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第三章 蝶の行方
3※
……父の居室で見つけたその可愛らしい品物に、ナシェルはなぜか強く惹かれた。丁寧に、絹を敷き詰めた箱にしまわれていた。最初は、髪飾りだと思った。
ふだんなら装飾品などに興味を示すことはないのだけれど。
父の所有物としては異質なそれを、自分にくれとねだってみせたのは確かだ。
ただ自分の所持品にしたかったのだ。鍵のかかる箱に入れて、大切にしまってみたかった。もう宝物集めをするような年齢でもないのに――、子供じみた所有欲がふと湧いてきたのだ。
ただそれだけだったのに。
『それが欲しいのか。……では、今夜、いい子にできたらな』
父はナシェルの頭に手を置いて意味深に微笑んだ。ナシェルは寝所に王の訪いがあることを悟った。王は暗に「伽の褒美」としてならば下賜してよいと、匂わせたのだ。
そしてその晩―――。
父は『飾ってあげる』といってナシェルを寝かせ、もうしとどに蜜を溢れさせている尖端部にそれを挿し込んだ。
『あああ……――ッ!?』
尿道の小さな孔の中は、ナシェルの体中でまだ唯一、慣らされていない器官で、あまりの強烈な異物感と痛みに彼は全身をのけぞらせて叫んだ。
だが王はナシェルの中心に手を添えて蝶のピンを中程まで挿し込む。
『やあっ!……父上、これ……?!』
『これは、こうやって使う物だよ。そなたのために矮人族の匠に造らせた』
まるで下腹に蝶のとまったようなその姿を、王は目で愉しみ……、ナシェルのひぃひぃと泣き喚く声に、さらに欲望を掻き立てられたようだった。
『いやぁ……ッ』
『…そなたにとてもよく似合っている。恐がらなくていい、今、気持ちよくしてやるからね』
『いやあぁあ――……!』
王は手を動かして、ピンをそっと上下に抜き挿しする。金属の細い管が尿道の内部をこする。慣れない痛みはしかし、時間をかけられるといつしか壮絶な快感に変わってゆき――。
『あっあっ……あああ……っ』
ナシェルは枕を下に敷きだらしなく脚を開いて、こわごわ王の手技を見つめる。
――こんなに気持ちいいなんて……どうかしてる。
王の観察するような視線を受けて、羞恥にますます昂る。王はナシェルが尿道への責めに快感を覚えはじめたことを悟って、微笑む。
王は反対の手でナシェルの尻を割り、後孔にも指を侵入させ、前と後ろの小さな孔を同時に責め立て始める。
理性を飛ばし腰をくねらせて啼き善がるナシェルに、王はことさら優しく吹き込む。
『嬉しいのだね? 前も後ろもこんなにヒクつかせて。ピンもほら、こんなに奥まで挿入った……。我慢せずいつでも達してもいいよ……』
『ふっ……ぁん、』
ナシェルは食い破るように押し入ってくる王の指を、嬉々としてうしろの肉襞で喰む。王の指が鉤なりに曲がり、中で前立腺を擦り上げてくる。そこはもう随分と前から、王の指を気持ちいいと感じるように充分開発されてきた。
絶頂感が駆け上ってくるが、瑠璃色の蝶がナシェルの尿道を塞ぎ射精を妨げる。
『やっあああ……、だめ――ぇ……――父上っ………!……っぁああう……っ!』
――全身をびくンびくンとはねさせて、ナシェルは絶頂する。精液は出ない。
寝台の上にざわざわと黒髪が乱れ、広がる。
王は、射精なしで絶頂したナシェルをいとおしげにじっくりと観察している。
埋没させた指で、なおもしつこくナシェルの前立腺を蕩かせる。
『はぁあああ……ふぁ……やだぁ……またイくぅ――!』
『たくさんイッていいよ、ナシェル……こうやって白いのが出ないと、続けてイけるんだ。
何回いけるか数えてみよう。今のが一回だ』
『あんっ……あぅう……ッいくぅ―――!』
びくん、びくん。
『二回目だね?……可愛いよ、ナシェル……』
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