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471.母親への愛情
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厳格な父と過保護な母の元に育った義昭は、性の目覚めが遅かった。中学生になって隠毛が生えるようになり、皮が剥けるようになっても、精通はまだだった。
それだけではない。
異性に対してまったく恋心を感じたことがなかった。かといって自分がゲイなのかといえばそうではなく、同性に対しても恋愛感情を抱いたことがなかった。
その頃はまだセクシュアリティに関する認知度が低く、義昭はアセクシュアル(他者に対して性的欲求・恋愛感情を抱かないセクシュアリティ)という言葉も、そういった人が存在することも知らなかった。
だが、自分はその手の人間ではないのか、恋愛や性的欲求の抜け落ちた、不完全な人間なのではないかと感じていた。
大人になれば自分なりに論理的に説明して納得し、なんとか折り合いをつけて生きていけるかもしれないが、思春期の未成熟な時期にそういった悩みは義昭の心に大きく影を落とした。
男同士で集まると始まる女の裸体の話、すぐに裸を見せたがる、裸にしようとするふざけた連中、誰のモノが大きいかで優劣が決まるくだらないランク付け……
そういったことから逃げ出すように、義昭はクラスメートから距離を置くようになった。
そんな義昭の心の支えとなっていたのが、母親である琴子の存在だった。
幼い頃から運動が苦手で、引っ込み思案で弱気で、自分の意見もろくに言えなかった義昭は、折に触れて父である大作の逆鱗に触れた。父に、『男のくせに』、『この腑抜けが!』、『お前は朝野家の面汚しだ!』と罵倒され、殴られるたびに、母の琴子が毎回義昭のことを慰めてくれた。
義昭がどんな状態でも、どんな状況でも全て包み込み、受け入れてくれたのが母だった。
義昭は、母に対しては『愛情』と思える感情を持てた。
琴子の義昭への接し方は、子供の世話をするというよりも、恋人に尽くしているかのようで、息子に理想の恋人像を重ねているようなところがあった。
自分でできるような年齢になっても服や下着、靴を選ぶだけでなく、着替えを手伝ったり、歯磨きをしてあげたり、初めて行く場所に一緒についていったりした。
それだけでなく、手を繋いだり、一緒にお風呂に入ったり、同じ布団で寝たりといったスキンシップは幼い頃を過ぎ、思春期であるこの年になっても父親の目を掻い潜って続けられていた。
そういったことに対して、義昭は不快や嫌悪を感じることは一度もなかったし、疑問を覚えることもなかった。寧ろ、母親から自分は愛してもらっている、必要とされていると思えて嬉しかった。
もちろん、それが他の家庭とは違うということは理解していたため、他人に話すことはなかったが。
それを一時期、『自分は、母親をひとりの女性として愛しているのではないか』と思ったこともある。
琴子の裸を想像してみて、抜こうとしたこともある。浴室の洗濯籠に入っていたブラジャーとパンティーをこっそり抜き取って匂いを嗅いだり、シミのついたクラッチ部分を舐めてみたりもした。
また、琴子が自分と同じ年齢ぐらいだった昔の写真を取り出して、恋人になった彼女を想像をして自慰に及ぼうとしたこともあった。
だが、どれもうまくいかなかった。
抱き合う姿は容易に想像できても、自分が母を組み敷き、いきり勃った肉棒で彼女の中を突いていると考えると、いくら必死に扱いても勃たず、萎えるばかりだった。
「ック……どう、して……なんで、なんだっっ!!」
義昭は、琴子に抱いているのは間違いなく『愛情』であり、家族の愛としては行き過ぎているのかもしれないが、それは決して恋人や配偶者に抱くような『恋愛感情』ではないと知り、酷く打ちのめされた。
母親になら、恋愛感情を抱けるかもと期待したのに、それさえも裏切られた。
もう自分は一生、恋愛など、性行為などできないのかもしれない。
父が望むように長男として嫁を取り、後継ぎを生ませるなんて、できない……
自分は一生、父から蔑まれ、罵られて生きていくしかないのだと、義昭は絶望した。
それだけではない。
異性に対してまったく恋心を感じたことがなかった。かといって自分がゲイなのかといえばそうではなく、同性に対しても恋愛感情を抱いたことがなかった。
その頃はまだセクシュアリティに関する認知度が低く、義昭はアセクシュアル(他者に対して性的欲求・恋愛感情を抱かないセクシュアリティ)という言葉も、そういった人が存在することも知らなかった。
だが、自分はその手の人間ではないのか、恋愛や性的欲求の抜け落ちた、不完全な人間なのではないかと感じていた。
大人になれば自分なりに論理的に説明して納得し、なんとか折り合いをつけて生きていけるかもしれないが、思春期の未成熟な時期にそういった悩みは義昭の心に大きく影を落とした。
男同士で集まると始まる女の裸体の話、すぐに裸を見せたがる、裸にしようとするふざけた連中、誰のモノが大きいかで優劣が決まるくだらないランク付け……
そういったことから逃げ出すように、義昭はクラスメートから距離を置くようになった。
そんな義昭の心の支えとなっていたのが、母親である琴子の存在だった。
幼い頃から運動が苦手で、引っ込み思案で弱気で、自分の意見もろくに言えなかった義昭は、折に触れて父である大作の逆鱗に触れた。父に、『男のくせに』、『この腑抜けが!』、『お前は朝野家の面汚しだ!』と罵倒され、殴られるたびに、母の琴子が毎回義昭のことを慰めてくれた。
義昭がどんな状態でも、どんな状況でも全て包み込み、受け入れてくれたのが母だった。
義昭は、母に対しては『愛情』と思える感情を持てた。
琴子の義昭への接し方は、子供の世話をするというよりも、恋人に尽くしているかのようで、息子に理想の恋人像を重ねているようなところがあった。
自分でできるような年齢になっても服や下着、靴を選ぶだけでなく、着替えを手伝ったり、歯磨きをしてあげたり、初めて行く場所に一緒についていったりした。
それだけでなく、手を繋いだり、一緒にお風呂に入ったり、同じ布団で寝たりといったスキンシップは幼い頃を過ぎ、思春期であるこの年になっても父親の目を掻い潜って続けられていた。
そういったことに対して、義昭は不快や嫌悪を感じることは一度もなかったし、疑問を覚えることもなかった。寧ろ、母親から自分は愛してもらっている、必要とされていると思えて嬉しかった。
もちろん、それが他の家庭とは違うということは理解していたため、他人に話すことはなかったが。
それを一時期、『自分は、母親をひとりの女性として愛しているのではないか』と思ったこともある。
琴子の裸を想像してみて、抜こうとしたこともある。浴室の洗濯籠に入っていたブラジャーとパンティーをこっそり抜き取って匂いを嗅いだり、シミのついたクラッチ部分を舐めてみたりもした。
また、琴子が自分と同じ年齢ぐらいだった昔の写真を取り出して、恋人になった彼女を想像をして自慰に及ぼうとしたこともあった。
だが、どれもうまくいかなかった。
抱き合う姿は容易に想像できても、自分が母を組み敷き、いきり勃った肉棒で彼女の中を突いていると考えると、いくら必死に扱いても勃たず、萎えるばかりだった。
「ック……どう、して……なんで、なんだっっ!!」
義昭は、琴子に抱いているのは間違いなく『愛情』であり、家族の愛としては行き過ぎているのかもしれないが、それは決して恋人や配偶者に抱くような『恋愛感情』ではないと知り、酷く打ちのめされた。
母親になら、恋愛感情を抱けるかもと期待したのに、それさえも裏切られた。
もう自分は一生、恋愛など、性行為などできないのかもしれない。
父が望むように長男として嫁を取り、後継ぎを生ませるなんて、できない……
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