63 / 498
59.読めない真意
しおりを挟む
「どうした、美羽? 顔が真っ青だぞ。行きの飛行機でも顔色悪かったし、飛行機が苦手なのか?」
義昭の言葉に美羽の中で不快感が募る。新婚旅行のイタリア行きのフライトは今回よりもロングフライトだったに拘らず、美羽は気分を悪くすることはなかった。
飛行機が苦手じゃないことは知っているはずなのに、そんなことすら忘れられてしまったのだろうか。
そんな不満を押し込め、美羽は無理やり口角を上げた。
「そ、そうなの……」
「少し寝たら気分が良くなるんじゃないか?」
家でならありえない気遣いに、今までならモヤモヤしながらもスルー出来ていたはずなのに、どうしてだろう。イライラする。
「そう、だね。ありがとう、そうする……」
美羽はバクバクと速まる鼓動を感じながら目を閉じ、義昭に背を向ける形で眠りに入った。もちろん、頭が冴えて寝れるはずなどない。
ーーこれは、類を裏切った罰なのかもしれない。
大学を卒業したら類と一緒になると約束しながらも、類を忘れられず愛していながらも、義昭と結婚してしまった自分への、罰。
自分を大切にし、愛してくれる義昭となら、穏やかで幸せな家庭を築いていけると信じていた。いつか子供をもち、笑顔溢れる幸せな未来を思い描いていた。
結婚式の時に、自分自身に誓ったのだ。
義昭を大切にして、もう類のことは忘れようと。
そんな風に類を欺いてしまったことへの、罰なの?
ーーもし、義昭さんとの出会いすら、類に仕組まれたものだったとしたら……
それどころか、実は最初から義昭さんもこの計画の共犯者で、私を陥れるために結婚したのだとしたら。彼らが出会った大学生の時点で、この計画は始まっていたのかもしれない。
そんな恐ろしい考えが浮かび、ゾクリと震え上がる。
分からない。
だって、彼らが出会った時は私も類と同じ大学1年生で、あの時点では類を裏切ってなどいなかった。ひたすら、類との再会を待ち望んで一緒になれることを祈ってた。
それに、もし私の居場所をずっと知っていたのなら、どうして大学を卒業してから迎えに来てくれなかったの?
迎えに来てくれていたら……私は義昭さんと別れてでも、類と駆け落ちでもなんでもする覚悟があったのに。
お父さんに監視されていたにしても、大学の友達を通じてだとか何らかの手段で連絡できていたはず。
類が義昭さんと手を組んでいたなんて、やっぱりありえない。独占欲の強い類が、義昭さんを使って私と結婚させるなんて……考えられない。
類の意図が、義昭さんの真意が読めない……
何を信じればいいのか、何を疑うべきなのか。
考えれば考えるほどに、出口のない迷路を彷徨っているかのように感じて、美羽は一層眉をきつく顰めて唇を震わせた。背中越しに感じる義昭の気配に吐き気を覚える。
それでも私は、この結婚生活を壊すわけにはいかないんだ……
義昭の言葉に美羽の中で不快感が募る。新婚旅行のイタリア行きのフライトは今回よりもロングフライトだったに拘らず、美羽は気分を悪くすることはなかった。
飛行機が苦手じゃないことは知っているはずなのに、そんなことすら忘れられてしまったのだろうか。
そんな不満を押し込め、美羽は無理やり口角を上げた。
「そ、そうなの……」
「少し寝たら気分が良くなるんじゃないか?」
家でならありえない気遣いに、今までならモヤモヤしながらもスルー出来ていたはずなのに、どうしてだろう。イライラする。
「そう、だね。ありがとう、そうする……」
美羽はバクバクと速まる鼓動を感じながら目を閉じ、義昭に背を向ける形で眠りに入った。もちろん、頭が冴えて寝れるはずなどない。
ーーこれは、類を裏切った罰なのかもしれない。
大学を卒業したら類と一緒になると約束しながらも、類を忘れられず愛していながらも、義昭と結婚してしまった自分への、罰。
自分を大切にし、愛してくれる義昭となら、穏やかで幸せな家庭を築いていけると信じていた。いつか子供をもち、笑顔溢れる幸せな未来を思い描いていた。
結婚式の時に、自分自身に誓ったのだ。
義昭を大切にして、もう類のことは忘れようと。
そんな風に類を欺いてしまったことへの、罰なの?
ーーもし、義昭さんとの出会いすら、類に仕組まれたものだったとしたら……
それどころか、実は最初から義昭さんもこの計画の共犯者で、私を陥れるために結婚したのだとしたら。彼らが出会った大学生の時点で、この計画は始まっていたのかもしれない。
そんな恐ろしい考えが浮かび、ゾクリと震え上がる。
分からない。
だって、彼らが出会った時は私も類と同じ大学1年生で、あの時点では類を裏切ってなどいなかった。ひたすら、類との再会を待ち望んで一緒になれることを祈ってた。
それに、もし私の居場所をずっと知っていたのなら、どうして大学を卒業してから迎えに来てくれなかったの?
迎えに来てくれていたら……私は義昭さんと別れてでも、類と駆け落ちでもなんでもする覚悟があったのに。
お父さんに監視されていたにしても、大学の友達を通じてだとか何らかの手段で連絡できていたはず。
類が義昭さんと手を組んでいたなんて、やっぱりありえない。独占欲の強い類が、義昭さんを使って私と結婚させるなんて……考えられない。
類の意図が、義昭さんの真意が読めない……
何を信じればいいのか、何を疑うべきなのか。
考えれば考えるほどに、出口のない迷路を彷徨っているかのように感じて、美羽は一層眉をきつく顰めて唇を震わせた。背中越しに感じる義昭の気配に吐き気を覚える。
それでも私は、この結婚生活を壊すわけにはいかないんだ……
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる