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416.迫る声
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嫌悪と気色悪さで全身が震え、類への怒りがフツフツと湧いてくる。
「ッッ、ゃ……ぁ! ッッグ!!」
抵抗しようと顔を逸らそうとしても、躰を揺らそうとしても、逃れられない。きつく結んだ唇の隙間から強引に舌が入り込む。歯をしっかりと合わせて侵入を拒むと、両手で掴まれていた手首が片手で纏められ、解放した手で脇腹を突かれた。
「ッあァ!!」
口を開けた途端、するりと口内に舌が忍び込んできた。
「ッグ」
「ッッ、痛っ!!」
類の唇が素早く離れる。離れた唇の端から、ツーッと真っ赤な鮮血が滴った。
「酷いなぁ、ミュー」
「こんなことするなんてっ、最低!!
もう私のことなんてほっといて!! ひとりにしてっっ!!」
類は空いている手の甲で唇を拭うと、美羽の頬に、血に染まったそれを撫で付けた。血が乾いた頬から、鉄の臭いが漂ってくる。
「ほんっと、懐かない猫……」
「いい加減にして!! 私は、類のペットでも玩具でも……」
「シッ……黙って!」
反論しかけた美羽の口を、類が左手で押さえる。あまりにも真剣な迫力ある類の声音に美羽が思わず押し黙ると、階段を上ってくる音が小さく聞こえてきた。
かお、りん……
一気に、躰中の熱が引いていく。
もし、この状況を見られてしまったら、香織はなんと思うだろうか。
先ほどまで自分と躰を重ねていた恋人が、実の姉の上に馬乗りになって迫ってるなんて……どう考えても、普通じゃない。
「フフッ、どうする?
香織に助けを求める?」
類が美羽の口を塞いでいた手を退け、艶麗に囁く。
階段を上ってくる足音が、一歩、また一歩と確実に近づいてくる。耳が心臓になってしまったのかと思うぐらい、鼓動が煩く鳴り響いている。
答えずにいる美羽に、類が更に追い討ちをかけてくる。
「このまま黙ってたら……また、あんな風に、感じさせられることになるよ?」
『あんな風』と言われ、先ほどの感触が蘇ってきて、美羽はブルリと躰を震わせた。
「ッッ……」
やめ、やめて……も、う。あんな……あんな、こと。
二度と、感じたく……ない。
ふたりが躰を重ねるたびに、あの地獄のような体験をしなければならないのだと思うだけで、胸が引き裂かれるような痛みに襲われる。
「だったら」
類が、美羽の手首をきつく押さえつける。彼の強い眼差しに、縛りつけられる。
「僕を、選んでよ」
「そ、れは……」
それはつまり、香織を裏切るということだ。類と恋人となり、幸福に浸っている香織を漆黒の闇のどん底へと突き落とすことになる。
親友でも、友人でも、職場の同僚でさえも、いられなくなる。
足音が部屋の前で止まり、美羽は息を呑んだ。
扉が遠慮がちにノックされ、続いて小さな声で香織が呼びかけてきた。
「美、羽? 類くんって……そこにいる?」
「ッッ、ゃ……ぁ! ッッグ!!」
抵抗しようと顔を逸らそうとしても、躰を揺らそうとしても、逃れられない。きつく結んだ唇の隙間から強引に舌が入り込む。歯をしっかりと合わせて侵入を拒むと、両手で掴まれていた手首が片手で纏められ、解放した手で脇腹を突かれた。
「ッあァ!!」
口を開けた途端、するりと口内に舌が忍び込んできた。
「ッグ」
「ッッ、痛っ!!」
類の唇が素早く離れる。離れた唇の端から、ツーッと真っ赤な鮮血が滴った。
「酷いなぁ、ミュー」
「こんなことするなんてっ、最低!!
もう私のことなんてほっといて!! ひとりにしてっっ!!」
類は空いている手の甲で唇を拭うと、美羽の頬に、血に染まったそれを撫で付けた。血が乾いた頬から、鉄の臭いが漂ってくる。
「ほんっと、懐かない猫……」
「いい加減にして!! 私は、類のペットでも玩具でも……」
「シッ……黙って!」
反論しかけた美羽の口を、類が左手で押さえる。あまりにも真剣な迫力ある類の声音に美羽が思わず押し黙ると、階段を上ってくる音が小さく聞こえてきた。
かお、りん……
一気に、躰中の熱が引いていく。
もし、この状況を見られてしまったら、香織はなんと思うだろうか。
先ほどまで自分と躰を重ねていた恋人が、実の姉の上に馬乗りになって迫ってるなんて……どう考えても、普通じゃない。
「フフッ、どうする?
香織に助けを求める?」
類が美羽の口を塞いでいた手を退け、艶麗に囁く。
階段を上ってくる足音が、一歩、また一歩と確実に近づいてくる。耳が心臓になってしまったのかと思うぐらい、鼓動が煩く鳴り響いている。
答えずにいる美羽に、類が更に追い討ちをかけてくる。
「このまま黙ってたら……また、あんな風に、感じさせられることになるよ?」
『あんな風』と言われ、先ほどの感触が蘇ってきて、美羽はブルリと躰を震わせた。
「ッッ……」
やめ、やめて……も、う。あんな……あんな、こと。
二度と、感じたく……ない。
ふたりが躰を重ねるたびに、あの地獄のような体験をしなければならないのだと思うだけで、胸が引き裂かれるような痛みに襲われる。
「だったら」
類が、美羽の手首をきつく押さえつける。彼の強い眼差しに、縛りつけられる。
「僕を、選んでよ」
「そ、れは……」
それはつまり、香織を裏切るということだ。類と恋人となり、幸福に浸っている香織を漆黒の闇のどん底へと突き落とすことになる。
親友でも、友人でも、職場の同僚でさえも、いられなくなる。
足音が部屋の前で止まり、美羽は息を呑んだ。
扉が遠慮がちにノックされ、続いて小さな声で香織が呼びかけてきた。
「美、羽? 類くんって……そこにいる?」
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