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216.始まった自慰行為
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「おやすみ」
「おやすみなさい」
寝る準備を整えてから電気を消し、それぞれの布団に入る。
同じ部屋で寝るのはLAのホテルに滞在した時以来だ。けれど、あの時より更に義昭に対する警戒心は強くなっていた。
それと悟られないよう義昭に背中を向け、眠っている振りをする。躰が強張り、緊張でじっとりと背中に嫌な汗が伝ってくる。呼吸が乱れそうになり、美羽は意識して深い呼吸を続けた。
「美羽……もう、寝てるのか?」
囁くような義昭の声に、戦慄が駆け抜ける。
ゴソゴソと布団の衣擦れの音が響き、義昭の気配が近づいてくるのを感じてドクドクと心臓が小刻みに鳴り響く。
「美羽……」
布団越しに義昭の手が美羽の背中に触れ、ゾクゾクと悪寒が走った。
やめて……
そう言いたいのに、喉が潰れたかのように恐怖から声が出ない。ゾワゾワと芋虫が背中を這いずり回るような気色悪さがいつまでも張り付いて離れない。
「ッハァ……」
モゾモゾと後ろで動く気配がする。美羽はギュッと目を硬く閉じ、唇を震わせた。
嫌だ……ここから今すぐ、逃げ出したい。
バサッと義昭の布団が捲られる音が静かな室内に響いた。美羽の掛け布団が持ち上がり、ふわっと空気が入り込む。
モゾモゾと義昭の手が潜り込み、美羽の背中へと忍び寄ってくる。
「ック」
美羽は唇をギュッときつく噛んだ。全身に鳥肌が立っているのが分かる。心臓が芯から凍りつきそうだった。
触れられたくない……!!
美羽は寝ぼけたフリをして、布団をギュッと引っ張ると躰に巻きつけた。義昭の手が布団からスルッと抜け出て外気に晒される。
ど、どうしよう……
こんな明からさまな拒絶したら、いくら義昭さんでも私が寝たふりしてるんだって気づくよね。
何か言われるのでは、と怯えていると……
「ッククク……」
美羽の背中に、義昭の忍び笑いが響いてきた。予想だにしなかった反応に美羽は顔を蒼褪めさせ、ビクビクと震えた。
「ッハァ……美羽」
拒否されて機嫌を悪くするどころか、陶酔しているかのような艶めいた義昭の声が美羽の鼓膜を震わせる。
どうして、笑ってるの……?
怖い。
興奮、してるの?
すごく、気持ち悪い……
イヤ、イヤだ。ック……触らないで、近寄らないでっっ!!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、イヤダイヤダイヤダ……
ここから……ウッ、逃げたいっ。
背中から聞こえる義昭の吐息がどんどん荒くなってくる。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
イヤ。
イヤダ……お願い、どうか……
美羽はますます身を固くし、躰に巻きつけた布団が解けないようにギュッときつく掴んだ。
無理。受け入れることなんて、出来ない……
クチュッ……
厭らしい水音が響き、美羽は思わず声をあげそうになった。
嘘、でしょ……
クチュクチュという下品な水音は、どんどん激しさを増していく。美羽はブルッと身を震わせた。
ーー義昭が、美羽の寝ている隣で自慰行為を始めたのだ。
今までにこんなことなどなかったし、義昭の部屋やトイレを掃除した際にも自慰行為の後と思われるような大量のティッシュを発見するようなこともなかった。
だから、美羽は夫は自慰行為をしない人間なのだと思っていた。
ーーしかも、義昭は美羽が寝ているフリを決め込んでいることを知っていて、わざと自慰行為を聞かせているのだ。
そう思うと余計に不快感が増し、気持ち悪かった。
「ッハァ、あぁっ……ハァッ」
水音に混じり、義昭の喘ぎ声が響いてくる。夫は行為の最中、こんなに激しく喘いだことなどない。いつになく性的興奮の高まっている義昭の声に、美羽の性欲が煽られることなどもちろんなく、嫌悪感とおぞましさと恐怖を掻き立てられた。
イヤ……!!
こんなの、聞きたくない!!
美羽は頭からガバッと布団を被り、耳を手で覆った。
「おやすみなさい」
寝る準備を整えてから電気を消し、それぞれの布団に入る。
同じ部屋で寝るのはLAのホテルに滞在した時以来だ。けれど、あの時より更に義昭に対する警戒心は強くなっていた。
それと悟られないよう義昭に背中を向け、眠っている振りをする。躰が強張り、緊張でじっとりと背中に嫌な汗が伝ってくる。呼吸が乱れそうになり、美羽は意識して深い呼吸を続けた。
「美羽……もう、寝てるのか?」
囁くような義昭の声に、戦慄が駆け抜ける。
ゴソゴソと布団の衣擦れの音が響き、義昭の気配が近づいてくるのを感じてドクドクと心臓が小刻みに鳴り響く。
「美羽……」
布団越しに義昭の手が美羽の背中に触れ、ゾクゾクと悪寒が走った。
やめて……
そう言いたいのに、喉が潰れたかのように恐怖から声が出ない。ゾワゾワと芋虫が背中を這いずり回るような気色悪さがいつまでも張り付いて離れない。
「ッハァ……」
モゾモゾと後ろで動く気配がする。美羽はギュッと目を硬く閉じ、唇を震わせた。
嫌だ……ここから今すぐ、逃げ出したい。
バサッと義昭の布団が捲られる音が静かな室内に響いた。美羽の掛け布団が持ち上がり、ふわっと空気が入り込む。
モゾモゾと義昭の手が潜り込み、美羽の背中へと忍び寄ってくる。
「ック」
美羽は唇をギュッときつく噛んだ。全身に鳥肌が立っているのが分かる。心臓が芯から凍りつきそうだった。
触れられたくない……!!
美羽は寝ぼけたフリをして、布団をギュッと引っ張ると躰に巻きつけた。義昭の手が布団からスルッと抜け出て外気に晒される。
ど、どうしよう……
こんな明からさまな拒絶したら、いくら義昭さんでも私が寝たふりしてるんだって気づくよね。
何か言われるのでは、と怯えていると……
「ッククク……」
美羽の背中に、義昭の忍び笑いが響いてきた。予想だにしなかった反応に美羽は顔を蒼褪めさせ、ビクビクと震えた。
「ッハァ……美羽」
拒否されて機嫌を悪くするどころか、陶酔しているかのような艶めいた義昭の声が美羽の鼓膜を震わせる。
どうして、笑ってるの……?
怖い。
興奮、してるの?
すごく、気持ち悪い……
イヤ、イヤだ。ック……触らないで、近寄らないでっっ!!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、イヤダイヤダイヤダ……
ここから……ウッ、逃げたいっ。
背中から聞こえる義昭の吐息がどんどん荒くなってくる。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
イヤ。
イヤダ……お願い、どうか……
美羽はますます身を固くし、躰に巻きつけた布団が解けないようにギュッときつく掴んだ。
無理。受け入れることなんて、出来ない……
クチュッ……
厭らしい水音が響き、美羽は思わず声をあげそうになった。
嘘、でしょ……
クチュクチュという下品な水音は、どんどん激しさを増していく。美羽はブルッと身を震わせた。
ーー義昭が、美羽の寝ている隣で自慰行為を始めたのだ。
今までにこんなことなどなかったし、義昭の部屋やトイレを掃除した際にも自慰行為の後と思われるような大量のティッシュを発見するようなこともなかった。
だから、美羽は夫は自慰行為をしない人間なのだと思っていた。
ーーしかも、義昭は美羽が寝ているフリを決め込んでいることを知っていて、わざと自慰行為を聞かせているのだ。
そう思うと余計に不快感が増し、気持ち悪かった。
「ッハァ、あぁっ……ハァッ」
水音に混じり、義昭の喘ぎ声が響いてくる。夫は行為の最中、こんなに激しく喘いだことなどない。いつになく性的興奮の高まっている義昭の声に、美羽の性欲が煽られることなどもちろんなく、嫌悪感とおぞましさと恐怖を掻き立てられた。
イヤ……!!
こんなの、聞きたくない!!
美羽は頭からガバッと布団を被り、耳を手で覆った。
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