のない表情でふるふると首を振るナシェルを、ヴァニオンは苦笑混じりに見下ろしている。
指を増やし、内膜を充分に寛げて準備を終えると、指を引き抜き、代わりに硬いものを後ろに押し当てた。
待ち望んだ強張りに震撼するナシェルの体を台に押さえつけながら、ぐ、と一息に挿入する。
「ああぁッ、ああ! あ……っ」
一段と悲痛な嬌声が上がった。ヴァニオンが構わず躯を揺すり始めると、喘ぎも断続的に切れ切れに霞んでいく。
内部の敏感な一点をただひたすら突かれ、延々と責め立てられる。
「ああッ!! ――ヴァニオン、――はぁっ、ああっ―――…」
抽挿は徐々に激しさを増していった。
背中に覆いかぶさる男の息遣いが、打ち付けられる体の熱さが、内膜を支配する肉塊の蠢きが……、全ての思考をナシェルから奪い去る。
次第にナシェルの喉は声を発する力さえ失い、ただ空気を求めて浅い息継ぎのみを繰り返し始めた。
爪先が浮くほど背後から突き上げられて、雅やかな肢体は我を忘れてのたうつ。
台に手をつき、もっと、と求めるように腰を突き出した。角度がついて後壁をますます刺激され、ナシェルは途切れがちな意識の中で喘鳴する。
だが狂乱のうちにあっても、ナシェルの肉襞は食んだモノを無意識に締め上げていく。
内部で高まる強烈な快感に、ヴァニオンもやがて登りつめ、己の精をナシェルの奥に解放した。
「―――ッ!」
放心し、台の上にぱたりと伏したナシェルの耳に、自身もまだ享楽の彼方をうつろいながら、ヴァニオンが吹き込む。
「髪を拭いてやるよ。それから寝台へ行こう。まだ満ち足りたわけじゃないだろう……?」
濡れた髪に布がかけられても、ナシェルはほとんど聞いてはいなかった。
神司を曇らす魔族の精を、たった数日の間にこうもたびたび身の内に容れることになろうとは……。
浅い呼吸を繰り返しながら、ナシェルは打ち寄せる自己嫌悪に呻いた。
なぜ躯の中に出すなと云っておかなかったのか、己は……。同じ失敗を、何度繰り返せば気が済む。
気分が悪い。吐きそうだ。
…だが、遂げてしまった今は、もう遅い。
ナシェルの美しい弓形は音を立てて喉奥まで呑み込まれ、熱い唾液と唇の柔らかさを感じさせられながら、口蓋の中で満遍なく舌啜された。
そして冷たい外気に触れさせるように尖端まで引き抜かれたかと思うや、また熱い口の中に埋め戻されるといった抜き差しを延々と繰り返され、張り裂けんばかりに滾った。
じゅくじゅくとした淫らな音と、言葉にもならぬ喜悦の声が浴室内に響き渡る。
「っあ。ふ…っあああ――、……っぁあ……っ」
絶え間ない口戯によってナシェルの躯の震えは一層高まる。彼が絶頂を迎えようとしているのを悟りヴァニオンはより淫靡な音を立てて美しいものを己の口中に深々と埋め込んだ。
「い……っ、あ……達く、ヴァニ、オン………!ああああッ」
ぶるぶると身を震わせ硬直させて、ヴァニオンの口の中に己を放った。
ヴァニオンはナシェルの白濁を嚥下すると、唇を拭いながら、ぐったりと虚脱したナシェルの上半身を抱きかかえる。
荒い吐息をついているナシェルの、頬にへばりつく黒髪を後ろに撫でつけながら囁いた。
「凄い、イイ声だった……。俺も早くお前のなかに入りたいよ。立てる?」
ナシェルはうすぼんやりとした忘我の境地の中で、ずっと考えていたことを思わず口走った。
「ヴァニオン……お前を愛せたら、よかったのに……」
「俺もだよ、ナシェル。こんなややこしいことになるぐらいなら、お前をあのとき、俺のものにしときゃ良かった……」
けれど二人とも、それは何の解決にもならないことを今はもう知っているのだ。
「ナシェル。腰が抜けた? 立てないならこのまま挿れるけど。後ろからのがイイんだろ? お前は」
「ん……」
引きずられるように、ナシェルは膝を下ろして床に立ち、されるがまま彼に背を向けた。腰に纏わりついていたローブが床に落ちて、全身が露わになる。
正面に壁面を埋め尽くす大きな鏡があり、情欲に煙った己の藍の双眸がこちらを見ている。
お前は何をしているんだ……。心のどこかで冷めた己が、まだそう云っていた。
目の前に罪なる快楽を差し出されれば受け取らずにはおれない己の、植え付けられたとはいえ余りにも卑猥な性質を、自身でも嫌というほど理解している。
だがもういい……、もう遅い。そんな目をして私を見つめても無駄だ。今さら貴方に誓う貞操などない……。
鏡の向こうから悲しげに己を見つめている紅いものに向かって、ナシェルはひっそりと告げ、目を逸らす。
それ以上鏡を直視することができなかった。
ヴァニオンがナシェルの口に指を入れた。そうして自分の指を舐めさせておいてから、ヴァニオンはナシェルの背を押して身を屈ませ、秘部へ中指を深々と埋め込む。ナシェルは腰がくだけそうになりながらも、両手を台の上について何とか堪える。
無遠慮に内部を寛げる男らしい指。引き抜かれてはまた挿し込れられ。ゆるゆるとした蠢きを腔内で繰り返して玩弄する。一度達した後だというのに、内壁の悦い所を丹念にこすられて、また新たな昂ぶりに躯の中心が疼き始めた。
鏡越しにナシェルを見つめ、ヴァニオンが囁く。
「鏡、見てみろよ。イイ顔してる」
だが鏡の向こうにはあれがいるのだ。己をどこまでもいつまでも視姦しづつける王が。
余裕のない表情でふるふると首を振るナシェルを、ヴァニオンは苦笑混じりに見下ろしている。
指を増やし、内膜を充分に寛げて準備を終えると、指を引き抜き、代わりに硬いものを後ろに押し当てた。
待ち望んだ強張りに震撼するナシェルの体を台に押さえつけながら、ぐ、と一息に挿入する。
「ああぁッ、ああ! あ……っ」
一段と悲痛な嬌声が上がった。ヴァニオンが構わず躯を揺すり始めると、喘ぎも断続的に切れ切れに霞んでいく。
内部の敏感な一点をただひたすら突かれ、延々と責め立てられる。
「ああッ!! ――ヴァニオン、――はぁっ、ああっ―――…」
抽挿は徐々に激しさを増していった。
背中に覆いかぶさる男の息遣いが、打ち付けられる体の熱さが、内膜を支配する肉塊の蠢きが……、全ての思考をナシェルから奪い去る。
次第にナシェルの喉は声を発する力さえ失い、ただ空気を求めて浅い息継ぎのみを繰り返し始めた。
爪先が浮くほど背後から突き上げられて、雅やかな肢体は我を忘れてのたうつ。
台に手をつき、もっと、と求めるように腰を突き出した。角度がついて後壁をますます刺激され、ナシェルは途切れがちな意識の中で喘鳴する。
だが狂乱のうちにあっても、ナシェルの肉襞は食んだモノを無意識に締め上げていく。
内部で高まる強烈な快感に、ヴァニオンもやがて登りつめ、己の精をナシェルの奥に解放した。
「―――ッ!」
放心し、台の上にぱたりと伏したナシェルの耳に、自身もまだ享楽の彼方をうつろいながら、ヴァニオンが吹き込む。
「髪を拭いてやるよ。それから寝台へ行こう。まだ満ち足りたわけじゃないだろう……?」
濡れた髪に布がかけられても、ナシェルはほとんど聞いてはいなかった。
神司を曇らす魔族の精を、たった数日の間にこうもたびたび身の内に容れることになろうとは……。
浅い呼吸を繰り返しながら、ナシェルは打ち寄せる自己嫌悪に呻いた。
なぜ躯の中に出すなと云っておかなかったのか、己は……。同じ失敗を、何度繰り返せば気が済む。
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