＜本編完結！AS開始＞【R１８】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

復讐の誓い ー久美回想ー

２６

「あの、さ......久美」

　お姉ちゃんが私の顔を窺うように見つめた後、言いにくそうに口を歪めた。

「本当に、礼音くんを酷い目に合わせた犯人って......秀一様、なの？」

　私の瞳孔がこれ以上ないぐらい見開いた。

　え。シュウイチ、サマって。
　どういう、こと......？

　理解出来ない頭のままお姉ちゃんの後ろの書棚に目を移すと、そこには小説やファッション誌に混ざり、見慣れないクラシックの専門誌やCDがずらりと並べられていた。CDにはどれも、「来栖秀一」と入っている。

　う、嘘......お姉ちゃん、来栖秀一のファンだったの！？　いつの間に......
　てか、秀一様とか言ってるし、今まで興味なかったクラシックの専門誌まで買い漁るぐらいだから、相当のファンってことだよね。

「お姉、ちゃん......」

　どう言葉をかけるべきか、迷った。

　大ファンだった来栖秀一が姪と恋仲で、恋人がレイプされた腹いせに凄惨な制裁をしていただなんて、信じられないだろうし、知りたくなかったはずだ。しかも、その恋人が妹の友達で、制裁した相手が妹の好きな人とか......なんて言っていいのか、分からない。

　やっぱり、この件にはお姉ちゃんは関わらない方がいいかもしれない。

　すると今度は、もっとはっきりとした調子でお姉ちゃんが私を問いただした。

「礼音くんを酷い目に合わせたのは、来栖...秀一で、間違いないのね？」

　まだ......確証は、ない。でも......

「間違い、ない。あの人しか、いない......」

　私は、そう答えた。
　　
　長い沈黙の後、お姉ちゃんがすっくと顔を上げた。

「私にとって大切なのは......久美、あんただから。私は何があっても、あんたの味方よ」

　お姉ちゃんが、私の手の上に自らの手を重ねた。

「でも、お姉ちゃ...」
「嬉しいの。ずっと私のこと避けてた久美が、頼ってくれた。
　それは、私の他に誰も頼る人がいなかったから、なんでしょ？」

　私の心の奥底を理解してくれるのは......やっぱり、お姉ちゃんだ。瞳の奥からじわりと熱いものがまた込み上げてくる。

「ｯ...ぁ、あり...がと......ｯｸﾞ......」
「バカね......」

　重なっていた手が少し離れ、軽く叩かれる。見上げたお姉ちゃんは、泣きながら笑っていた。