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473.同性愛者
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その日、義昭は学校帰りに初めて寄り道をした。何かあった時のためにと琴子から持たされていた5千円を握り締め、学校からも家からも中間地点となる駅で降り、駅地下に入っているわりと大きめな書店へと入る。
入口を抜けた途端、ふわっと本屋独特のインクの匂いが鼻を突く。心を落ち着かせるこの匂いが、今日はそわそわと落ち着かない。書店に入るのに、こんなに緊張するのは初めてだった。
誰かに見られていないかと目を泳がせるが、当然誰も義昭のことなど見もしないし、気にもしていない。
普段は参考書や歴史書のコーナーしか行かないので、その他の本や雑誌がどこにあるのか分からない。書店に入って直ぐのところに新刊雑誌コーナーがあったため、義昭はそこをまずは覗いてみることにした。
アニメ雑誌やライトノベルなどが並んでいる同じ列にアダルト向け雑誌も置かれていた。かなり手を伸ばすのに、躊躇する。
なんで、人目につかないところにそっと置いてくれないんだ。
そう憤慨しつつ、せっかくここまで来たのだから、後戻りはできない。横から手が伸び、中年の男が躊躇いなくアダルト雑誌を読んでいる。義昭はその男の影に隠れるようにして、勇気を出して雑誌を手に取った。
多くの雑誌には袋が被せられており中身が見られなかったが、立ち読み用として閲覧可能なものも置かれていた。そこで、義昭は手当たり次第に雑誌や本を捲って漁った。
やはり、グラビアアイドルの水着を見てもピクリとも反応しなかった。
僕は……同性である男が好きな、ゲイ、だったのか?
今まで出会った男性の誰にも恋心を感じなかったのは、ただ単に運命の相手に出会っていなかっただけということなのだろうか。
男性モデルの水着写真の載っている雑誌を手に取り、凝視する。だが、あの時感じたような昂りは訪れなかった。
刺激が、足りないのか?
今度は黒革のボンテージファッションに身を包んだ男性が表紙のゲイ雑誌を手に取ってみた。
「ッッ……」
トクン、と胸が高鳴る。
だが、それは袋とじで、見本も置かれていないため、中身が分からない。隣にいた中年の男が雑誌を戻し、立ち去った。急に、周りの視線が自分に突き刺さっているように感じる。
これを手にレジまで行き、店員と顔を付き合わせて雑誌を買うことが自分にできるのだろうか。
いや、ここで諦めたら……僕はもう二度と買えなくなる。
今しか、ない。
雑誌の表紙を胸側にし、手を広げてなるべく雑誌が隠れるようにして、レジへ持っていこうとして義昭はハッとした。
学生服のままだ。この雑誌は間違いなくR18。雑誌を買うことは叶わない。
休みの日に、買いにこよう……
週末、義昭は今まで貯めていたお金を手に再び本屋に行き、ゲイ向けのSM雑誌を手当たり次第に買った。
入口を抜けた途端、ふわっと本屋独特のインクの匂いが鼻を突く。心を落ち着かせるこの匂いが、今日はそわそわと落ち着かない。書店に入るのに、こんなに緊張するのは初めてだった。
誰かに見られていないかと目を泳がせるが、当然誰も義昭のことなど見もしないし、気にもしていない。
普段は参考書や歴史書のコーナーしか行かないので、その他の本や雑誌がどこにあるのか分からない。書店に入って直ぐのところに新刊雑誌コーナーがあったため、義昭はそこをまずは覗いてみることにした。
アニメ雑誌やライトノベルなどが並んでいる同じ列にアダルト向け雑誌も置かれていた。かなり手を伸ばすのに、躊躇する。
なんで、人目につかないところにそっと置いてくれないんだ。
そう憤慨しつつ、せっかくここまで来たのだから、後戻りはできない。横から手が伸び、中年の男が躊躇いなくアダルト雑誌を読んでいる。義昭はその男の影に隠れるようにして、勇気を出して雑誌を手に取った。
多くの雑誌には袋が被せられており中身が見られなかったが、立ち読み用として閲覧可能なものも置かれていた。そこで、義昭は手当たり次第に雑誌や本を捲って漁った。
やはり、グラビアアイドルの水着を見てもピクリとも反応しなかった。
僕は……同性である男が好きな、ゲイ、だったのか?
今まで出会った男性の誰にも恋心を感じなかったのは、ただ単に運命の相手に出会っていなかっただけということなのだろうか。
男性モデルの水着写真の載っている雑誌を手に取り、凝視する。だが、あの時感じたような昂りは訪れなかった。
刺激が、足りないのか?
今度は黒革のボンテージファッションに身を包んだ男性が表紙のゲイ雑誌を手に取ってみた。
「ッッ……」
トクン、と胸が高鳴る。
だが、それは袋とじで、見本も置かれていないため、中身が分からない。隣にいた中年の男が雑誌を戻し、立ち去った。急に、周りの視線が自分に突き刺さっているように感じる。
これを手にレジまで行き、店員と顔を付き合わせて雑誌を買うことが自分にできるのだろうか。
いや、ここで諦めたら……僕はもう二度と買えなくなる。
今しか、ない。
雑誌の表紙を胸側にし、手を広げてなるべく雑誌が隠れるようにして、レジへ持っていこうとして義昭はハッとした。
学生服のままだ。この雑誌は間違いなくR18。雑誌を買うことは叶わない。
休みの日に、買いにこよう……
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