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421.間違えてしまった選択
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遠くで玄関が開き、閉まる音が耳を揺らす。
車のエンジン音が響き、緩やかにスピードを上げ、去っていく。
美羽はヘッドボードに繋がれた手錠を引っ張った。手首に痛みが走るだけで、抜ける気配はない。
ここから逃げ出すことも出来ず、ただ、類が帰ってくるのを待つだけ……
「ッッ……ハァッ」
躰の奥に埋め込まれた異物が、ブブブブ……と低い振動音を立てている。決定的な刺激を与えられず、やわやわと上げられていく熱に、生殺しにされている。絶頂への欲望がジリジリと迫り上がってくる。
香織を家まで送って帰ってくるなら、往復1時間……急いで帰ってきたとしても、長い時間快楽への渇望に苛まれることになる。
溜息がついて出る。
美羽を傷つける残酷なやり方を選択してまで、美羽を手に入れようとした類。
こんなの愛じゃないと叫んだ美羽に、
『そんなの、もう関係ないんだ』
そう答えた類が……悲しかった。
私たちは、どこで間違えてしまったの……双子として生まれてしまったこと自体が、間違いだったの?
どうせなら、ひとつの躰で生まれてこられれば良かった。
天井の蛍光灯を見上げる。やはりここからでは、監視カメラは見えない。
類が私を脅し、怖がらせて、逃げないようにさせるための虚言……だったりして。
そう考えてみようとしたけれど、違う。類は確実に、美羽を見つめ、行動を監視していた。
類は、いつから私を監視していたの?
美羽が電気マッサージ器を捨てたのは、類がここに来てからすぐ。だから……約4ヶ月もの間、監視されていたことになる。
そう考えて、ゾクゾクと悪寒が走った。
じゃ、あ……私たちが『意識』で繋がって躰を重ねていた時、官能に震える私を類は、スクリーンを通して見ていたんだ。
義昭さんが夜の誘いに扉をノックし、私がそれを無視してベッドに潜り込んで耐えていることも知ってた。
そし、て……類がかおりんとデートに出かけ、私が焦燥と不安に駆られている姿を見て、喜んでいたんだ。
そうして私の全てを掌握し、罠の糸を張り巡らせ、雁字搦めにした。
もう私は、類から逃げ出せない。
狂気を帯びてしまった類の、美羽への愛情。
けれどこれは、自分が招いた結果でもある。類を受け止めることも、拒絶することもできなかった報い。
でも、香織にはなんの罪もない。
ただ、類を好きになっただけ。好きな人からの告白を受け、距離を縮め、愛情を深め、身を委ねただけ……
そう何度も自分に言い聞かせても、胸の奥底に掬う激しい嫉妬が顔を出す。
類の滑らかな肌を、情欲的な熱を、触れるだけで全身が性感帯になってしまうような感触を香織が感じたのだと考えるだけで胸が激しく痛み、憎悪が湧き上がってきてしまう。独占欲が、香織に牙を立てようとする。
かおりんを大切にしたい。裏切りたくない……!
鬩ぎ合い、ぶつかり合う、相容れない感情。
類が香織に接近した時点で、止めるべきだった。遠ざけるべきだった。
もう香織とは……以前の関係には、戻れない。
心から信頼し、大好きだった、親友の関係には。
「ウッ。ウゥッ……ッグ、ウヴッ」
嗚咽を漏らし、躰を震わせる。
かおりん、ごめ……ごめんなさい。
類が戻ってきたら……解放される、だけで終わるはずがない。拒絶したとしても、力で捻じ伏せられてしまう。
そして、それを期待している自分が胸奥に潜んでいる。
手を拱いて、彼の帰りを待っている……胸奥の、自分が。
上げさせられている腕が、痺れてくる。手錠を外そうとして擦り剥いた手首が、ヒリヒリと痛む。
蜜奥が振動を立て、襞が揺さぶられる。
「ッッ……ハァッ」
違、う……そこじゃ、ない。この角度じゃ、だめ。
私が欲しいのは、もっと……
自分の部屋なのに、そう感じられない。異空間に迷い込んでしまった錯覚に陥る。この世界に閉じ込められたように感じて、目眩を覚えた。
躰の熱は上がっているのに、吐く吐息は官能を帯びているのに、蜜奥で畝る刺激に中がドクン、ドクンと脈を打つのに、異物の隙間から愛蜜が溢れ出しているのに……満たされない。
絶頂を促す性感帯への刺激を逸らされ、掠られ、焦らされながら増幅していく肉欲に、脳の神経が侵される。
「……ック」
だらだらと溢れる愛蜜が、シーツを濡らしていく感触が肌に伝わって身震いする。
刺激が、足りない。こんなんじゃ、達せない……
類に帰ってきてほしくない気持ちと、今すぐに帰ってきて自分を激しく求めてほしい気持ちが、幾度も折り重なっては交錯する。
こんな、状態で……いつまで、放置されるの。
その時、玄関の扉が開く音が遠くに聞こえた。
だが、類が香織を送ってから、まだ15分ほどしか経っていない。
いったい……誰!?
車のエンジン音が響き、緩やかにスピードを上げ、去っていく。
美羽はヘッドボードに繋がれた手錠を引っ張った。手首に痛みが走るだけで、抜ける気配はない。
ここから逃げ出すことも出来ず、ただ、類が帰ってくるのを待つだけ……
「ッッ……ハァッ」
躰の奥に埋め込まれた異物が、ブブブブ……と低い振動音を立てている。決定的な刺激を与えられず、やわやわと上げられていく熱に、生殺しにされている。絶頂への欲望がジリジリと迫り上がってくる。
香織を家まで送って帰ってくるなら、往復1時間……急いで帰ってきたとしても、長い時間快楽への渇望に苛まれることになる。
溜息がついて出る。
美羽を傷つける残酷なやり方を選択してまで、美羽を手に入れようとした類。
こんなの愛じゃないと叫んだ美羽に、
『そんなの、もう関係ないんだ』
そう答えた類が……悲しかった。
私たちは、どこで間違えてしまったの……双子として生まれてしまったこと自体が、間違いだったの?
どうせなら、ひとつの躰で生まれてこられれば良かった。
天井の蛍光灯を見上げる。やはりここからでは、監視カメラは見えない。
類が私を脅し、怖がらせて、逃げないようにさせるための虚言……だったりして。
そう考えてみようとしたけれど、違う。類は確実に、美羽を見つめ、行動を監視していた。
類は、いつから私を監視していたの?
美羽が電気マッサージ器を捨てたのは、類がここに来てからすぐ。だから……約4ヶ月もの間、監視されていたことになる。
そう考えて、ゾクゾクと悪寒が走った。
じゃ、あ……私たちが『意識』で繋がって躰を重ねていた時、官能に震える私を類は、スクリーンを通して見ていたんだ。
義昭さんが夜の誘いに扉をノックし、私がそれを無視してベッドに潜り込んで耐えていることも知ってた。
そし、て……類がかおりんとデートに出かけ、私が焦燥と不安に駆られている姿を見て、喜んでいたんだ。
そうして私の全てを掌握し、罠の糸を張り巡らせ、雁字搦めにした。
もう私は、類から逃げ出せない。
狂気を帯びてしまった類の、美羽への愛情。
けれどこれは、自分が招いた結果でもある。類を受け止めることも、拒絶することもできなかった報い。
でも、香織にはなんの罪もない。
ただ、類を好きになっただけ。好きな人からの告白を受け、距離を縮め、愛情を深め、身を委ねただけ……
そう何度も自分に言い聞かせても、胸の奥底に掬う激しい嫉妬が顔を出す。
類の滑らかな肌を、情欲的な熱を、触れるだけで全身が性感帯になってしまうような感触を香織が感じたのだと考えるだけで胸が激しく痛み、憎悪が湧き上がってきてしまう。独占欲が、香織に牙を立てようとする。
かおりんを大切にしたい。裏切りたくない……!
鬩ぎ合い、ぶつかり合う、相容れない感情。
類が香織に接近した時点で、止めるべきだった。遠ざけるべきだった。
もう香織とは……以前の関係には、戻れない。
心から信頼し、大好きだった、親友の関係には。
「ウッ。ウゥッ……ッグ、ウヴッ」
嗚咽を漏らし、躰を震わせる。
かおりん、ごめ……ごめんなさい。
類が戻ってきたら……解放される、だけで終わるはずがない。拒絶したとしても、力で捻じ伏せられてしまう。
そして、それを期待している自分が胸奥に潜んでいる。
手を拱いて、彼の帰りを待っている……胸奥の、自分が。
上げさせられている腕が、痺れてくる。手錠を外そうとして擦り剥いた手首が、ヒリヒリと痛む。
蜜奥が振動を立て、襞が揺さぶられる。
「ッッ……ハァッ」
違、う……そこじゃ、ない。この角度じゃ、だめ。
私が欲しいのは、もっと……
自分の部屋なのに、そう感じられない。異空間に迷い込んでしまった錯覚に陥る。この世界に閉じ込められたように感じて、目眩を覚えた。
躰の熱は上がっているのに、吐く吐息は官能を帯びているのに、蜜奥で畝る刺激に中がドクン、ドクンと脈を打つのに、異物の隙間から愛蜜が溢れ出しているのに……満たされない。
絶頂を促す性感帯への刺激を逸らされ、掠られ、焦らされながら増幅していく肉欲に、脳の神経が侵される。
「……ック」
だらだらと溢れる愛蜜が、シーツを濡らしていく感触が肌に伝わって身震いする。
刺激が、足りない。こんなんじゃ、達せない……
類に帰ってきてほしくない気持ちと、今すぐに帰ってきて自分を激しく求めてほしい気持ちが、幾度も折り重なっては交錯する。
こんな、状態で……いつまで、放置されるの。
その時、玄関の扉が開く音が遠くに聞こえた。
だが、類が香織を送ってから、まだ15分ほどしか経っていない。
いったい……誰!?
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