【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子姉弟が織りなす、切なく激しい禁断愛ー

奏音 美都

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424.消せないトラウマ

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 類の手から、電気マッサージ器が転がり落ちた。

 美羽を抱き締めて胸元に頬を擦り寄せ、顔を上げた。先ほどまで肉食獣のようだった鋭い瞳が、今は怯えた子猫のように美羽の瞳を覗き込んでいる。

「ミュー……
 僕を、憎んでる?」

 美羽の感情など、心などどうでもいいと言いながら、不安そうに尋ねる類に、心が波風を立てる。



 ドウシテ、ソンナコトキケルノ?



 美羽の胸が掻っ切られるように、熱くなる。

「……憎い。類の悪魔のような心臓を抉り出して、焼いて、切り刻みたいぐらいに、憎いよ……」

 躰を細かく震わせ、手錠で繋がれた拳を震わす。

「でも、類を憎みきれない自分もいる。こんな風に屈辱的に愛されても、悦びを感じてしまう、醜くて穢らわしくて、卑しい自分がいる。

 分からない。分からない……自分の感情が。自分でも分からなくて、怖い……ッグ」

 歯を小刻みにガチガチと鳴らし、美羽は激しく震えた。

「かおりんにすべてを打ち明ければいいって分かってるのに、もうかおりんとの友情は終わっているのに、私はまだそれをなんとか必死に取り繕うとしてる。心の中では、類とのことに嫉妬して、怒って、憎んで、恨んで……真っ黒な感情に支配されてるのに。
 そんな風にさせた、類が憎くて憎くて、仕方ないのに……それでも、ッッ類が、ほしいなんて……ッッ

 これは、罪なのにっっ!!」

 叫んだ美羽の頬を撫で、類は力なくその手を下ろした。まるで、自分が苦しまされているかのような、辛い表情で。

「ごめん。ごめんね、ミュー……
 それでも、ミューがほしいんだ。ごめんね」

 だが、類の言葉は美羽の耳には、心には、届いてなかった。

 美羽の心が、急速に冷えていく。



ーー『これは、罪』



 そう、類を愛することは『罪』。
 躰を重ねることなんて、できない。

 考えた途端、ドクンと心臓が震えて凍りついた。

ーークリスマス・イブの記憶が蘇る。

 類に迫られ、情熱的な口づけを受け止めたあの夜。

『美羽を、抱く』

 そう宣言されて、美羽の頑なだった心が崩された。

 類の熱情に蕩かされ、快感で脳髄が震えた。

『ミューは僕の、僕だけのもの……ねぇ、そうでしょ?
 拒絶なんて、許さない。

 僕を。僕だけを、愛してよ!!』

 必死で愛を乞う類を拒絶することなんて、出来なかった。苦しむ類を見捨てられなかった。救いたかった。愛したかった。

 背徳の罪も、世間の目も関係ない。類を愛する、そのことだけしか考えていなかった。

 けれど、類を受け入れると決めた時……過去の記憶が刃を剥いて、美羽を襲ったのだった。

 逃れることのできない、母親からの洗脳。それは、美羽を無理やり現実の世界へと引き戻し、縛りつけ、痛めつける。

 姉弟の恋愛など許されない、認められないのだと、ギリギリと全神経に刻み付けられた。

 美羽は……類の愛を、受け止めることができなかった。

 狂乱し、パニックを起こし、挙句……類を、突き飛ばした。

 そして、類から逃げたのだ。



 また、あんなことが起こったら……



 喉を締め付けられるような恐怖が、美羽にのし掛かってくる。

 やっぱり、無理だよ。

 類と交わることなんて、できない。
 過去の呪縛から逃れることなんて、できない。

 お母さんの魔の手から抜け出して、断ち切ることなんて……できないんだ。

『あなたたちは狂ってる……そんなの、ケダモノのやることよ!!』

 華江の声が、脳全体にこだまする。鬼のような形相で蔑んだ、母の表情が浮かび上がる。

「ハァッ……ハァッ、ハァッ……ハァッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!!」

 過呼吸になり、脳が真っ白になっていく。全身が冷たくて、熱くて、震える。視界がチカチカと点滅しながら、強く大きな耳鳴りが心臓をビリビリと震わせる。



 ごめん、ごめんなさい……お母さんっっ!!
 ゴメンナサイ……


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