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395.狂いそうな嫉妬
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向こうから人が通るのが見え、慌てて俯き、なんとかやり過ごす。
「ッッ……」
美羽は急いで、目を擦った。
近所の人に見られたら、変な噂になっちゃう。
前にも、こんなことがあったっけ……
あれは、クリスマス・イブだった。類ともう少しで結ばれるというところで母のトラウマに支配され、類を拒絶して突き飛ばし、逃げ出したのだった。
いくあてなどない……そんな気持ちになった美羽の心に浮かんだのが、香織だった。
着の身着のままで訪ねてきた美羽を、当時恋人であった藤岡が来訪中であったにもかかわらず、香織は優しく受け入れてくれた。事情を話さない美羽を問いただすことなく、何も言わずに泊めてくれた。
どれだけ香織の存在が嬉しく、心強かったか言い知れない。
そんな香織に、今……頼れるはずない。美羽が逃げ出したのは、彼女からなのだから。
もう自分には、誰も頼るべき人などいない……そう考えて頭に浮かんだのは、隼斗の顔だった。
何、考えてるの。隼斗兄さんは、城田さんの……教団のことで手一杯なのに。これ以上、迷惑かけられるはずない。
それに私が隼斗兄さんに頼れば、類からの報復が何倍にもなって返ってきてしまう。
けれど、一度湧き上がった感情は、抑えこもうとしても、暴走する。蛇口を固く締め付ければ締め付けるほどに、圧迫された涙は暴発して噴き出しそうで、止められそうにない。
ぁ、ここ。
すぐ近くにあったコンビニに駆け込み、早足でお手洗いを目指す。扉を閉めた途端、涙が再び止めどなく溢れ出した。
「ウッ。ウゥッ……ウッ、ウッ」
類!! どうして、あんな酷い……
かおりんは、私の親友なのに。その親友と付き合うだなんて。
私に嫉妬してほしくて、自分のものにしたくてそうしてるのだとしても、苦しいよ……
こんなこと、やめて!!
「ウッ、ゴホッ、ゴホッ……ウゥゥ……ヒクッ、ヒッ」
泣き過ぎて咳が出て、躰が冷え、痙攣する。胃が捻れたみたいになって、胸がムカムカして吐き気がするのに、吐けない。
全て……心の中にあるもの全て吐き出して、楽になれたらいいのに。
トントンと外側から扉をノックされ、美羽は我に返った。
肩で大きく息をし、涙を拭き、手を洗う。
扉を開けると、そこに立っていた中年女性からの好奇を孕んだ視線を感じた。美羽の泣き声が聞こえていたらしい。
居心地が悪くなってスーパーに向かおうとしたものの、財布を持っていないことに気づく。幸い、スマホは持っていたので、コンビニで買い物をしてから帰ることにし、レジカゴを手に取った。
今頃、類とかおりんはどうしてるんだろう。
部屋でふたりきり……なんだよね。でも、付き合うっていっても類はまだかおりんを好きになったわけじゃないって言ってたし、いきなり関係が進むことは……ないよね?
でも子供じゃないんだから、いつまでもプラトニックな関係でいるはずもない。
類、かおりんにキス……するのかな。それ、以上のことも。
考えたくないのに、どうしても考えてしまう。
藤岡との恋にけじめをつけ、類と新たな恋を始めようとしている香織。もし相手が類でなければ、美羽は心からお祝いし、自分のことのように喜んだだろう。
どうして、類なの。なぜ、類じゃなきゃいけないの……
類は、かおりんを利用しているだけなのに。
かおりん、どうか気がついて。
あなたの運命の相手は、他にいるはず……
美羽の手に握られたスナック菓子が、袋の中でバリバリと音を立てて崩れた。
家に帰ってくると、玄関に置かれていた靴が二人分なくなっていた。自分ひとりだけだと気付いて安堵したものの、いないならいないで気になって仕方ない。
買ってきた食材を冷蔵庫に入れながらも、夕飯の準備をしていても、常に頭を占めているのは類と香織のことだった。
かおりんを家まで送ってるのかな。
もしかして、類……かおりんのところに泊まるなんてこと、ないよね!?
そう考えた途端、不安で堪らなくなる。
お願い……類、早く帰ってきて!!
その時、玄関の扉が開く音が聞こえてきた。
「ッッ……」
美羽は急いで、目を擦った。
近所の人に見られたら、変な噂になっちゃう。
前にも、こんなことがあったっけ……
あれは、クリスマス・イブだった。類ともう少しで結ばれるというところで母のトラウマに支配され、類を拒絶して突き飛ばし、逃げ出したのだった。
いくあてなどない……そんな気持ちになった美羽の心に浮かんだのが、香織だった。
着の身着のままで訪ねてきた美羽を、当時恋人であった藤岡が来訪中であったにもかかわらず、香織は優しく受け入れてくれた。事情を話さない美羽を問いただすことなく、何も言わずに泊めてくれた。
どれだけ香織の存在が嬉しく、心強かったか言い知れない。
そんな香織に、今……頼れるはずない。美羽が逃げ出したのは、彼女からなのだから。
もう自分には、誰も頼るべき人などいない……そう考えて頭に浮かんだのは、隼斗の顔だった。
何、考えてるの。隼斗兄さんは、城田さんの……教団のことで手一杯なのに。これ以上、迷惑かけられるはずない。
それに私が隼斗兄さんに頼れば、類からの報復が何倍にもなって返ってきてしまう。
けれど、一度湧き上がった感情は、抑えこもうとしても、暴走する。蛇口を固く締め付ければ締め付けるほどに、圧迫された涙は暴発して噴き出しそうで、止められそうにない。
ぁ、ここ。
すぐ近くにあったコンビニに駆け込み、早足でお手洗いを目指す。扉を閉めた途端、涙が再び止めどなく溢れ出した。
「ウッ。ウゥッ……ウッ、ウッ」
類!! どうして、あんな酷い……
かおりんは、私の親友なのに。その親友と付き合うだなんて。
私に嫉妬してほしくて、自分のものにしたくてそうしてるのだとしても、苦しいよ……
こんなこと、やめて!!
「ウッ、ゴホッ、ゴホッ……ウゥゥ……ヒクッ、ヒッ」
泣き過ぎて咳が出て、躰が冷え、痙攣する。胃が捻れたみたいになって、胸がムカムカして吐き気がするのに、吐けない。
全て……心の中にあるもの全て吐き出して、楽になれたらいいのに。
トントンと外側から扉をノックされ、美羽は我に返った。
肩で大きく息をし、涙を拭き、手を洗う。
扉を開けると、そこに立っていた中年女性からの好奇を孕んだ視線を感じた。美羽の泣き声が聞こえていたらしい。
居心地が悪くなってスーパーに向かおうとしたものの、財布を持っていないことに気づく。幸い、スマホは持っていたので、コンビニで買い物をしてから帰ることにし、レジカゴを手に取った。
今頃、類とかおりんはどうしてるんだろう。
部屋でふたりきり……なんだよね。でも、付き合うっていっても類はまだかおりんを好きになったわけじゃないって言ってたし、いきなり関係が進むことは……ないよね?
でも子供じゃないんだから、いつまでもプラトニックな関係でいるはずもない。
類、かおりんにキス……するのかな。それ、以上のことも。
考えたくないのに、どうしても考えてしまう。
藤岡との恋にけじめをつけ、類と新たな恋を始めようとしている香織。もし相手が類でなければ、美羽は心からお祝いし、自分のことのように喜んだだろう。
どうして、類なの。なぜ、類じゃなきゃいけないの……
類は、かおりんを利用しているだけなのに。
かおりん、どうか気がついて。
あなたの運命の相手は、他にいるはず……
美羽の手に握られたスナック菓子が、袋の中でバリバリと音を立てて崩れた。
家に帰ってくると、玄関に置かれていた靴が二人分なくなっていた。自分ひとりだけだと気付いて安堵したものの、いないならいないで気になって仕方ない。
買ってきた食材を冷蔵庫に入れながらも、夕飯の準備をしていても、常に頭を占めているのは類と香織のことだった。
かおりんを家まで送ってるのかな。
もしかして、類……かおりんのところに泊まるなんてこと、ないよね!?
そう考えた途端、不安で堪らなくなる。
お願い……類、早く帰ってきて!!
その時、玄関の扉が開く音が聞こえてきた。
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