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番外編
午餐のあとで③※
しおりを挟む「ほら。望みのものをくれてやる……ゆっくり息を吐け」
背後から優しい声が、わざと酷薄にそう命じた。
尻の左右に添えたままだった両手を、後ろで組まされる。
ナシェルの両手首を背後から保持したまま、王は香油に濡れた怒張を、ぬぷぬぷとナシェルの内部に埋めていく。
「んん、アッ、ア、アァぁ……」
案の定待ちかねた最初の一撃で、熟した前立腺を的確にこすられ、達してしまった。
えずくように体を波打たせ、粘性の白い雫をシーツに撒き散らす。足の力が抜け、意識が飛びかける。
そうしてナシェルが一瞬のうちにへなへなになっている間にも、王はナシェルの腰をがしりと掴んで揺すり上げ、自身との結合部の密着度を高めた。
「もう達したのか? まだ動いてもおらぬに。ほら、へたるな。寝るな。もっと膝を立てよ……」
意地悪く叱咤しながら、王はナシェルの一番感じるところを剛直の先でしつこくこすりあげる。閉じる余裕がなく先ほどから開きっぱなしのナシェルの口から、また狂ったような喘ぎ声が上がった。
「ひぃ……! いっ、いい、そこっ、父上…ッ、ソコ、当たって、あっ、んっ――――」
「知っているよ…ここ…だろう、良いのは?」
「そこ、っ……イイの………」
尖端で良いところを確認され、ナシェルはがくがくと頷いて応じる。
王は、その部分に狙いを定め律動を始めた。香油で滑らかになった入口が抜き差しのたびにチュプ、クプ、と卑猥な音をたてた。
ひと突きごとに快感の坩堝を刺激されて、ナシェルはほとんど酸欠状態で善がる。
「ひぅあ、……っま、っ、また、イく、ンッ、うぅッ!」
「まったく堪え症のない子だ。少しは我慢いたせ」
再び射精の準備が整ったナシェルの茎を、王が背後から手を伸ばしてきて掴む。
今度は、根元を抑えられて、放精を妨げられた。
「うぅ、ぐ……」
ナシェルは涙と汗と涎とでぐしゃぐしゃになった顔をシーツに押しつけ、満たされぬ渇望に上半身をのたうたせ、呪いの文言でも唱えるように低く抗議の唸り声を上げる。
王はナシェルの射精を封じながら自己のペースで猛然と律動を続けた。ナシェルは半泣きでイきたいと訴えたがペニスを離してはもらえず、後ろ手に固定された自分の手首をふりほどいて苛立たしげにシーツを掻きむしる。
王の運動に合わせて視界がぐらぐらと揺れている。船酔いしそうな感覚だった。身も心も今は自由を奪われ完全に隷従させられていると思うと病的な多幸感が襲ってきて、ナシェルは細かく武者震いする。熱に浮かされたように顎や喉が痙攣し、歯がかちかちと音をたてる。
そのうち後背位に厭いてきたのか、王がナシェルの腰を下ろして寝かせ、半回転させ、側臥位の姿勢を取らせた。当たる角度が先ほどとは変わり、ナシェルはさらに歓喜に泣きわめく。
かなり長い時間揺すぶられていたが、挿入した状態のままぐるりとまた半周させられ、前側位まで持ち込まれた。
片脚を肩にかつがれるや否や、王が全体重をかけて太い剱で突いてくる。
「あああああ……ッ!」
後背位や側臥位とはまったく違う新しい場所を、速いリズムで激しくこすられて、これもまた良すぎて、失神しそうだった。
「ああっ……すごい……、気持ちいい……っ変になっちゃう、ちちうえ……!」
のけ反ったり、頭を振ってみたりするが無駄に終わった。ナシェルは利かん気の子供が押さえつけられた時のように無我夢中で腕をばたつかせた。手近にあった枕に手が触れ、それをつねったり握り締めたりして快楽をやり逃そうとしたが、それでも駄目だった。
汗なのか涙なのかよく分からぬ雫が生まれ、目の横を滑り落ちてゆく。
「っちちうえ、もぅだめ、無理、欲しい―――イって、……も、出してっ、熱いの、ソコに、だしてっ……っ」
「……仕方ない子だね、泣いても許さないでと云ったのはそなたのほうであろう」
片脚を抱え上げられたまま半狂乱で哀願するナシェルの媚態に、王は目を細め、
「いいだろう、一度出してあげる。……一緒に達くぞ?」
そしてナシェルの膝裏を抱いて密着度を深め、数度突きあげ、待ちかねた精を放った。
同時にナシェルの花芯から手を離し射精を許したので、ナシェルも父と共に、再び達した。
「ッ……!!」
悲鳴を上げかけた唇を、丁寧に口づけで塞がれる。…空気が足りない。ナシェルは王の上腕をぎりりと掴んで、飛びそうになる意識を辛うじて繋ぎとめる。
どく、どく、どく。
王は執拗に腰を擦りつけて、最後の一滴まで丹念にナシェルの中に注ぎ込んだ。
そうしてから唇を少し離して、ぞくぞくするような声色で云った。
「ほら、欲しがってた濃いやつだよ、……旨いか?」
ナシェルは未だ脳裏に火花が散っているのを感じながら、うなずき、口づけに応じる。
「はい……父上の、……おいしい……」
嬉しくて、縋りつき、もっとたくさん呑みたいと小声で伝えると、王のものが己の内部で、再び固さを増した気がした。
ふたりとも大きく肩を上下させ、しばし息を整えていたが、ほどなくして王が天蓋の外のサイドテーブルに手を伸ばして手拭を取り、己の汗を拭い、ナシェルの顔の上に置いた。
顔を拭く余裕がないのでそのままくたばっていると、がしがしと顔を拭われた。
「わぷ……」
小休止。
「そういえば……」
ぐしゃぐしゃのナシェルの顔を拭ってやりながら王が思い出したように、
「午餐の席でヴェルキウス家の倅が、」
「……?」
「そなたをじろじろと見ておったよ。ヴァルトリス公爵と二人して」
「ヴァニオンと……ファルクが?」
ナシェルは絶頂感の余韻に浸りながらふにゃふにゃと、しまりのない口調で問い返す。
「……あの場にいましたっけ?」
「居ただろう、覚えておらぬのか」
「ああ……」
ヴァニオンと、明日領地に戻る約束をしたのだと思い出す。
「そういえば居たかも……。とにかくあの時は(尻の中の物のことで)一杯一杯で」
「そなたの様子がおかしいことに気づいておったよ、あの二人」
ナシェルはそれを聞いて恥じらうべきか迷ったが、面倒臭かったのでどうでもいいふりをした。
「別にもう、いいですよ……今さらだし」
変態の父に付き合っているうちに、だんだん羞恥心の限界点が曖昧になってきたのかもしれない。そうしてナシェルは乳兄弟のことを頭の片隅に追いやった。
「さて、……どうする?」
父は手巾を脇にほうり捨て、ナシェルの乱れた前髪を撫でつけた。
「汗をかいただろう。二回戦は、湯浴みしてからにするか?」
「冗談じゃない」
ナシェルは憤然と後ろの孔を締めつけた。そこは未だ、王の弓形を咥え込んだままだ。
「風呂なんか最後の最後でいいです。どうせまた汚れるんだし、」
「……今日はやけに積極的に欲しがるね?」
「お……“おあずけ”しすぎなんですよ」
ナシェルは上体を起こし、王の膝をまたいで対面座位になり、首に手を廻す。
「だから、全然足らない……。父上、ね。動いて」
少し我儘な口調で要求してみせる。口調と裏腹に、目尻には涙を浮かべて。
「いやらしい子だな……」
王は嘆息し、額をナシェルのおでこに軽くぶつける。吐息が交じり合うほどの距離。
「明日、暗黒界へ帰るのだろう。寝る時間が無くなるよ、良いのか?」
「いいんです」
ナシェルは切なげに応じた。早く二度目が欲しくて、体が疼きはじめている。
「最低、あと二回。そのあとちょっと寝るからいいです。さっきよりもっともっと、イジワルして。ねえ……父上、ナカ、もっといっぱいにして……」
懇願を受けた王は満足げに微笑む。
「いいよ………可愛い子」
王は、ナシェルの肢体を股の上に乗せ、熟した乳首を甘く食みながら、再びゆっくりと律動を開始した。
番外編「午餐のあとで」 了
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