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182.独占欲
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ちょうど、あの客たちの注文したサラダで良かった♪
類は足取り軽く店内側へと回ると、サラダを受け取ってトレイに載せた。それからスープ皿を手に取り、カウンター横で温めている寸胴鍋からミネストローネを注ぐ。
そこへ、空の食器をトレイに載せて美羽が戻ってきた。
「ミュー、5番テーブルのサラダとスープ持ってくね!」
類の声がけに、美羽は慌ててトレイを置いた。
「いいよ、私持ってくから!」
「あっ、ミューの卓のお客さん、手ぇ挙げてるよ!」
言われて美羽が視界を移すと、先ほどお皿を下げたテーブルの客がデザートメニューを片手に、軽く手を挙げてこちらを見ている。
「ほんとだ……じゃ、お願いね」
美羽は類を気にしつつ、急ぎ足で客の元へと向かった。その華奢な背中に向かって類は僅かに口角を上げ、先ほど美羽が注文を受けた大川と水井のテーブルへ優雅に歩いていく。
類が歩き出した途端、彼の存在に気づいた客たちがハッとした表情になり、ひそひそと噂話を始める。その騒めきは次第に大きくなっていた。
まるで、ショーモデルのキャットウォークのように、類は周囲からの視線を一身に浴び、トレイを手に客席へと向かう。
だが、午後からの会議についての打ち合わせをしていた大川と水井はそんな周囲の騒ぎに気づくことなく、大川の熱弁に水井が耳を傾けていた。
「お待たせしました、Aランチのサラダとスープです」
聞き慣れない声に顔を上げた大川と水井が口をあんぐりと開け、類を凝視する。
「き、君は!?」
「うわっ……美羽ちゃん!?」
類は大川にサラダとスープをサーブしながら、笑顔を向けた。
「24日より、こちらで働かせてもらっている美羽の弟の類です。姉に変な虫がつかないよう、義兄から頼まれまして……
これからどうぞ、ご贔屓によろしくお願いします」
「そ、そうか……いやぁ俺は美羽ちゃんが大学生の頃からここに通ってるんだが、弟さんがいるなんて知らなかったよ。アハハ……美羽ちゃんの旦那さんがそんなこと頼んだの? まぁあれほどの美人を奥さんにしたら心配になるのも無理ないがなぁ。お義兄さんの頼みで働くことにしたなんて、優しいねぇ。
それにしても、びっくりするほど君達は似てるなぁ」
「えぇ、双子なんで」
類はにっこりと微笑みつつ、冷静に大川を観察した。
このデブバーコードはスケベオヤジっぽいけど、反応から見て気分を害した様子は見られないし、ミューに対して危害を及ぼす恐れはなさそうだな。それに、常連なら存外に扱えないし。
……問題はこいつより、雰囲気塩顔イケメンのこっちだな。
先ほど水井が美羽に対して顔を赤らめながら水を飲んでいた光景が蘇り、類は歯を噛み締めた。
水井にサラダをサーブしながら腰を捻り、大川の視界を遮る。
「もちろん分かってるかと思いますけど、姉をどうにかしようなんて……くれぐれも、考えないでくださいね?」
美羽とそっくりな顔で妖艶に迫られ、水井はタジタジしながらコクコクと頷いた。
「それでは、どうぞごゆっくり♪」
類は満足そうに微笑むと、くるりと背を向けた。
客たちの好奇の視線が類から美羽、そして美羽から類へと彷徨う。長蛇となっているウェイティング客たちもガラス窓越しに美男美女である双子姉弟たちに視線が釘付けとなっていて、いい暇潰しの話題となっていた。
先ほど類のことを噂していたグループは興奮の渦となり、まるでアイドルのコンサート会場のような悲鳴が上がり、他の客たちがジロリと睨む。特に常連客たちはいつも和やかなこのカフェの雰囲気が乱されていることを快く思っていない。
類が歓声が上がったそちらを見やり、人差し指を唇に持っていき、「シーッ」と静かにするよう合図した。途端、ワッと一瞬だけ声が上がったものの、その後は静かになり、喧騒が一気に収まった。
美羽が追加注文を取り終え、他の客たちの空いたサラダボウルやスープ皿を下げてカウンターへと戻る際、類が少し屈んで美羽の耳元へ唇を寄せた。
「ねぇ、何か手伝うことある?」
「も、もうここは大丈夫だから……隼斗兄さんに、聞いて」
美羽は類に寄せられた耳を手でカバーし、速足で歩き去った。周囲の視線が突き刺さるのを感じ、居た堪れない。
類はそんな美羽に焦燥を感じながら、拳をギュッと握った。
ほんとはさ、『僕以外の男と喋らないでよ。あんな笑顔向けないでよ!』って、言ってやりたかった……
あぁ、イライラする!
ミューは、僕のものなのに。
類は足取り軽く店内側へと回ると、サラダを受け取ってトレイに載せた。それからスープ皿を手に取り、カウンター横で温めている寸胴鍋からミネストローネを注ぐ。
そこへ、空の食器をトレイに載せて美羽が戻ってきた。
「ミュー、5番テーブルのサラダとスープ持ってくね!」
類の声がけに、美羽は慌ててトレイを置いた。
「いいよ、私持ってくから!」
「あっ、ミューの卓のお客さん、手ぇ挙げてるよ!」
言われて美羽が視界を移すと、先ほどお皿を下げたテーブルの客がデザートメニューを片手に、軽く手を挙げてこちらを見ている。
「ほんとだ……じゃ、お願いね」
美羽は類を気にしつつ、急ぎ足で客の元へと向かった。その華奢な背中に向かって類は僅かに口角を上げ、先ほど美羽が注文を受けた大川と水井のテーブルへ優雅に歩いていく。
類が歩き出した途端、彼の存在に気づいた客たちがハッとした表情になり、ひそひそと噂話を始める。その騒めきは次第に大きくなっていた。
まるで、ショーモデルのキャットウォークのように、類は周囲からの視線を一身に浴び、トレイを手に客席へと向かう。
だが、午後からの会議についての打ち合わせをしていた大川と水井はそんな周囲の騒ぎに気づくことなく、大川の熱弁に水井が耳を傾けていた。
「お待たせしました、Aランチのサラダとスープです」
聞き慣れない声に顔を上げた大川と水井が口をあんぐりと開け、類を凝視する。
「き、君は!?」
「うわっ……美羽ちゃん!?」
類は大川にサラダとスープをサーブしながら、笑顔を向けた。
「24日より、こちらで働かせてもらっている美羽の弟の類です。姉に変な虫がつかないよう、義兄から頼まれまして……
これからどうぞ、ご贔屓によろしくお願いします」
「そ、そうか……いやぁ俺は美羽ちゃんが大学生の頃からここに通ってるんだが、弟さんがいるなんて知らなかったよ。アハハ……美羽ちゃんの旦那さんがそんなこと頼んだの? まぁあれほどの美人を奥さんにしたら心配になるのも無理ないがなぁ。お義兄さんの頼みで働くことにしたなんて、優しいねぇ。
それにしても、びっくりするほど君達は似てるなぁ」
「えぇ、双子なんで」
類はにっこりと微笑みつつ、冷静に大川を観察した。
このデブバーコードはスケベオヤジっぽいけど、反応から見て気分を害した様子は見られないし、ミューに対して危害を及ぼす恐れはなさそうだな。それに、常連なら存外に扱えないし。
……問題はこいつより、雰囲気塩顔イケメンのこっちだな。
先ほど水井が美羽に対して顔を赤らめながら水を飲んでいた光景が蘇り、類は歯を噛み締めた。
水井にサラダをサーブしながら腰を捻り、大川の視界を遮る。
「もちろん分かってるかと思いますけど、姉をどうにかしようなんて……くれぐれも、考えないでくださいね?」
美羽とそっくりな顔で妖艶に迫られ、水井はタジタジしながらコクコクと頷いた。
「それでは、どうぞごゆっくり♪」
類は満足そうに微笑むと、くるりと背を向けた。
客たちの好奇の視線が類から美羽、そして美羽から類へと彷徨う。長蛇となっているウェイティング客たちもガラス窓越しに美男美女である双子姉弟たちに視線が釘付けとなっていて、いい暇潰しの話題となっていた。
先ほど類のことを噂していたグループは興奮の渦となり、まるでアイドルのコンサート会場のような悲鳴が上がり、他の客たちがジロリと睨む。特に常連客たちはいつも和やかなこのカフェの雰囲気が乱されていることを快く思っていない。
類が歓声が上がったそちらを見やり、人差し指を唇に持っていき、「シーッ」と静かにするよう合図した。途端、ワッと一瞬だけ声が上がったものの、その後は静かになり、喧騒が一気に収まった。
美羽が追加注文を取り終え、他の客たちの空いたサラダボウルやスープ皿を下げてカウンターへと戻る際、類が少し屈んで美羽の耳元へ唇を寄せた。
「ねぇ、何か手伝うことある?」
「も、もうここは大丈夫だから……隼斗兄さんに、聞いて」
美羽は類に寄せられた耳を手でカバーし、速足で歩き去った。周囲の視線が突き刺さるのを感じ、居た堪れない。
類はそんな美羽に焦燥を感じながら、拳をギュッと握った。
ほんとはさ、『僕以外の男と喋らないでよ。あんな笑顔向けないでよ!』って、言ってやりたかった……
あぁ、イライラする!
ミューは、僕のものなのに。
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