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番外編
かけがえのない日々⑫
しおりを挟む「なーんで俺がお前の裸の絵の仕分け手伝わなきゃなんねえんだよ。何の罰ゲームよコレ?」
デッサン画の束を手に、乳兄弟がウンザリとぼやく。背後ではファルクがおいおいと号泣している。
「うををを――――!」
「……頼むヴァニオン。時間がないんだ、じきに父上の使いが来てしまう」
「きわどいのと、見せても問題なさそうなのを分けろったって……、じゃあ聞くがどの辺までが陛下の許容範囲なのよ? 判断基準を示してもらわねえと。つかパラパラっと見ただけでも全部マズいんじゃねえの? これ」
「いや、全部捨てるわけにはいかないんだ。ある程度は提出しないと証拠隠滅がバレてそれこそ大変なことになる。
……捨てるかどうかの判断基準は……そうだな、き……局部が描かれているか否かだ」
「あー……局部ね、はいはい……。
じゃあこれはアウトだな、これもアウト。これは…ギリで見えてないから行けるかな、コレはアウト、これも…ってほとんどじゃねえか!! 尻はセーフなのかよ?! 縛り系は?」
「……貸せ、私が確認する」
ナシェルはヴァニオンからデッサン画の束を受け取り、自分で確認した。
――まず描かれた記憶がある(ポージングや小道具に覚えがある)ものと、全く記憶にないものがある。
「……おいファルク貴様、私の記憶にないデッサン画があるのはどういうことなんだ」
「いえあのそれは――」
変態公爵があたふたと眼鏡を直しながら顔をあげる。
「殿下が気絶してる隙に描かせていただいたものとか……事後の寝てる間に描かせて頂いたものとかです……」
「つまりこそこそと私に黙って隠し描きしたわけだな? ――もういい、分かった。貴様いっぺん父上に殺されて来い。骨も拾ってやるつもりはないが、死んで個の意思を持たぬ精霊に生まれ変わったなら過去は水に流し側仕えさせてやらぬでもない」
「えっ精霊に生まれ変わったら……殿下のおそばに侍れる?…ありかも……」
ファルクの眼鏡の奥に異様な光が灯るのを見て前言を撤回した。
「いや、やはり貴様だけは精霊になっても近くに置きたくない――」
「まあまあナシェル、とにかくさ、このまま見せたらお前もヤバいんだろ。何とかしなきゃ」
「そうだな。――公爵、こうしたデッサン画や肖像画のたぐいは、城の中にあとどれぐらいある?」
「ええと……ここにあるので約3分の1……」
「マジかよ! あと3分の2もあるの!? ヤベぇ到底1日じゃ終わりそうにねえじゃん!! なんでそんな大量にあンだよ」
乳兄弟が叫んでいるが、ナシェルの耳は理解することを拒否したかのように急激に遠くなっていた。
「……そうだ……いっそこの城館ごと燃やしてしまおう…火事になったことにすれば……」
フラフラと、たき火に近づき松明を掴む。ヴァニオンとファルクがそれぞれ羽交い絞めと、足に巻き付き阻止してくる。
「ちょっとナシェルちゃん落ち着いて!! 放火ダメ!」
「殿下ぁあ後生ですから家燃やさないでぇええ――!!」
「ええい放せ! 貴様どうせ普段は王宮の研究室で寝泊まりしているのだろうが!」……
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