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第一章 愛証
序文(ことの起こり・世界のはじまり)
しおりを挟む創世神はかつて三界を創った。
天上界・地上界・冥界である。
創世神は自分の子供たちである神々を天上界に住まわせ、
人間たちを地上界に住まわせ、
魔族と異形の怪物たちを冥界に住まわせて、
ほかの世界を創造するために別次元へと去った。
去り際に創世神は
『神々の中から一人を冥界に遣わせるがよい』と
言い残したので、神々は、兄弟のうちで
ただひとりだけ黒髪紅瞳をしていた闇の神を、
異端とみなし冥界を治めさせるべく堕とした。
ただひとり冥界に堕とされた闇の神は孤独に打ちひしがれ、
永きにわたり天の同族たちを呪詛し発狂に至るも、
ただひとり彼を心配して天から降りてきた
女神ティアーナの献身により、正気を取り戻した。
闇神は冥界を統べるという己の使命を思い出し、
醜い争いを繰り返していた魔族らを統一して、
冥界の王となった。
ふたりは愛し合い、女神ティアーナは闇神の司を
受け継ぐ嗣子を孕んだが、
冥界の瘴気が天の女神には毒であったのか、
御子を産むと引き換えに消滅し、
創世界へと転位してしまう。
ほかに同族のおらぬ地底の黄泉世界で、
ふたたび訪れる孤独への恐怖から、
冥王は遺された王子に
異常なまでに執着し、
常軌を逸した愛情を注ぐ。
己の持つ『闇』と『死』という神司のうち、
『死』の司を御子へ分け与え、
懇ろに育てた。
うつくしい黒髪の御子は、
父神しか同族を知らぬまま、成長し、やがて―――
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