364 / 498
358.密会
しおりを挟む
けれど、香織の考えは違ったようだ。
「でもさ、『友達のままでいい』だなんて、結局嘘でしかないじゃない。自分の気持ちに嘘をついたまま、好きな人の近くでずっと過ごすだけ、見てるだけなんて、辛くない?
もし浩平に彼女ができても、萌は『私は友達でいい』って心からそう言える? 思えるの?」
萌は眉にグッと力を込めた。
「こうたんから、彼女の話なんて……聞きたく、ない。もう、笑って聞いてあげられない」
これまでのふたりと言えば、大っぴらに彼氏彼女の話をしていた。浩平の歴代の元カノについてもデタントで働くようになってから全て知っているし、会ったことだってある。
けれど、浩平への恋心を自覚した今となっては、萌はどうやって浩平の彼女の話を聞けばいいのか分からなくなっていた。
「ほら、無理なんじゃん!」
「か、かおりん……」
責め立てるような強い口調の香織に、美羽が萌を庇うように呼びかけた。
いや、萌を守ろうとしただけではない。自分のことも香織に責め立てられているような気持ちになり、耐えられなかったのだ。
悲しそうな顔を浮かべる美羽にハッとし、香織は気まずそうに萌に謝った。
「ご、ごめん……言いすぎた」
すると、突然芳子が立ち上がった。
「ごっめーん、私、お茶も入れてなかったわよね! コーヒー、緑茶、紅茶、ハーブティー、何がいい?」
「じゃあ、コーヒーで」
美羽は微笑んで答えた。芳子の気遣いがありがたかった。
コーヒーを配りながら、芳子が萌に話しかける。
「ほら、もうすぐバレンタインじゃない? その時に、さりげなく浩平くんにチョコレート渡してみたらどう?
いきなり告白は無理でもさ、好意があるってところを少しずつ見せていく作戦で」
「こうたんには毎年、チョコあげてるたん」
「でもそれって、隼斗さんにも同じものあげてたでしょ? 今年はそれに、特別感を演出するのよ!」
香織も、芳子の案に乗っかってきた。
「浩平の気に入りそうなプレゼントでも一緒に渡したら、どう?」
「ギャッ!! で、できないぃぃぃ」
「なんかの理由にかこつけるとか。あ、そうだ! 最近車で帰り送ってもらってるから、そのお礼ってことでいいじゃない」
香織の提案に対抗するように、萌が声を荒げた。
「それなら、かおりんも類たんにバレンタイン渡すの!?」
萌に逆に尋ねられ、香織はヒュッと喉を鳴らした。
「そ、そうだね……私も色々とお世話になってるし、そうしようかな……」
答えながら、香織が美羽の方をチラッと見てくる。そんな彼女の態度に、萌が更に切り込んできた。
「かおたんこそ、類たんのことどう思ってるの!?
好きなんじゃないの?」
「なっ……なんでっ、そぉなるのよ!! そりゃ、類くんは美羽に似て美形で優しくて、気遣いもできるし、女の子の扱いも慣れてる、けどっっ」
そう言いながら、またチラチラと美羽を見つめてくる。その視線が、堪らなく不愉快に感じてしまう。
「だってぇ、最近かおたんと類たんって超仲良したん!! 萌たん、気付いてるんだよっ。類たんのかおたんの呼び方が『香織さん』だったのが『かおりん』になったの!
それに……萌たん、偶然見ちゃったんたん。スキーに行った時、ふたりだけで会って、こそこそと何か話してた。
怪しいたーん!!」
ぇ。そう、なの……?
美羽は、思わず香織を凝視した。
ふたりきりで会っていたなんて……なぜ、そんな必要があったのだろう。どんな話をしていたのだろう。
「そ、それはっっ!! ほらっ、美羽にも話してたでしょ。あの頃、嫌がらせされてたから、それを類くんに相談してただけだってば!!」
必死に弁解する香織に、美羽の疑惑が深まっていく。
だって……あの時かおりんは、『夜、みんなで集まって喋ってた時に、嫌がらせを受けてる話したんだ』って言ってた。ふたりで会って相談してたなんて、ひとことも言ってなかった。
疾しいことがないなら、ふたりで会ってたことを隠す必要なんてないはずなのに。
「でもさ、『友達のままでいい』だなんて、結局嘘でしかないじゃない。自分の気持ちに嘘をついたまま、好きな人の近くでずっと過ごすだけ、見てるだけなんて、辛くない?
もし浩平に彼女ができても、萌は『私は友達でいい』って心からそう言える? 思えるの?」
萌は眉にグッと力を込めた。
「こうたんから、彼女の話なんて……聞きたく、ない。もう、笑って聞いてあげられない」
これまでのふたりと言えば、大っぴらに彼氏彼女の話をしていた。浩平の歴代の元カノについてもデタントで働くようになってから全て知っているし、会ったことだってある。
けれど、浩平への恋心を自覚した今となっては、萌はどうやって浩平の彼女の話を聞けばいいのか分からなくなっていた。
「ほら、無理なんじゃん!」
「か、かおりん……」
責め立てるような強い口調の香織に、美羽が萌を庇うように呼びかけた。
いや、萌を守ろうとしただけではない。自分のことも香織に責め立てられているような気持ちになり、耐えられなかったのだ。
悲しそうな顔を浮かべる美羽にハッとし、香織は気まずそうに萌に謝った。
「ご、ごめん……言いすぎた」
すると、突然芳子が立ち上がった。
「ごっめーん、私、お茶も入れてなかったわよね! コーヒー、緑茶、紅茶、ハーブティー、何がいい?」
「じゃあ、コーヒーで」
美羽は微笑んで答えた。芳子の気遣いがありがたかった。
コーヒーを配りながら、芳子が萌に話しかける。
「ほら、もうすぐバレンタインじゃない? その時に、さりげなく浩平くんにチョコレート渡してみたらどう?
いきなり告白は無理でもさ、好意があるってところを少しずつ見せていく作戦で」
「こうたんには毎年、チョコあげてるたん」
「でもそれって、隼斗さんにも同じものあげてたでしょ? 今年はそれに、特別感を演出するのよ!」
香織も、芳子の案に乗っかってきた。
「浩平の気に入りそうなプレゼントでも一緒に渡したら、どう?」
「ギャッ!! で、できないぃぃぃ」
「なんかの理由にかこつけるとか。あ、そうだ! 最近車で帰り送ってもらってるから、そのお礼ってことでいいじゃない」
香織の提案に対抗するように、萌が声を荒げた。
「それなら、かおりんも類たんにバレンタイン渡すの!?」
萌に逆に尋ねられ、香織はヒュッと喉を鳴らした。
「そ、そうだね……私も色々とお世話になってるし、そうしようかな……」
答えながら、香織が美羽の方をチラッと見てくる。そんな彼女の態度に、萌が更に切り込んできた。
「かおたんこそ、類たんのことどう思ってるの!?
好きなんじゃないの?」
「なっ……なんでっ、そぉなるのよ!! そりゃ、類くんは美羽に似て美形で優しくて、気遣いもできるし、女の子の扱いも慣れてる、けどっっ」
そう言いながら、またチラチラと美羽を見つめてくる。その視線が、堪らなく不愉快に感じてしまう。
「だってぇ、最近かおたんと類たんって超仲良したん!! 萌たん、気付いてるんだよっ。類たんのかおたんの呼び方が『香織さん』だったのが『かおりん』になったの!
それに……萌たん、偶然見ちゃったんたん。スキーに行った時、ふたりだけで会って、こそこそと何か話してた。
怪しいたーん!!」
ぇ。そう、なの……?
美羽は、思わず香織を凝視した。
ふたりきりで会っていたなんて……なぜ、そんな必要があったのだろう。どんな話をしていたのだろう。
「そ、それはっっ!! ほらっ、美羽にも話してたでしょ。あの頃、嫌がらせされてたから、それを類くんに相談してただけだってば!!」
必死に弁解する香織に、美羽の疑惑が深まっていく。
だって……あの時かおりんは、『夜、みんなで集まって喋ってた時に、嫌がらせを受けてる話したんだ』って言ってた。ふたりで会って相談してたなんて、ひとことも言ってなかった。
疾しいことがないなら、ふたりで会ってたことを隠す必要なんてないはずなのに。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる