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350.待ち合わせ
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類と義昭を見送り終え、自室でメイクをしているとLINEの緑ランプが点滅した。LINEを開き、メッセージを確認する。
『美羽、準備できた?』
ドレッサーに置かれた時計を確認すると、もうそろそろ家を出なければ電車に間に合わない。口紅の上からグロスを重ねて唇で馴染ませ、ヘアアイロンで巻いた髪が自然に見えるように整える。
ベッドに置いていたハンドバッグを指で引っ掛けるようにして引き寄せ、部屋の扉を締めて鍵を掛け、スマホを打ちながら階段をリズミカルに降りる。
『うん、今から出るとこだよ』
階段を降りてキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けると紙袋を取り出す。ずしりと重いそれを持って、玄関へと進む。
千鳥格子のワンピース姿を玄関の姿見で確認し、クローゼットから仕事に行く時には着ることのない真っ白なフードガウンファーコートを出して羽織った。正面でキュッとリボンを締める。
シューズラックを開け、全体を眺めてからお気に入りのパールピンクにリボンの付いたヒールを手にして玄関に置く。
ふふっ、可愛い。
今日はいつもより、お洒落を意識したコーディネートだ。
メイクもアクセサリーも気合いが入っていると、気持ちが高揚する。これから始まる特別な時間に、期待が高まっていく。
扉の鍵を閉めていると、またLINEが入ってきた。
『じゃ、駅でね! 萌が変な格好で来ないといいけど。恥ずかしい思いしたくないわー』
香織のメッセージに思わずクスッと笑いながら、少し気持ちが軽くなった。この頃は類と親密になっていく香織に対して嫉妬や薄暗い思いを抱いてしまっていたが、やっぱり大切な親友だと思い直すことができた。
思えば3人で出かけるなんて、いつ以来だろう。
心が弾んでくるのを感じながら、美羽は家を後にした。
待ち合わせの駅には既に萌が来ていて、真冬にも関わらずレースのついたデコラティブな超ミニスカートで全身ピンクのスイートロリータファッションに身を包んでいた。しかもブロンドの巻き髪のウィッグの上にはレース満載のヘッドドレスをしている。
道ゆく人の視線が萌に集中しているのを感じる。中には、振り返ってまでジロジロと見てくる人もいた。
そんな視線など物ともせず、萌は美羽に思いっきり抱きついた。
「美羽たーん、今日は一段と可愛いたん、キュンキュン❤️」
「萌たんこそ、可愛いよ」
そう答えながらも、香織の反応が少し心配になった。
案の定、遅れて現れた香織は萌を見た途端、
「あぁ、もう……」
と、がっくり項垂れた。
「あんた、今日は普通の格好で来なさいよって散々言ったのに、なによこれ!!」
「プーッ、これが萌たんの通常モードたーん!」
それから香織は、美羽に向き直った。
「あんたもよ、美羽!」
「ぇ、私……?」
「可愛い格好だし、髪綺麗に巻けてるけど、今日どこに行くか分かってんの!?」
そういう香織はすっきりとしたライトグレーのカットソーの上に肌馴染みの良さそうな臙脂のライダージャケットを羽織り、下はスキニージーンズを履いていた。
そっか。今日はこんな格好してきちゃいけなかったんだ……
久しぶりのお出かけで舞い上がり、おしゃれをして出かけることしか考えていなかった。
「ご、ごめんなさい……」
「向こう行ったら、気をつけなね」
香織の声に自分への気遣いを感じ、美羽はホッとしながら頷いた。
香織は美羽に笑顔を見せて隣に立つと、萌に睨みをきかせた。
「私、美羽の隣を歩くから、ぜーーっったいに視界に入らないでね」
「あーん、かおたんが虐めるたーん! つらみー!!
いいもん、美羽たんは萌たんの味方たーん♪」
「ちょっとぉ、美羽と腕組まないでよ! 変な趣味が移るでしょ!!」
「ぁっと……ふたりとも、そろそろ行かない?」
美羽を間にして言い合う香織と萌に挟まれながら、歩き出す。
途中、手土産を購入するため、ケーキ屋へ寄る。3人ともカフェで働いてるだけあって全員スイーツ好きで、たくさんの魅力的なケーキや焼き菓子を眺めてあれこれ話してるうちに、すっかり和やかムードになっていた。
あれこれ悩みながらも日持ちする方がいいだろうという美羽の提案にふたりが同意してマドレーヌを購入し、再び目的地へと向かう。
「はぅー、楽しみたん!」
「早く会いたいよね」
「うんっ」
3人の足が、一軒の家の前で止まる。
『美羽、準備できた?』
ドレッサーに置かれた時計を確認すると、もうそろそろ家を出なければ電車に間に合わない。口紅の上からグロスを重ねて唇で馴染ませ、ヘアアイロンで巻いた髪が自然に見えるように整える。
ベッドに置いていたハンドバッグを指で引っ掛けるようにして引き寄せ、部屋の扉を締めて鍵を掛け、スマホを打ちながら階段をリズミカルに降りる。
『うん、今から出るとこだよ』
階段を降りてキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けると紙袋を取り出す。ずしりと重いそれを持って、玄関へと進む。
千鳥格子のワンピース姿を玄関の姿見で確認し、クローゼットから仕事に行く時には着ることのない真っ白なフードガウンファーコートを出して羽織った。正面でキュッとリボンを締める。
シューズラックを開け、全体を眺めてからお気に入りのパールピンクにリボンの付いたヒールを手にして玄関に置く。
ふふっ、可愛い。
今日はいつもより、お洒落を意識したコーディネートだ。
メイクもアクセサリーも気合いが入っていると、気持ちが高揚する。これから始まる特別な時間に、期待が高まっていく。
扉の鍵を閉めていると、またLINEが入ってきた。
『じゃ、駅でね! 萌が変な格好で来ないといいけど。恥ずかしい思いしたくないわー』
香織のメッセージに思わずクスッと笑いながら、少し気持ちが軽くなった。この頃は類と親密になっていく香織に対して嫉妬や薄暗い思いを抱いてしまっていたが、やっぱり大切な親友だと思い直すことができた。
思えば3人で出かけるなんて、いつ以来だろう。
心が弾んでくるのを感じながら、美羽は家を後にした。
待ち合わせの駅には既に萌が来ていて、真冬にも関わらずレースのついたデコラティブな超ミニスカートで全身ピンクのスイートロリータファッションに身を包んでいた。しかもブロンドの巻き髪のウィッグの上にはレース満載のヘッドドレスをしている。
道ゆく人の視線が萌に集中しているのを感じる。中には、振り返ってまでジロジロと見てくる人もいた。
そんな視線など物ともせず、萌は美羽に思いっきり抱きついた。
「美羽たーん、今日は一段と可愛いたん、キュンキュン❤️」
「萌たんこそ、可愛いよ」
そう答えながらも、香織の反応が少し心配になった。
案の定、遅れて現れた香織は萌を見た途端、
「あぁ、もう……」
と、がっくり項垂れた。
「あんた、今日は普通の格好で来なさいよって散々言ったのに、なによこれ!!」
「プーッ、これが萌たんの通常モードたーん!」
それから香織は、美羽に向き直った。
「あんたもよ、美羽!」
「ぇ、私……?」
「可愛い格好だし、髪綺麗に巻けてるけど、今日どこに行くか分かってんの!?」
そういう香織はすっきりとしたライトグレーのカットソーの上に肌馴染みの良さそうな臙脂のライダージャケットを羽織り、下はスキニージーンズを履いていた。
そっか。今日はこんな格好してきちゃいけなかったんだ……
久しぶりのお出かけで舞い上がり、おしゃれをして出かけることしか考えていなかった。
「ご、ごめんなさい……」
「向こう行ったら、気をつけなね」
香織の声に自分への気遣いを感じ、美羽はホッとしながら頷いた。
香織は美羽に笑顔を見せて隣に立つと、萌に睨みをきかせた。
「私、美羽の隣を歩くから、ぜーーっったいに視界に入らないでね」
「あーん、かおたんが虐めるたーん! つらみー!!
いいもん、美羽たんは萌たんの味方たーん♪」
「ちょっとぉ、美羽と腕組まないでよ! 変な趣味が移るでしょ!!」
「ぁっと……ふたりとも、そろそろ行かない?」
美羽を間にして言い合う香織と萌に挟まれながら、歩き出す。
途中、手土産を購入するため、ケーキ屋へ寄る。3人ともカフェで働いてるだけあって全員スイーツ好きで、たくさんの魅力的なケーキや焼き菓子を眺めてあれこれ話してるうちに、すっかり和やかムードになっていた。
あれこれ悩みながらも日持ちする方がいいだろうという美羽の提案にふたりが同意してマドレーヌを購入し、再び目的地へと向かう。
「はぅー、楽しみたん!」
「早く会いたいよね」
「うんっ」
3人の足が、一軒の家の前で止まる。
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