【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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ばあやの告白

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 ばあやは、再び頭を床に擦り付けた。

「ばあやの一生のお願いでございます!
 どうか、どうか......私も、一緒に連れて行って下さいましっっ!! 私に、罪滅ぼしを......させて、下さいまし......後生で...後生でございますから......どうか......ッグ」

 ばあやは、肩を大きく震わせた。

 いつもハキハキとし、しっかりしているばあやが、今は小さく、弱く見える。薫子だけでなく、取り囲んでいる使用人も皆、そんなばあやを苦しそうな表情で見つめていた。

 その時、バンバンバンッ!!!と激しく扉を叩きつける音が響いた。薫子は一瞬顔を青ざめた後、息を吐いた。

「......分かりました。
 ばあや、私と一緒に家を出てくれますか」

 その言葉を聞き、ばあやが顔を上げ、涙でしわくちゃになりながらも笑顔を見せた。

「もちろんで、ございますとも......」

 ばあやがゆっくりと立ち上がると、メイド達が扉を開けた。その先には薫子専用の車が横付けされ、運転手が待っていた。

 ばあやが声を掛ける。

「では、お嬢様。参りましょう」

 扉を出かけた薫子は、ハタと気がついて足を止めた。

 そうだ、私......

「どうしました、お嬢様?」
「私、机の上にばあやへの手紙を置きっぱなしにして...」

 言いかけた薫子に、ばあやが着物の襟から封筒を取り出した。

「これで、ございますか?」
「え。えぇ......」

 やはり、ばあやは......なんでもお見通しね。
 
 車に乗り込む前に、薫子は後ろを振り返った。生まれてから20年間過ごした、この生家を。

 私はもう......ここに戻ってくることは、二度とない。
 お父様に会うことも......

 それを思った時、父の間に入り、必死に自分を逃がそうとしてくれた母のことを薫子は思い出した。

 お母様、大丈夫かな。

 そう心配しながらも、薫子は初めて華子が見せてくれた母としての強い愛情に、嬉しさも感じていた。そして、二度と会えないであろう、寂しさも。

 薫子は、そっと手を振った。



 さようなら。
 お世話に......なりました。


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