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419.選んでしまった背徳の道

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 類の声が響くと同時に腰が掴まれ、下半身へと撫で下りてくる。花芽に電気が走り、弾かれたようにビクッと震える。

 意地悪な類の声が、響いた。

「フフッ……嫌って拒否してるのに、濡れてんだ?」
「ッッ類、くんっ!」

 扉越しで行われている類と香織の行為と、自分に与えられる類からの声と感触に、心が追いつかない。脳が錯乱を起こし、呼吸が上がってくる。

「ッグゥ……ウッ、ウゥッ……」

 くる、苦しいよ……類。も……やめ、て……ッッ……お、願……
 かおりんと、交わらないでっっ!!

『僕を、選ぶ?』

 類は引かない。

 彼の指の感触が美羽の熱い蜜穴に侵入し、掻き混ぜる。電気マッサージ器からの刺激と相まってグチュグチュと愛蜜が溢れ出し、密奥がキュウキュウと締まっていく。

「ァ……ハァ……ッッ……ック!!」

 呼吸が乱れ、唇が閉じられない。漏れる吐息が、熱を帯びている。全身が震え、快楽に堕とされていく。もう、これ以上の拷問に、耐えられない。



 類! 類を、選ぶから!!
 お願いっ、これ以上はもう……やめ、て……ッッ



 美羽の言葉を合図に、愛撫が止んだ。

「ごめん。悪戯が過ぎたね」

 それは、香織への言葉なのか、それとも美羽へなのか分からない。

「シャワー、浴びてきなよ。これから、送る」
「でもっ……美羽を、起こしちゃうかも」
「大丈夫。ぐっすり寝てるから」
「う、ん……分かった」

 やがて、遠くからシャワーの水音が響いてきた。

 それからすぐ、部屋の扉が静かに開き、類が入ってきた。
 
「ミュ……」
「ッグこんな卑怯な手、使うなんて……」

 美羽は、恨みと憎しみを込めて類を睨んだ。

 そんな美羽の言動に、類の心が揺さぶられ、傷つくことなどない。見惚れそうになるほど美しい笑みを浮かべ、手錠に繋がれた美羽の横たわるベッドに座ると、優しく頭を撫でた。

「フフッ。卑怯でも、約束は約束だよ?
 ミューは香織よりも、僕を選んだ」

 かお、りん……

 美羽の心臓が、バクンと跳ねる。罪悪感に背筋が凍りつく。

 私は……類を、選んだ。
 違う。違うっ! あれは、選ばされただけ!
 選択肢なんて、他になかった……

「分かってる。分かってるから、ミュー。
 何も言わないで。
 否定しないで、受け止めて」

 類が瞳を見つめながら、美羽の濡羽色の髪を指で掬い上げ、恭しく口づけを落とす。美羽は、全身を強張らせた。

 かおりんに触れたその手で、触らないでっっ!

 拘束されて、蜜穴に玩具を埋められて、親友との情交を聞かされて、感じさせられて……それで自分を選べだなんて、狡い選択を迫られて。

 憎悪と嫉妬と嫌悪で脳髄がキリキリと軋み、胸が食い破られそうに熱くて痛い。夜の闇よりも更に深い、黒く汚れた感情が血液に侵食し、ドロドロと全身を巡っている。

 酷いことを、されている。類の行為は、狂ってる。正気の沙汰じゃない。

 そう、分かっている。分かっているのに……愛おしさの籠もった瞳の熱に溶かされてしまいそうになる。一本一本に神経が通っているかのように、類の口づけで髪の毛から毛穴までが震え、快感に蕩かされてしまう。

 胸が熱くなり、躰が、心が類を求めて止まない。絆を、断つことができない。



 類を、憎み切れたら、もっと楽になれるのに……


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