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なぜか乙ゲーの攻略キャラに転生してしまった俺は、悪役令嬢の可愛さに惚れました
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エトワールの誕生日当日。
なんだよ、これ……
『お呼びする方もおりませんし』って言ってたはずなのに、会場は多くの人で溢れていた。学校のやつら……ニコラスとアツコもそこにいた。本来、婚約者であるニコラスがエトワールをエスコートするはずなのに、ニコラスはアツコをエスコートしていた。
「エトワール!」
会場にいたエトワールを見つけ、声をかける。
「アレックス様、いらしてくださったのですね。嬉しいですわ」
「お前、いいのかよ……あれ」
目線でニコラスとアツコをちらりと指す。
「仕方ありませんわ。侯爵家であるニコラス様は、男爵家である我が家よりも格上ですもの。どんな扱いをされようと、文句は言えませんわ」
んなこと、あってたまるかよ……
今すぐでにもニコラスを追いかけていき、ぶん殴ってやりたかったが、今日はエトワールの誕生日だ。パーティーをめちゃくちゃにするわけにはいかない。
だが、そんな俺の怒りを爆発させる出来事が起こった。
ニコラスがエトワールにお祝いの言葉をスピーチする席で、婚約破棄を告げたのだ。
「エトワール、冷酷無慈悲で人を思いやることのできない君にはうんざりだ。僕は今日限りで君との婚約を破棄する! そして、アツコを新たな婚約者として迎えることにするよ」
な、今日はエトワールの17歳の誕生日だぞ!? なんでよりによってこんな日に、しかもみんなの前で婚約破棄なんてするんだ! ニコラス、お前の方がよっぽど性格わりーだろ!
パーティーに参加した奴らはそれを好奇の目で見つめ、クスクス笑っている。まさか……そのために、みんなエトワールの誕生日パーティーに集まったのか!?
最低だろ、こんなの……
エトワールは顔を青褪め、唇を震わせた。
「エトワール!!」
俺はダッシュでエトワールの元に駆け寄ると、力強く抱き寄せた。
「だったら俺が、エトワールの婚約者になる!!」
「ぁ、アレックス様!?」
エトワールがびっくりして俺の顔を見つめた。
「ニコラスのことなんて、忘れろ! いや、忘れさせてやる!
俺がお前を愛してやる。絶対に、幸せにしてやるから」
エトワールの大きな瞳から涙がポロポロと溢れ、ギョッとして手を離す。
「す、すまねぇ!! か、勝手なことして……」
そりゃ、迷惑だよな。いきなりこんなこと言われても……
カッコ悪すぎて恥ずかしくなった俺は立ち去ろうとしたが、エトワールがギュッと俺の裾を掴んだ。
「ニコラス様は親同士が決めたご婚約者で、好きになろうと努力はいたしましたが、心惹かれることはありませんでした。
私は……校舎裏まで追いかけてきて下さったあの日から、アレックス様のことがずっと気になっておりました。アレックス様がアツコ嬢からの嫌がらせが私ではないと信じていただけて、とても嬉しくて……もうその時には既に、アレックス様をお慕いしていることに気づいたのです」
「ぇ……」
マジ、か……
「私からニコラス様との婚約破棄をすることは望めず、ずっとアツコ嬢と上手くいくよう願っておりましたが……ニコラス様と婚約破棄できて、アレックス様からご婚約のお申し込みをいただいて、これほど幸せな誕生日はございませんわ」
エトワールが瞳を潤ませながら微笑んだ。その微笑みを見て、周囲が騒めいた。
「お前、その顔……俺以外の前ですんな」
「えっ、なんのことですの?」
「だから、笑顔……可愛すぎんだろ……その、他の奴に見せたくねーんだよ!」
フフッとエトワールが笑った。
「だからぁ、笑うなって!」
「だって、アレックス様の方が可愛らしいですわ」
「おまっ、可愛いって言うなって!」
エトワールと顔を見合わせて笑い合う。悪役令嬢だなんて言われてたけど、エトワールは誰よりも笑顔の似合う可愛い女だ。そして、俺の婚約者だ。
あれっ、そういや俺って、アツコの攻略キャラのひとりだったんだよな? まぁいっか、アツコはニコラスとくっついたわけだし。
その後、エトワールの取り巻き連中がアツコに弱みを握られて嘘をつかされたと告白し、アツコの悪事が明るみになった。
ニコラスは今度は別の女に手を出してアツコと別れ、今はルイードを攻略しているようだ。ったく、こりねぇ女だな。
なんだよ、これ……
『お呼びする方もおりませんし』って言ってたはずなのに、会場は多くの人で溢れていた。学校のやつら……ニコラスとアツコもそこにいた。本来、婚約者であるニコラスがエトワールをエスコートするはずなのに、ニコラスはアツコをエスコートしていた。
「エトワール!」
会場にいたエトワールを見つけ、声をかける。
「アレックス様、いらしてくださったのですね。嬉しいですわ」
「お前、いいのかよ……あれ」
目線でニコラスとアツコをちらりと指す。
「仕方ありませんわ。侯爵家であるニコラス様は、男爵家である我が家よりも格上ですもの。どんな扱いをされようと、文句は言えませんわ」
んなこと、あってたまるかよ……
今すぐでにもニコラスを追いかけていき、ぶん殴ってやりたかったが、今日はエトワールの誕生日だ。パーティーをめちゃくちゃにするわけにはいかない。
だが、そんな俺の怒りを爆発させる出来事が起こった。
ニコラスがエトワールにお祝いの言葉をスピーチする席で、婚約破棄を告げたのだ。
「エトワール、冷酷無慈悲で人を思いやることのできない君にはうんざりだ。僕は今日限りで君との婚約を破棄する! そして、アツコを新たな婚約者として迎えることにするよ」
な、今日はエトワールの17歳の誕生日だぞ!? なんでよりによってこんな日に、しかもみんなの前で婚約破棄なんてするんだ! ニコラス、お前の方がよっぽど性格わりーだろ!
パーティーに参加した奴らはそれを好奇の目で見つめ、クスクス笑っている。まさか……そのために、みんなエトワールの誕生日パーティーに集まったのか!?
最低だろ、こんなの……
エトワールは顔を青褪め、唇を震わせた。
「エトワール!!」
俺はダッシュでエトワールの元に駆け寄ると、力強く抱き寄せた。
「だったら俺が、エトワールの婚約者になる!!」
「ぁ、アレックス様!?」
エトワールがびっくりして俺の顔を見つめた。
「ニコラスのことなんて、忘れろ! いや、忘れさせてやる!
俺がお前を愛してやる。絶対に、幸せにしてやるから」
エトワールの大きな瞳から涙がポロポロと溢れ、ギョッとして手を離す。
「す、すまねぇ!! か、勝手なことして……」
そりゃ、迷惑だよな。いきなりこんなこと言われても……
カッコ悪すぎて恥ずかしくなった俺は立ち去ろうとしたが、エトワールがギュッと俺の裾を掴んだ。
「ニコラス様は親同士が決めたご婚約者で、好きになろうと努力はいたしましたが、心惹かれることはありませんでした。
私は……校舎裏まで追いかけてきて下さったあの日から、アレックス様のことがずっと気になっておりました。アレックス様がアツコ嬢からの嫌がらせが私ではないと信じていただけて、とても嬉しくて……もうその時には既に、アレックス様をお慕いしていることに気づいたのです」
「ぇ……」
マジ、か……
「私からニコラス様との婚約破棄をすることは望めず、ずっとアツコ嬢と上手くいくよう願っておりましたが……ニコラス様と婚約破棄できて、アレックス様からご婚約のお申し込みをいただいて、これほど幸せな誕生日はございませんわ」
エトワールが瞳を潤ませながら微笑んだ。その微笑みを見て、周囲が騒めいた。
「お前、その顔……俺以外の前ですんな」
「えっ、なんのことですの?」
「だから、笑顔……可愛すぎんだろ……その、他の奴に見せたくねーんだよ!」
フフッとエトワールが笑った。
「だからぁ、笑うなって!」
「だって、アレックス様の方が可愛らしいですわ」
「おまっ、可愛いって言うなって!」
エトワールと顔を見合わせて笑い合う。悪役令嬢だなんて言われてたけど、エトワールは誰よりも笑顔の似合う可愛い女だ。そして、俺の婚約者だ。
あれっ、そういや俺って、アツコの攻略キャラのひとりだったんだよな? まぁいっか、アツコはニコラスとくっついたわけだし。
その後、エトワールの取り巻き連中がアツコに弱みを握られて嘘をつかされたと告白し、アツコの悪事が明るみになった。
ニコラスは今度は別の女に手を出してアツコと別れ、今はルイードを攻略しているようだ。ったく、こりねぇ女だな。
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