460 / 498
454.ふたりの障害
しおりを挟む
歩いていると、道の至る所で『宴会禁止』の立て札を見かけた。それにも関わらず、ピクニックシートを広げてお花見をしている人たちもいたが。
萌たんが案内してくれるって言ってたけど、お花見できる場所あるのかな……
美羽が心配していると、人がかなり増えて混雑してきたところで、萌が先頭組に聞こえるように大声を張り上げた。
「ここから左に入るたーん!」
萌の指示に従い、川沿いから外れて一般道へと入る。
「どこ行くの、萌たん?」
「川沿いは宴会が禁止されてるから、公園でお花見するたーん♪」
ほどなく西郷山公園に辿り着くと、そこにも桜の木が50本ほど植えてあり、宴会を楽しむ人たちが見えた。
「みんなぁ、あそこたぁん♪」
デタントの紙袋が載っているブルーシートを、萌が指さす。香織が萌の頭をポンポンと撫でた。
「席取り、してくれてたんだぁ。萌、気がきくじゃん」
「へへーっ、こうたんと頑張ったったーん♪」
学校があるため最初から参加できない浩平は、朝イチで席取りすることを買ってくれ、それを萌も手伝ったということだった。浩平は、学校が終わってから、その足で合流することになっている。
進展しそうでしないふたりの関係に、少しやきもきする気持ちはあるものの、ゆっくりと恋心を育むふたりを見守っていきたいと美羽は願っていた。
「うん、いいな」
隼斗が周りを見回し、腰を下ろした。目黒川沿いと比べたら、そこまで混んでおらず、ゆっくりとお花見が楽しめそうだ。
「花見なんて人が多くて面倒くさいと思っていたが、悪くないな」
「な? 俺の提案もわるないやろ」
隼斗の隣に座りながら龍也がしたり顔を見せると、隼斗が苦笑した。
「まぁな。お前のお陰だ」
萌と香織も、靴を脱いでブルーシートの上に座る。美羽も香織の隣に座り、類がそれに続いた。
龍也が目敏くそれを見つけて、突っ込んだ。
「恋するふたりのあいさに、なんや障害ができてんなぁ」
「ぇ?」
そこで初めて、自分が香織と類の間に座っていることに気がついた。
障害って。類の本当の恋人は、私……なのに。
美羽の胸がチクッと痛む。
「ご、ごめんね。類……席、変わるね」
立ち上がって類の逆側の隣に座ろうとすると、香織が美羽の手首を取って引き留めた。
「えっ、ちょっと待ってよ美羽! 私、美羽の隣に座りたいんだけど!」
そして、自分の逆側の隣をポンポンと叩いた。
「ほら、私と萌の隣に座ればいいじゃん!」
「やったぁ♪ 美羽たん、お隣たーん!」
「うん、そうだね」
美羽は微笑みながら、鉛のように心が重くなっていくのを感じた。
『ごめん、ミュー。止めて、あげられなくて』
類の声が心に響き、美羽はそっと微笑んだ。
大丈夫。分かってるから……類。
お弁当と飲み物を囲むように、輪になって座る。類は香織と隼斗の両隣となった。
類……遠く、なっちゃったな。
萌たんが案内してくれるって言ってたけど、お花見できる場所あるのかな……
美羽が心配していると、人がかなり増えて混雑してきたところで、萌が先頭組に聞こえるように大声を張り上げた。
「ここから左に入るたーん!」
萌の指示に従い、川沿いから外れて一般道へと入る。
「どこ行くの、萌たん?」
「川沿いは宴会が禁止されてるから、公園でお花見するたーん♪」
ほどなく西郷山公園に辿り着くと、そこにも桜の木が50本ほど植えてあり、宴会を楽しむ人たちが見えた。
「みんなぁ、あそこたぁん♪」
デタントの紙袋が載っているブルーシートを、萌が指さす。香織が萌の頭をポンポンと撫でた。
「席取り、してくれてたんだぁ。萌、気がきくじゃん」
「へへーっ、こうたんと頑張ったったーん♪」
学校があるため最初から参加できない浩平は、朝イチで席取りすることを買ってくれ、それを萌も手伝ったということだった。浩平は、学校が終わってから、その足で合流することになっている。
進展しそうでしないふたりの関係に、少しやきもきする気持ちはあるものの、ゆっくりと恋心を育むふたりを見守っていきたいと美羽は願っていた。
「うん、いいな」
隼斗が周りを見回し、腰を下ろした。目黒川沿いと比べたら、そこまで混んでおらず、ゆっくりとお花見が楽しめそうだ。
「花見なんて人が多くて面倒くさいと思っていたが、悪くないな」
「な? 俺の提案もわるないやろ」
隼斗の隣に座りながら龍也がしたり顔を見せると、隼斗が苦笑した。
「まぁな。お前のお陰だ」
萌と香織も、靴を脱いでブルーシートの上に座る。美羽も香織の隣に座り、類がそれに続いた。
龍也が目敏くそれを見つけて、突っ込んだ。
「恋するふたりのあいさに、なんや障害ができてんなぁ」
「ぇ?」
そこで初めて、自分が香織と類の間に座っていることに気がついた。
障害って。類の本当の恋人は、私……なのに。
美羽の胸がチクッと痛む。
「ご、ごめんね。類……席、変わるね」
立ち上がって類の逆側の隣に座ろうとすると、香織が美羽の手首を取って引き留めた。
「えっ、ちょっと待ってよ美羽! 私、美羽の隣に座りたいんだけど!」
そして、自分の逆側の隣をポンポンと叩いた。
「ほら、私と萌の隣に座ればいいじゃん!」
「やったぁ♪ 美羽たん、お隣たーん!」
「うん、そうだね」
美羽は微笑みながら、鉛のように心が重くなっていくのを感じた。
『ごめん、ミュー。止めて、あげられなくて』
類の声が心に響き、美羽はそっと微笑んだ。
大丈夫。分かってるから……類。
お弁当と飲み物を囲むように、輪になって座る。類は香織と隼斗の両隣となった。
類……遠く、なっちゃったな。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる