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おまけ2 ーユリアーノーとヒューバートの攻防ー
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「なぜお前と隣に並んで、食事を取らなくちゃならんのだ!」
「だって、クロード様はルチア様と並んで座りたいわけだし、仕方ないじゃん」
ルチアは険悪な雰囲気のヒューバートを見て、おろおろとしていた。そんなことには気に留めず、クロードが優雅な仕草でグーラシュを口へと運ぶ。
「美味いな」
ルチアの方へと向き、クロードが優しい笑みを浮かべた。その言葉に嬉しくなったルチアの声が弾む。
「クロード様に喜んで頂けて、光栄ですわ」
「あぁ、毎日でも食べたいぐらいだ」
クロードの言葉を受けて寂しさを隠し、微笑みを浮かべるルチアを目にし、彼女の心情を理解したユリアーノの胸が痛む。
毎日食事を共にする。城下の夫婦では当たり前のことが、このふたりには特別なんだ……早くクロード様とルチア様が一緒に暮らせるようになるといいのに。
暗くなりそうな雰囲気を払拭するように、ユリアーノもグラーシュを口へと運んだ。
「美味しい! ルチア様、すっごく美味しいよ!!」
「ふふっ、嬉しいですわ。まだありますから、たくさん食べてくださいね」
ユリアーノは更にグーラシュを口へと運ぶ。
「時間をかけて煮込んだって感じで味が染み込んでいて、肉も柔らかいね」
その言葉に、煮込んでいる間の淫らな行為を思い出し、ルチアの顔が紅くなり、俯いた。
あーあ、そんな顔しちゃって。ほんとに素直だな、ルチア様は。
そんなルチアの様子を見とめたクロードが口を開く。
「料理というのは時間がかかり、それを待つ間が愉しいのだと……ルチアから教わった」
うわっ、クロード様ったら、恥ずかしがってるルチア様に更に追い打ちかけてるじゃん。しかもよく見たらクロード様、ルチア様の太腿に手置いてるし。
ふふっ、こんな楽しそうなクロード様を見られるなんて、やっぱりルチア様は凄いなぁ。
ユリアーノは、嬉しそうに残りのグラーシュを口へと運んだ。
ヒューバートもようやく気を取り直し、口をつける。
おいしい……
だが、素直に言葉にすることができない。
「……悪く、ない」
すると、ルチアが驚いたように目を大きく見開き、にっこりと微笑んだ。
「えっ、本当ですの? ヒューバートにそう言っていただけて、とても嬉しいですわ……」
ルチアがヒューバートににっこりと微笑むと、彼の頬が赤く染まった。
「べ、別に褒めているわけではありませんから! 正直な感想を申しただけですので……誤解、しないで下さい」
「ふふっ……それでも、嬉しいですわ」
ルチアは更に笑みを深めた。
ユリアーノが目を細めてヒューバートの腕を小突いた。
「まったく、ヒュービーは素直じゃないんだから。ルチア様、ヒューバートは本当はすごく美味しい、って意味で言ってるんだからね」
「なっ……! そんなことは、言ってないだろう!」
また、余計なことを……
「ヒュービーが素直になれないから、代弁してあげてるんだよ?」
「お前に私の気持ちなど分かるか! おいっ、軽々しく触れるな!」
「ねぇ、ヒュービー。折角ルチア様が用意してくれた場を乱すと、クロード様に嫌われるよ?」
「うっ……」
ヒューバートは、ルチアがユリアーノと自分のやりとりに柔らかい笑みを浮かべ、そんなルチアをクロードが愛おしそうに見つめているのに気づいた。
ユリアーノとは相容れないが、あんな国王陛下の穏やかな笑顔が見られるのなら、こうしてたまには4人で食事をするのも、悪くない……のかも、しれないな。
「だって、クロード様はルチア様と並んで座りたいわけだし、仕方ないじゃん」
ルチアは険悪な雰囲気のヒューバートを見て、おろおろとしていた。そんなことには気に留めず、クロードが優雅な仕草でグーラシュを口へと運ぶ。
「美味いな」
ルチアの方へと向き、クロードが優しい笑みを浮かべた。その言葉に嬉しくなったルチアの声が弾む。
「クロード様に喜んで頂けて、光栄ですわ」
「あぁ、毎日でも食べたいぐらいだ」
クロードの言葉を受けて寂しさを隠し、微笑みを浮かべるルチアを目にし、彼女の心情を理解したユリアーノの胸が痛む。
毎日食事を共にする。城下の夫婦では当たり前のことが、このふたりには特別なんだ……早くクロード様とルチア様が一緒に暮らせるようになるといいのに。
暗くなりそうな雰囲気を払拭するように、ユリアーノもグラーシュを口へと運んだ。
「美味しい! ルチア様、すっごく美味しいよ!!」
「ふふっ、嬉しいですわ。まだありますから、たくさん食べてくださいね」
ユリアーノは更にグーラシュを口へと運ぶ。
「時間をかけて煮込んだって感じで味が染み込んでいて、肉も柔らかいね」
その言葉に、煮込んでいる間の淫らな行為を思い出し、ルチアの顔が紅くなり、俯いた。
あーあ、そんな顔しちゃって。ほんとに素直だな、ルチア様は。
そんなルチアの様子を見とめたクロードが口を開く。
「料理というのは時間がかかり、それを待つ間が愉しいのだと……ルチアから教わった」
うわっ、クロード様ったら、恥ずかしがってるルチア様に更に追い打ちかけてるじゃん。しかもよく見たらクロード様、ルチア様の太腿に手置いてるし。
ふふっ、こんな楽しそうなクロード様を見られるなんて、やっぱりルチア様は凄いなぁ。
ユリアーノは、嬉しそうに残りのグラーシュを口へと運んだ。
ヒューバートもようやく気を取り直し、口をつける。
おいしい……
だが、素直に言葉にすることができない。
「……悪く、ない」
すると、ルチアが驚いたように目を大きく見開き、にっこりと微笑んだ。
「えっ、本当ですの? ヒューバートにそう言っていただけて、とても嬉しいですわ……」
ルチアがヒューバートににっこりと微笑むと、彼の頬が赤く染まった。
「べ、別に褒めているわけではありませんから! 正直な感想を申しただけですので……誤解、しないで下さい」
「ふふっ……それでも、嬉しいですわ」
ルチアは更に笑みを深めた。
ユリアーノが目を細めてヒューバートの腕を小突いた。
「まったく、ヒュービーは素直じゃないんだから。ルチア様、ヒューバートは本当はすごく美味しい、って意味で言ってるんだからね」
「なっ……! そんなことは、言ってないだろう!」
また、余計なことを……
「ヒュービーが素直になれないから、代弁してあげてるんだよ?」
「お前に私の気持ちなど分かるか! おいっ、軽々しく触れるな!」
「ねぇ、ヒュービー。折角ルチア様が用意してくれた場を乱すと、クロード様に嫌われるよ?」
「うっ……」
ヒューバートは、ルチアがユリアーノと自分のやりとりに柔らかい笑みを浮かべ、そんなルチアをクロードが愛おしそうに見つめているのに気づいた。
ユリアーノとは相容れないが、あんな国王陛下の穏やかな笑顔が見られるのなら、こうしてたまには4人で食事をするのも、悪くない……のかも、しれないな。
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