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なぜか乙ゲーの攻略キャラに転生してしまった俺は、悪役令嬢の可愛さに惚れました

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 横断歩道を歩いてる最中に暴走トラックに突っ込まれた俺は、なぜか乙女ゲームの攻略キャラのひとりに転生したらしい。

 乙女ゲームなんてやったことねぇし、攻略キャラって言われても何していいかわかんねぇんだけど。いったい、どうすりゃいいんだ……

 与えられた乙女ゲーム『イケメン貴族と逆ハー学園生活』の攻略本を手に、呆然とする。

 いや。俺、そんなキャラじゃねーし。女口説くとかできねーよ。
 しかも、これ……貴族って、あれだろ。ビラビラフリフリな衣装着るやつ。恥ずいだろ、それ……

 クローゼットを開けてみて、制服は思ってたよりまともで安心した。

 俺は、ツンデレお兄さんキャラ、か。他には激甘溺愛王子キャラ、あざ可愛い弟キャラ、頭が良くて真面目な優等生キャラ、ミステリアスな不思議同級生キャラ、頼りになって大人な先生キャラなんてのがあるのか……

 共通ルートの後で、ヒロインがどのキャラを攻略するかによって話の展開が変わってくんだな。ってことは、選ばれなかったら、そのヒロインとは恋人にならないってことだよな。

 まぁどうせ、女が好きなのなんて、あれだろ。激甘溺愛王子とかあざ可愛い弟キャラだろ。俺の出番なんて、ねーな。

 てか、他にもキャラがいんのか……

 攻略本の登場人物のページを捲っていく。

 悪役令嬢ねぇ……ストーリーを盛り上げるための役割ってとこか? どんな奴かわかんねーけど、なんか悪役令嬢って言葉に悪意感じるよな。

 ま、明日学校行けば分かることか。この寮、ひとり部屋で助かったー。

 俺はベッドに寝転がり、朝を迎えた。

 翌日、教室に入るとクラスの奴等が声をかけて来た。

「おはよう、アレックス」
「アレックス様、ご機嫌よう」

 ご、ご機嫌ようって……リアルで初めて聞いた。背筋がこそばゆくなるな。

「お、おぅ……おはよう」

 ボソッと返すと、一部の女子がこっちを見てコソコソと話してる。

「アレックス様、今日も素敵ですわ」
「あの、ぶっきらぼうなところが魅力ですわよね」

 ……モテキャラってのも、悪くないもんだな。

「皆様、ご機嫌よう」

 ガラッと扉を開けて、華やかなオーラを纏った女が入ってきた。

「エトワール様、ご機嫌よう。本日もお美しくていらっしゃいますわね」
「エトワール様、昨日はお茶会に誘ってくださりありがとうございました」
「エトワール様、クッキーを焼いてみましたの。お召し上がりになって」

 途端に、彼女は大勢の取り巻きに囲まれていた。

 あいつが……悪役令嬢ってやつか? でも、悪役っていうより、みんなに慕われてる感じするけどな。

 授業の始まりを知らせる鐘が鳴り、席に着くと先生が入ってきた。

「本日より、このクラスに新しく転入生が入ってきます。どうぞ、お入りなさい」

 扉から入って来たのは、漫画みたいなピンクの髪色に緑の瞳をした背のちっこい女子だった。

「アツコです。どうぞよろしくお願いします」

 ブッ。アツコって、もろ日本の名前じゃねーか。
 このゲームの世界観、壊れねぇのか?
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