【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都

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初めての共同作業

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 クロード様に、家庭的なお料理を作って差し上げたいですわ。

 ルチアは貯蔵庫から材料を手に取ると、厨房へと向かった。

「何を、作るのだ?」

 クロードが、興味深そうに並べられた食材を見つめる。

「私の国でよく作られております、グーラシュを」
「あぁ、グーラッシュ、牛煮込みシチューだな。我が国でも、一般的な家庭料理のようだな」
「グレートブルタン国とシュタート王国では、食材と使われるスパイスに少し違いがあるんですのよ」
「ルチアの作る家庭料理か。楽しみだ」

 クロード様に、喜んでいただけると嬉しいですわ……

 頬を緩めたルチアに、クロードが食材を手に取りながら尋ねる。

「で、私は何をすればいいのだ?」
「えっと……では、野菜を洗っていただけますか」
「分かった」

 クロードがシャツの袖を捲り上げ、細いけれど逞しい腕にルチアの胸が高鳴る。ぎこちない仕草で野菜を洗うクロードに、愛しさがこみあげる。

 いつも、何事も完璧にこなすクロード様のこんなお姿が見られるなんて……嬉しいですわ。

「出来たぞ」

 どこか満足そうな顔でルチアを見つめるその姿に、可愛い……とルチアは思わず微笑んだ。

「では次に、玉ねぎを切っていただいてもよろしいですか?」
「どうすればいい?」

 あ。もしかして包丁を触ったことも、ないのでしょうか?

 ルチアはクロードの横に立ち、包丁を握ると説明する。

「包丁はこのように握りまして、材料を抑えるときには手を切らないように、指を丸めて抑えて下さいませ」

 クロードはルチアの手元を見ながら、真剣に包丁を握る。

「これは……剣を扱うより、難しいな」
「あ、クロード様……」

 ルチアは自分の包丁を置くと、まな板に対して平行に立っていたクロードの後ろに回り、腰に手を添えると少し右へ向かせた。

「こうなさいますと、材料を切るときに真っ直ぐ切ることができますのよ」

 クロードがルチアの方へと振り返り、片方の口角を上げる。

「まさかルチアに、後ろから抱きつかれるとはな」
「え。えぇっ……!?」

 ルチアは、腰に添えていた手を慌ててバッと離した。

「不意打ちというのも、なかなかいいものだ」

 愉しそうに告げるクロードの言葉に、ルチアは顔を紅らめていく。

 この城に来てから、クロード様にはからかわれてばかりですわ……

 まるで新婚夫婦のようですわね……そう思ったルチアの火照りは、おさまることはなかった。


 あとは、お肉が柔らかくなるまで煮込むだけですわね。

 ルチアは、グーラシュの入った鍋に蓋をすると、他に何かやることはないか考えた。

 サラダもご用意いたしましたし、パンは朝、料理長が焼いてくれたものがありますし……他にご用意しても、食べ切れないですわよね。
 デザートは……

 そう考えたルチアは、ふとクロードの言葉を思い出した。

『これはデザートとして、後でもらうことにしよう』

 その途端に再びルチアの躰が熱を持ち始め、中心が甘く疼く。

 もう……クロード様は私をからかって、冗談でおっしゃっただけなのに本気にするだなんて。

「これで、出来たのか?」

 背後から響くクロードの声に、ルチアはビクリと肩を震わせた。

「あ、いえ……まだ、お肉が柔らかくなるまで煮込まないといけませんので」
「そうか。料理とは時間がかかるものなのだな。今までは出されたものを食すだけだったが、これからは見方が変わりそうだ」

 クロードの言葉に嬉しくなって、ついルチアの声が弾んでしまう。

「ふふっ、クロード様の初めてをご一緒に体験することができて、嬉しく思います」
「あぁ。お前と過ごす時間は、いつも私に新たな世界を見せてくれる」

 そんな風に思って頂けるなんて……嬉しいですわ。

 僅かに染まるルチアの頬を、クロードが大きな両手で優しく包み込んだ。

「だが、こんなに時間がかかるとは……デザートまで、待ちきれなくなった」
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