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第四部 至高の奥園
29幾千の夜より甘く②※
しおりを挟む王の手で、水差しの吸い口から水分を摂ったナシェルはしばし息を整えていた。しかしはたと我に返り、背後に寝そべり再び長煙管を吸いはじめた王に、少々恨みがましい眼差しを投げる。
「ちょっとォ……父上……」
「何だ」
「何だ、ではなく。……これです、手も解いて」
ふぅ…と冥王の燻らせた灰色の息吹が、ナシェルの鼻先を撫でていった。
「まだまだだよ……ナシェル。そなたはさっきその口で白状したばかりではないか。本当は束縛が欲しいのだと」
「……」
「それに愛の行為ののちにそなたが余の司を得て生まれ直す、その時まで余は安心できぬ…。余はそなたがまた儚く余の前から消え去ってしまわぬかと案じているのだよ。ちゃんと確かめるまでは解いてやれぬ」
「……消えうせたくとも私が何処かへ移動するのはこの体じゃ無理です。そんなに私を手元に置いて安心したいなら、煙管なんか吸ってないで早くシて……」
「……そなたが休憩したいと云ったのではないか。まったく、休ませろと云ったり早く愛せと云ったり、相変わらず本当に気まぐれだね……」
「き……気まぐれは貴方の遺伝です」
「もう、休憩はいいのだな?」
王はふうっと煙の残る溜息を吐いて煙管を受け皿に戻した。
起き上がり、柱に拘束状態のナシェルを再び背後から抱き寄せる。
――今度こそ挿れてもらえそうだ。
ナシェルは軽い興奮に包まれ後ろの窄まりを疼かせる。しどけなく腰を反らして、欲しい所を王へ向け迎えるように突き出した。
王ももう貫きたくて仕方がないはず。なぜなら先ほどから夜着越しに、逞しい硬い武器が己の尻に当たっていたから。
ナシェルは呼吸を上ずらせ、その凶刃に灼かれる己を夢想して舌を舐めずる。
しかし王は背後から穿つどころか、尖り立つ乳首を軽く弾いたその手で、ナシェルの中心を再び握り込んできた。
達した直後なので、酷く敏感になそこを……再び高めようと、揉みしだいてくる。
ナシェルは不意打ちを食らって震撼した。
「ひ…ぁ……っ!?」
「まだそなたの中には穢いものが随分と残っている……。全部出してそなたの中身を綺麗にしよう。余の司で満たしてやるのは、それからだよ……」
背後に膝立つ王は、残酷で甘美な、蕩かすような言葉でナシェルに再度の放精を強いた。
「えぅ……ッ? ぅあ……! もう無理…です、無理ぃ……! いや、そこダメ……ッ」
ナシェルは王の手をなんとか避けようと身を攀じるが、両手が柱に縛りつけられたままの状態では逃れる場所もない。
萎えた中心を強く握り込まれ、あまりのくすぐったさと快感に下腹がびくりと波打つ。四肢が震える。
立てつづけの射精を強いられて、乾いた目尻がふたたび涙を湛えてゆく。
花芯の先端は、暖かい掌に包まれただけで早くも疼き、熱をとり戻していた。
「ぅう………んぁ………あ――、ん……、っふ……」
愛撫を再開されると途端に、声色が変わってしまう。
啜り泣くような鼻声が漏れ始め、群青の瞳はふたたび淫靡に潤い、翳っていった。
さきほど精を放ったばかりであるというのに再び激しく兆してしまっていた。尖端のくぼみには粘性の蜜があふれて溜まり、王が長い指をからめてきつく扱きあげるたびに、ぴゅ……ぴゅ……とそこかしこに放埓な雫が散る。
流れ落ちたもので下半身を濡れそぼらせ、ナシェルは立て続けに何度かの昇華を遂げた。
「あぁ……っ……あぁっ……すごい……、父うえ、またイっちゃう……っぁ、ぁあああぁあ――――!」
背中を思いきり反らせてのけぞる。勢いよく吐き出した乳酪のごときツユが、掻き抱いた柱にかかり滴り落ちてゆく。
そのたびにがっくりとうなだれる白い喉元に、手が添えられて仰向かされ、休む間もなくふたたび体を抱え直されて、花芯に執拗な愛虐を受ける。
「あぁ――ッも……無理……だめ、だめ……さすがに、も、逝けない……イけない……」
涙と汗と、己の放った精に塗れながら赦しを請うが、王はなかなか離してはくれない。
張りを失ってきた根茎を、王の指がなおも妖しく弄ぶ。
「まだだよ……全部出しなさいと言ったはずだ。ほら、まだ此処から蜜が溢れて来ているではないか……」
王はナシェルの陰茎を片手で握り込み、亀頭の尖端の小さな孔に指先をつぷりと割り入れてくる。本来そのように拡げられるべきではない、もっとも過敏な場所だ。
「い――やぁ…………ッあぅ――!!」
尖端に灯る快感に、全身が弾ける。
「あぁあッ……父、上……ッ……はぁ……、何、いや、溶ける……溶けちゃう!……そこ……ああぁっん!!」
先端に捩じ込まれた小指の頭を、ひくつく尿道の襞が包み込む。くりくりと指で掻き廻されると、信じられない灼熱が脳天を直撃してくる。
「大丈夫……こうして腰を支えていてあげるから。
ほら、こうして刺激してあげると……また蜜が沁みだしてくるだろう? さあ……出しきってしまおうね」
冥王は恥辱的な命令を繰り返し甘く囁きながら、亀頭の側面を指の腹でこすり、花芯の尖端部を長時間に亙って延々と苛むのだった。ペニスはとうに限界を超えている。
なにやらまだ出そうな気配はあるが放尿してしまうのではないかと恐れて、ナシェルは全身をよじり股を震わせ、声を絞り出すようにしてそれ以上の愛撫を拒む。
しかし王は
「大丈夫だよ、怖がらないで……。お漏らししても構わないから、ココから全部出しきってごらん」
と繰り返しナシェルを絶頂へ導く。
再び覇気を取り戻した性器は、そうして否応なく高められ続けた。
幾度目かとも判らぬ絶頂の果てが押し寄せてきても、それはもう初めの数回のような一瞬の狂濫ではなく、はじめと終わりがはっきりしないような、ぐずぐずと長く引き伸ばされた、とめどない快楽の渦流へと変じていた。
「ひぁ、う―――…っ何…これ……アアァぁあ――っぁあ………!」
王に尖端部を苛め抜かれて、ナシェルが果てしない究極の官能の中を溺れ蕩っている間、そこからはもう精液とも呼べないような、粘り気も濁りもない透き通った甘露が彼の意識とは無関係に漏れ出している。
開ききった鈴口から飛沫が溢れ、王の手指を濡らし、内股を伝い、寝具を淫らに濡らしてゆく様はまるで幼子がこらえきれず粗相をする時の様子に似ていた。
そしてそのさらりとした甘露すらも出尽くすと、王はナシェルの精の泉が完全に干上がったことを諒解し、目を細めて王子を労いながら漸く花芯への愛撫を止めた。
亀頭を責められ強制的に連続で「潮吹き」させられて、後半ほとんど失神しかけていたナシェルは、再び脇を抱え上げられて半分覚醒した。
背後から躯を寄せる王が、ナシェルの白い尻に濡れた指を這わせながら囁く。
「いい子だ……言われた通りに全部出し切ったね。乱れるそなたは凄かったよ……可愛かった」
淫猥な様子をことさら褒められて、羞恥と嬉しさの境目に心が揺れる。
ナシェルは王の鎖骨に頭を預け、恥じらって目を伏せた。
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