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裏切りと憎しみ ー華子sideー
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あの人は父親に梅小路(華子の旧姓)家の窮状を説明し、力になって欲しいと頼みました。それを受け、あの人の父は両親公認でお付き合いしていた私と梅小路家の為に力を貸そうと、弁護士を訪ねてくれました。
けれど......そのことを知った櫻井は、風間財閥の事業にまで圧力をかけてきたのです。
その当時、櫻井財閥と来栖財閥は二大財閥と呼ばれ、風間財閥はそれほど力を持っていませんでした。もし櫻井財閥に睨まれたら、事業者としてやっていけません。
あの人の父は、梅小路家を救うことから手を引きました。
私はそれを聞き、櫻井の強引で傲慢なやり方に怒りと怖れを感じました。
櫻井となど、結婚したくない......
私はあの人の胸に飛び込み、決死の思いで訴えました。
「お願い...悠人さん......私をここから連れ出して下さい......」
悲愴な表情で見上げた私に、あの人は黙り込みました。
「少し...時間を下さい」
私は、待ちました。あの人が私を迎えに来て、どこか遠くに連れ去ってくれるのを。
心細くなり、不安になる度にあの人への愛情を胸に確かめ、ひたすら待ち続けました。
けれど、あの人はいつまで経っても迎えに来ることはありませんでした。
そして、知ったのです。
あの人が、父親の支社があるイギリスへ一人で発ってしまったことを。
それが、私をどんなに失意のどん底へと落としたか......
あの人は......私の純粋な愛情を、寄せていた大きな信頼を裏切り......私を守ることから、櫻井と対峙することから、逃げたのです。
私に一言も告げることなく......
あの人に会えない寂しさ、苦しさ......裏切られたという思いは、やがて醜い恨みと憎しみへと変化していきました。
櫻井と結婚した後、両親は逃げるようにして執事ひとりだけを連れて小さなアパートへ引っ越しました。
私は住み慣れた生家であるにもかかわらず、まるで他人の家に住んでいるかのように、肩身の狭い思いをして過ごしました。ただ唯一の救いは、幼い頃から側にいたばあやがついてきてくれたことでした。
そして、結婚後数年して分かった事実......
それは、先物取引を積極的に勧めた黒幕が、櫻井の父親であったということ。父は、嵌められたのでした。
私の両親は経営していた事業を、屋敷を、美術品を奪われ......そして、娘までも櫻井に奪われることになってしまったのです。
その時、私は櫻井の子供を宿していました。櫻井家に怯え、逃げて行った両親に頼れるはずもありません。
ーー私は籠の鳥として、親の仇である相手と一生共に過ごさなければならない。
そう思うと、私を置いて去って行ったあの人に憎しみが一層、募りました。
櫻井とあの人への憎しみと悲しみと憤りで私は次第にやつれていき、結局お腹の子供を流産してしまいました。
そのことに深く悔やみ、懺悔しました。何の罪のない子供の命を奪ってしまったことを。
いくら恨んでも、悔やんでも......もう過去になど戻れない。
幸せだったあの頃には......
私はここから、この運命から逃れることは出来ない。
櫻井の妻として一生を終えるしかないのだ。
私は......あの人のことを忘れ、櫻井龍太郎の妻として、ここで生きていく覚悟を決めました。
運命に抗うことをやめたのです。
けれど......そのことを知った櫻井は、風間財閥の事業にまで圧力をかけてきたのです。
その当時、櫻井財閥と来栖財閥は二大財閥と呼ばれ、風間財閥はそれほど力を持っていませんでした。もし櫻井財閥に睨まれたら、事業者としてやっていけません。
あの人の父は、梅小路家を救うことから手を引きました。
私はそれを聞き、櫻井の強引で傲慢なやり方に怒りと怖れを感じました。
櫻井となど、結婚したくない......
私はあの人の胸に飛び込み、決死の思いで訴えました。
「お願い...悠人さん......私をここから連れ出して下さい......」
悲愴な表情で見上げた私に、あの人は黙り込みました。
「少し...時間を下さい」
私は、待ちました。あの人が私を迎えに来て、どこか遠くに連れ去ってくれるのを。
心細くなり、不安になる度にあの人への愛情を胸に確かめ、ひたすら待ち続けました。
けれど、あの人はいつまで経っても迎えに来ることはありませんでした。
そして、知ったのです。
あの人が、父親の支社があるイギリスへ一人で発ってしまったことを。
それが、私をどんなに失意のどん底へと落としたか......
あの人は......私の純粋な愛情を、寄せていた大きな信頼を裏切り......私を守ることから、櫻井と対峙することから、逃げたのです。
私に一言も告げることなく......
あの人に会えない寂しさ、苦しさ......裏切られたという思いは、やがて醜い恨みと憎しみへと変化していきました。
櫻井と結婚した後、両親は逃げるようにして執事ひとりだけを連れて小さなアパートへ引っ越しました。
私は住み慣れた生家であるにもかかわらず、まるで他人の家に住んでいるかのように、肩身の狭い思いをして過ごしました。ただ唯一の救いは、幼い頃から側にいたばあやがついてきてくれたことでした。
そして、結婚後数年して分かった事実......
それは、先物取引を積極的に勧めた黒幕が、櫻井の父親であったということ。父は、嵌められたのでした。
私の両親は経営していた事業を、屋敷を、美術品を奪われ......そして、娘までも櫻井に奪われることになってしまったのです。
その時、私は櫻井の子供を宿していました。櫻井家に怯え、逃げて行った両親に頼れるはずもありません。
ーー私は籠の鳥として、親の仇である相手と一生共に過ごさなければならない。
そう思うと、私を置いて去って行ったあの人に憎しみが一層、募りました。
櫻井とあの人への憎しみと悲しみと憤りで私は次第にやつれていき、結局お腹の子供を流産してしまいました。
そのことに深く悔やみ、懺悔しました。何の罪のない子供の命を奪ってしまったことを。
いくら恨んでも、悔やんでも......もう過去になど戻れない。
幸せだったあの頃には......
私はここから、この運命から逃れることは出来ない。
櫻井の妻として一生を終えるしかないのだ。
私は......あの人のことを忘れ、櫻井龍太郎の妻として、ここで生きていく覚悟を決めました。
運命に抗うことをやめたのです。
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